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歯周病を本気で治したいなら「食事の内容」の見直しを!海藻や亜麻仁油がお勧め

歯周病を本気で治したいなら「食事の内容」の見直しを!海藻や亜麻仁油がお勧め

皆さんは、「歯周病は歯周病菌による感染症」だと思っていませんか。皆さんだけでなく、歯科医師も、大半がそう考えていると思います。しかしその常識が、今、ぬり替えられようとしています。アメリカの歯周病学会は、すでに「歯周病は感染症にあらず」と正式に発表しています。【解説】小峰一雄(小峰歯科医院理事長)

解説者のプロフィール

小峰一雄
小峰歯科医院理事長、歯学博士。日本臨床アンチエイジング研究会会長、Kデンチャー研究会主宰。テレビ『世界のスーパードクター』(TBS)でも紹介された、歯を削らずにムシ歯を治療する「ドックベストセメント療法」の第一人者。なるべく「抜髄をしない、歯を削らない」をモットーに治療を行う。また、歯周病やムシ歯に対しての栄養療法も実施している。2015年、ラオス・ヘルスサイエンス大学客員教授に就任。著書に『名医は虫歯を削らない』(竹書房)がある。

歯周病の根本原因は日々の食事内容にあった

皆さんは、「歯周病は歯周病菌による感染症」だと思っていませんか。
皆さんだけでなく、歯科医師も、大半がそう考えていると思います。

しかしその常識が、今、ぬり替えられようとしています。
アメリカの歯周病学会は、すでに「歯周病は感染症にあらず」と正式に発表しています。

つまり、感染症を起こしていなくても、歯周病になることがあるのです。
例えば、歯の治療で神経を抜くと、歯周病になりやすくなります。

通常、健康な歯なら、歯と歯ぐきの間に細菌が入ると、免疫細胞が来て菌を殺し、排除してくれます。
ところが、神経のない歯は、血液が通っていないので、菌が歯ぐきの間に侵入しても、免疫細胞が菌を殺すことができません。

するとそこに菌がたくさん集まり、その死骸が歯根にくっつきます。
細菌の死骸、すなわち異種のたんぱく質に覆われた歯根は、もはや自分の体の一部ではなく、異物とみなされます。

その結果、歯は押し出され、抜け落ちてしまいます。
これが、感染症を起こしていない歯周病です。

実際、診察していると、歯が抜けそうなくらいグラグラしているのに、炎症がない歯周病の患者さんがよくいます。
こうした歯周病に、従来の感染症対策中心の歯周病治療が効果がないことは自明の理です。

では、歯周病の本当の原因は何でしょうか。
それは、歯の周囲の組織(歯周組織)の環境の悪化です。

そしてそれをもたらすのが、日々の食事(栄養)なのです。
歯周病の最大の原因は、歯に付着した歯垢です。

歯垢は、炭水化物や砂糖に含まれる糖質をエサに、口の中の細菌が繁殖したものです。
この繁殖した菌が歯と歯ぐきのすき間に入り込み、歯周組織を壊すと、歯周病になります。

歯垢を放置しておくと、唾液に含まれるカルシウムなどと結合して、石灰化します。
これが歯石です。歯石がついた歯ぐきの中は菌の温床で、歯周病はますます進行し、歯石にはさらに歯垢がつきやすくなります。

こうした歯周組織を取り巻く環境を変えなければ、歯周病は改善しません。
そのためにしなければならないのが、食事の改善です。

そのポイントは、糖質とカルシウムを取り過ぎないことと、マグネシウムを積極的に取ることです。
糖質が歯垢の材料になることは、別の記事で述べたとおりです。

たんぱく質や脂質は、歯垢を作ることはありません。
また、糖質を取り過ぎると、余った糖質は、レプチンというホルモンによって脂肪細胞に蓄えられます。

この脂肪細胞が巨大化すると、そこから炎症を起こす物質(サイトカイン)が分泌され、歯ぐきに炎症を起こします。
こうしたことから、歯周病の予防や改善には、糖質を取り過ぎず、適正な量を摂取することが大事になってきます。

過剰なカルシウムが歯槽骨を弱くする

もう一つのポイントが、マグネシウムです。
歯周病は、カルシウムの摂取量が多過ぎると、リスクが高まりますが、そのカルシウムと拮抗して働くのが、マグネシウムです。

日本人は昔から、カルシウム不足が指摘されてきました。
しかし海外では、カルシウムが必要なのは30歳までで、30歳を過ぎたらマグネシウムを取ることが推奨されています。

マグネシウムは、カルシウムを調節し、カルシウムの過剰によって起こる歯石や歯周病のリスクを抑える働きがあるのです。
カルシウムを取ると、大部分は骨や歯に貯蔵され、残りの一部はカルシウムイオンとして細胞の中にたまります。

このカルシウムイオンは、ポンプの力で血液中に押し出され、体内をめぐって心臓や脳などで大事な役目を果たしています。
しかし、加齢とともにポンブ機能が低下すると、カルシウムが押し出されなくなってきます。

すると、細胞内にカルシウムがたまり、血中カルシウムは減っていきます。
それを補うために、骨からカルシウムが溶け出しますが、そのとき、最初にカルシウムが溶け出すのが、歯槽骨(歯が植わっている骨)やあごの骨なのです。

骨からカルシウムが溶け出せば、歯槽骨は弱くなって、歯はグラグラになります。
これが、歯周病の状態なのです。

また、細胞内にカルシウムがたまると、細胞は水分を取り込んで、カルシウムの濃度を一定に戻そうとします。
したがって、カルシウムを取るほど水分も増えて、細胞は水太りの状態になり、最後はパチンと壊れてしまいます。

壊れた細胞から出たカルシウムは、血液に乗って別のところに沈着し、石灰化します。
それが動脈で起これば動脈硬化になり、腎臓で起これば腎臓結石に、関節で起これば関節炎になります。

このように、カルシウムを取り過ぎると、体内にカルシウムは十分にあるのに不足する、奇妙な現象が起こります。
これを「カルシウムパラドックス」と言います。これを是正するのが、マグネシウムです。

マグネシウムは、たまったカルシウムを細胞の外に押し出し、カルシウムを体内にめぐらせて、カルシウム不足を解消してくれます。

カルシウムが常に一定の量で血管内を循環していれば、歯槽骨やあごの骨からカルシウムが溶け出すこともなくなり、歯周病の予防や改善ができるのです。

マグネシウムの補給にうってつけの「海藻」

そこで、マグネシウムの摂取が大切になってくるわけですが、マグネシウムを豊富に含む食品といえば、なんといっても海藻です。
海藻には海のミネラルが豊富で、なかでもマグネシウムが非常に多く含まれています。

マグネシウムの1日の推奨摂取量は成人男性で340㎎、女性で270㎎ですが、アオサ100g中には3200㎎ものマグネシウムが含まれています。
ノリ、コンブ、ワカメ、ヒジキ、モズク、メカブなども、軒並みマグネシウムの宝庫です。

また、海藻は食物繊維が多いので、食事の最初に食べると、糖質の吸収を抑えてくれます。
血糖値の急上昇は、糖尿病だけでなく、歯周病やムシ歯を悪化させる要因となりますが、血糖値がゆるやかに上昇すれば、そうした害を防げます。

古来、日本人は海藻を常食してきました。
その海藻の栄養を、日本人は吸収できますが、海外では海藻を食べる国は少なく、海藻の栄養も吸収できないそうです。

海藻は、日本人だからこそ享受できる海の恵みなのです。
ですから積極的に取って、健康に役立てていただきたいと思います。

また、マグネシウムと並んで、オメガ3系の油(アマニ油、エゴマ油など)も、歯周病予防に有効です。

オメガ3系の油をたくさん取っているグループと、そうでないグループの間には、歯周病の発症率に大きな差があることが数々のデータで示されています。

このように、歯周病になるのも、歯周病を治すのも、食事しだいなのです。
本気で歯周病を改善したいなら、何よりもまず、食事の見直しを強くお勧めします。

歯周病を予防・改善する食事の極意

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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