中高年<おしっこの悩み>ナンバーワンは男女とも「夜間頻尿」

中高年<おしっこの悩み>ナンバーワンは男女とも「夜間頻尿」

実は、あらゆる排尿障害の中で、最も悩んでいる人の数が多いのがこの夜間頻尿なのです。【解説】関口由紀(女性医療クリニックLUNAグループ理事長・LUNA骨盤底トータルサポートクリニック院長)


「尿量」増加と 「容量」低下

 もしあなたが、おしっこがしたくて、夜に何度も起きてしまい、そのことに困っているのなら、「夜間頻尿」という排尿障害の一つだといえます。

 この「困っている」「悩んでいる」というところがポイントで、一度起きるとなかなか寝付けなかったり、睡眠不足で翌日の生活に差し支えたりする場合を指します。

 実は、あらゆる排尿障害の中で、最も悩んでいる人の数が多いのがこの夜間頻尿なのです。
 そもそも頻尿とは、「尿が近い、尿の回数が多い」症状のことです。頻尿は加齢とともに増加しますが、夜間頻尿も40代では約4割、70代になると約8割の人に症状が見られるというデータが出ているのです。

 夜間頻尿と聞くと、前立腺肥大症(膀胱下にあるクルミ大の器官である前立腺が加齢とともに肥大する男性特有の病気)との関係から、男性に多いというイメージを持たれがちです。

 しかし実際は、男女差はほとんどなく、夜間頻尿は中年以降になると、男性も女性も多くの人が悩まされる症状なのです。

 夜間頻尿の原因はさまざまですが、大きく、次の二つに分けることができます。

・睡眠中に尿量が多くなる「夜間多尿」
・少量しか尿をためられなくなる「膀胱異常収縮」

 後者の膀胱異常収縮は、膀胱が収縮したり、過敏になったりしておしっこをためておく「容量」が低下し、それが頻尿につながります。これらは、男性の前立腺肥大、女性に多い過活動膀胱(膀胱に尿がじゅうぶんたまる前に強い尿意切迫感が起こり尿をもらしてしまう病気)、脳や脊髄の病気などで引き起こされます。

 一方、前者の夜間多尿は、まぎれもなく「尿量」が多くなる症状です。しかも、本来、夜間に増えるはずのない尿量が、夜間に増え過ぎてしまう状態を指します。こういった患者さんが、かなり増えてきています。

寝る前に 足のむくみを取ること

 この「夜間に増えるはずのない尿量が、夜間に増え過ぎる状態」はなぜ起こるのか。

 その正体は、むくみ(浮腫)です。なかでも、足のむくみは、夜間頻尿へ直結しやすいので注意が必要です。
 体のむくみとは、細胞間質液(細胞と細胞のすきまを満たす液体)と、血液に含まれる水分の浸透圧のバランスがくずれたことで、細胞間質液が増え過ぎてしまうことによって起こる症状です。
 むくみの原因は、腎臓や肺、心臓などに疾患がある場合もありますが、冷え、運動不足、出産、水分や塩分の取り過ぎでも起こります。ほかに、加齢とともに血管が硬くなる動脈硬化が進んだことで起こることもあります。

 では、足のむくみが、なぜ夜間頻尿に直結しやすいのでしょうか。
 通常、私たちが睡眠をとるときには、それまで立って活動していた体を、横にします。こうなることで、足より高い位置にあった心臓が、足の高さと同じ位置になります。
 その結果、足から心臓に戻る血液(静脈)の流れが一気によくなります。このとき足がむくんでいると、たまり過ぎていた細胞間質液が血管内にどんどん流れ込んでいきます。

 足のむくみにとっては、それが解消されることはいいことなのですが、この多量に流れ込んだ水分(細胞間質液)が尿となり、夜間多尿の原因となってしまいます。入眠して数時間後、膀胱におしっこがたまっていっぱいになり、尿意で目が覚めてしまうのです。

 長く夜間頻尿に悩まされてきたかたは、まずは足のむくみを疑ってみるべきです。
 思い当たることがあるようなら、次の二つを心がけてみましょう。
・就寝前に、足のむくみを取る ようにすること
・そもそも、日中に足がむくま ないようにすること

 このような工夫をすることで、夜間頻尿を改善に導くことができるでしょう。次項では、足のむくみと夜間頻尿の具体的な改善法をご紹介します。

関口由紀
 1989年、山形大学医学部卒業。泌尿器科専門医、漢方専門医、横浜市立大学大学院医学部 泌尿器病態学 非常勤教授。2005年、横浜元町に女性医療クリニック・ LUNAを開設。中高年女性のトラブルに多方面から対応している。女性泌尿器科、女性内科、婦人科、乳腺外科による内的な健康サポートとともに、美容皮膚科によるアンチエイジングを気軽に楽しめる医療空間の提供をめざしている。主な著書に『女性ホルモンの力でキレイをつくる本』(朝日新聞出版)、『女性外来の骨盤底筋トレーニング』(宝島社)などがある。

これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに掲載しています。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

これらの記事にある情報は、効能や効果を保証するものではありません。専門家による監修のもと、安全性には十分に配慮していますが、万が一体調に合わないと感じた場合は、すぐに中止してください。

この健康情報のエディター

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