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朝起きたときの口のネバつきは口内細菌!対策は寝る前の「緑茶うがい」

朝起きたときの口のネバつきは口内細菌!対策は寝る前の「緑茶うがい」

歯の表面や根元などにたまる白いネバネバの物体を、歯垢(デンタルプラーク)といいます。その正体は、細菌のかたまりです。口の中、とりわけ歯垢に含まれる細菌は、ウ○コ、つまり糞便に含まれる細菌と量も質もほとんど変わらないと聞いたら、あなたはどう思いますか。【解説】落合邦康(日本大学歯学部特任教授)

解説者のプロフィール

落合邦康
日本大学歯学部特任教授。腸内細菌と口腔細菌の研究をはじめ、カテキンを使用した口腔ケアの研究など、幅広く活動する。テレビ番組にも出演し口腔ケアの重要性を説く。著書に『腸内細菌・口腔細菌と全身疾患』(シーエムシー出版)、共著で『口腔微生物学』(学建書院)など。

歯垢に含まれる細菌はウ○コの細菌とほぼ同じ

歯の表面や根元などにたまる白いネバネバの物体を、歯垢(デンタルプラーク)といいます。
その正体は、細菌のかたまりです。

口の中、とりわけ歯垢に含まれる細菌は、ウ○コ、つまり糞便に含まれる細菌と量も質もほとんど変わらないと聞いたら、あなたはどう思いますか。
しかも、食事や寝ている最中に細菌のかたまりを飲み込んでいるとしたら……。

腸管内にいる細菌の種類は、約1000種。
一方、口腔内は約700種と種類は少ないですが、驚くべきことに、口という狭い面積と、内臓の中でも人体で最も広い面積を持つ腸管とで、ほぼ同数の細菌の種類がすんでいるのです。

歯垢中の細菌は、たんぱく質を分解して悪臭の原因をつくります。
実際、糞便の悪臭のもとになる細菌と歯周病の原因菌は、細菌学的に親戚関係にあります。

また、糞便には、未消化の食物などがたくさん混ざっていますが、歯垢には食べかすなどは混ざっていません。細菌だけです。
さらに、糞便は排泄されるのに対し、歯垢は食事のときに消化管へ流れる一部を除けば、ケアをしない限り、口腔内にずっと留まります。

毎日、きれいに歯を磨いているとおっしゃるかもしれませんが、唾液の分泌が減る睡眠中に、細菌の数は急増します。
そして一日のうちで口腔内の細菌がもっとも多いのは、起床直後です。
朝起きたときに感じる口のネバつきの正体は、夜中に増殖した細菌なのです。

弱いと見せかけて全身に影響する歯周病菌

なぜ口の中の細菌はこんなに厄介なのでしょうか。
まず、口腔内の細菌には、異なる種類が互いにくっつき合うという、やっかいな性質があります。

細菌は通常、生き残るために周囲のほかの種類の細菌を殺します。
しかし口腔内の細菌は、唾液に押し流されないよう、互いに協力し合って、歯にへばりつくのです。

歯の表面には、まずレンサ球菌が付着します。
その上に、レンサ球菌と手を結べる細菌がくっつきます。
その上に、それと手を結べる細菌がくっつき……といった具合で、細菌は歯垢というかたまりになっていくのです。

それだけではありません。
口腔内の細菌、とりわけ歯周病菌は、成長が遅く、つくる毒素も弱い菌です。
歯周病は、細菌感染によって歯肉が炎症を起こし、化膿する病気ですが、進行しても痛みはほとんどありません。

化膿部分が広範囲になっても、痛くもかゆくもないという人もいます。
それが怖いのです。

歯周病はなぜ痛くないのか

痛みを感じにくいのは、歯周病の原因菌が、神経細胞に働きかけて痛みをブロックしているからです。
人体は、痛みをシグナルとして免疫細胞が集まり、侵入した細菌などを攻撃するようにできています。
ところが歯周病の原因菌は、痛みを感じさせないことで攻撃から逃れ、生き残りを図っているのです。

多くの人は「ムシ歯や歯周病では死なない」と思っているかもしれません。
しかし現実には、口腔内の細菌による感染症によって、日本でも毎年多くの人が亡くなっています。

日本の死亡原因の第1位は、がんです。
しかし、がん患者の直接の死因は、肺炎か敗血症ということがほとんどです。
これらの原因になるのが、口腔内やのどの細菌なのです。

抗がん剤治療などで免疫力が低下すると、それまで共存していた口腔内の細菌が急増します。
それらが気管に入り、肺炎や敗血症が生じます。

誤嚥性肺炎も口内細菌が原因で生じる

ちなみに、高齢者に多い誤嚥性肺炎も、誤嚥した食物と一緒に口腔内の細菌が気管に入ることで生じます。
そして残念なことに、どれだけ口の中をケアしても、口腔内の細菌をゼロにすることはできないのです。

ゼロにすることはできませんが、口腔内の環境を良好に保つことで、誤嚥性肺炎の原因となる菌を減らし、一定期間、予防することはできます。
その方法が、今回ご紹介する「緑茶うがい」です。

口腔内の悪玉菌を除去する緑茶うがいのやり方

カテキンの抗菌作用で口内環境を改善する

緑茶うがいは、夜の歯磨きの後に行います。
ティースプーン山盛り1杯の粉末緑茶を、ぬるま湯で溶かし、それでよく口をゆすぎます。

緑茶に含まれるカテキンには、強い抗菌作用や殺菌作用があります。
私はカテキンの力を利用して、企業と共同で高齢者向けの口腔ケアジェルを開発しました。

ジェルにしたのは、長い時間、しっかりとカテキンを口腔内に留めるためです。
緑茶うがいは、ジェルほど口内に残留しませんが、同様の殺菌・抗菌効果が期待できます。

実際、テレビ番組で緑茶うがいをご紹介したところ、視聴者から「朝の口のネバつきが消えた」「口がスッキリした」といった反響をいただきました。
緑茶うがいのメリットは、口の中を守る善玉菌は殺さず、食中毒の原因となる菌や歯周病菌、ムシ歯菌、またインフルエンザウイルスなどだけを駆除して、口腔内環境を整えるところにあります。

口の中の善玉菌とは、前述のレンサ球菌のことです。
レンサ球菌は、口腔内にいる限りにおいては、口腔内を病原菌から守る善玉菌として働きます。

薬剤で口腔内の細菌を駆除しようとすると、こういった善玉菌まで死滅させてしまうのですが、緑茶うがいは安心して使用できます。
緑茶うがいを行う前は、念入りに歯を磨きましょう。

最期の日まで細菌とうまく共存を目指す

余談になりますが、46億年にもなる地球の歴史を、1年にたとえると、地球の誕生が1月1日だとしたら、細菌が出現したのは2月28日頃(約40億年前)になります。

そして人類が誕生したのは、大晦日の夜8時半頃(数千万年前)といわれています。
長い生存競争を耐え抜いて現存する細菌に、人間が到底かなうはずがないのです。

それどころか、細菌のおかげで、私たちの体は免疫力(病気に対抗する力)が発達したり、栄養を得たりすることができるのです。
むやみに細菌をどうこうしようとするよりも、いかにうまく共存していくかが、私は大切だと思っています。

前述したように、免疫力が落ちれば、それまでおとなしくしていた細菌が一気に私たちを攻撃したり、殺しにかかります。
私は「人の寿命=常在菌と共存できる期間」と考えています。

現在、„菌活"と称して腸内環境を整える人が増えているようですが、口腔のケアも、ぜひ意識してください。
その一助として、緑茶うがいで、口腔内の環境を良好に保つことをお勧めします。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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