解説者のプロフィール

白石美緒
イーストワン皮膚科・形成外科院長。
1994年青山学院大学理工学部卒業。1999年東海大学医学部卒業。順天堂大学医学部附属順天堂医院で整形外科、麻酔科ペインクリニック科での診療を経て、東京皮膚科・形成外科へ。2017年よりイーストワン皮膚科・形成外科院長となる。アンチエイジング術を得意とする。46歳という年齢が信じられない若々しさとポールダンスが趣味という意外性から、「マツコ会議」(日本テレビ)で「セクシー女医」と紹介され、話題を呼んだ。
●イーストワン皮膚科・形成外科
東京都港区港南2-16-1品川イーストワンタワー3F
TEL 03-5479-3388
https://e-onetower.jp/
トマトの成分「GABA」がストレスや不安を軽減させる
GABA(γアミノ酪酸)は、脳の神経伝達物質の一つで、高いリラックス効果をもたらす作用で、注目を集めている機能性成分です。
ドーパミンやノルアドレナリンといった、興奮状態で多く分泌される神経伝達物質を抑え、副交感神経を優位にさせる働きがあります。ストレスや不安を軽減させる作用があり、うつや不眠、脳機能の向上効果など、多くの研究が進んでいます。
また、高血圧の改善にも有効なことがわかっています。GABAは、血管を収縮させ血圧を上げるノルアドレナリンの働きを抑えて血流をよくし、腎機能を高めてナトリウムの排泄を促してくれるのです。
GABAは元々、体内でも作られている物質ですが、そうした健康効果から、GABAを付加・強化した発芽玄米やチョコレートなどの商品も多数出ています。
けれども、もっと身近に、手軽にGABAが補給できる食べ物があるのをご存じでしょうか。それがトマトです。
トマトやナス、ジャガイモなどナス科の野菜はGABAを多く含みますが、なかでもトマトは、100g当たりのGABAの含有量が50~60mgと、トップクラスの食品なのです。中サイズのトマト1個で、1日30~50mgといわれるGABAの摂取推奨量を十分にまかなえます。
もう一つ、トマトの健康効果の説明で、よく知られているのが、トマトの特徴である鮮やかな赤色を作っているカロテノイド「リコピン」の持つ抗酸化作用でしょう。
老化の原因となる活性酸素によって、細胞がサビてしまうのを防ぐ働きがあります。
トマトに含まれるGABAやリコピンは、熱にも安定性があるため、いろいろな料理に取り入れて、継続して食べていくのがお勧めです。
スパイシーなトマトスープがお気に入り
普段、ほとんど生野菜を食べることがない私が、唯一生でも食べる野菜が、トマトです。
実家では、父が気に入ったトマトジュース(オオカミの桃)や、甘味の強い群馬県のフルーツトマトを定期的に取り寄せているので、毎日のように食べていました。
イギリス留学中によく食べていて、好きだったのが、焼きトマト。ベーコンエッグやベイクドビーンズ(豆)などとともに、イギリスでの朝食の定番メニューです。
サッと焼いて、オイルとともに食べることで、脂溶性(油に溶ける性質)のカロテノイドの吸収がよくなるのも利点です。
最近の我が家の食卓でよく出てくるのが、スパイシーなエジプト風トマトスープです。
鶏肉にトマト、ニンジン、タマネギ、オクラ、ジャガイモ、パプリカを加えて煮込み、スパイスで味つけした、夫の得意料理なのです。ガラムマサラ、クミン、カルダモンなどのスパイスが効いた、ミネストローネ風のスープで、とてもおいしいだけでなく、肉と野菜がバランスよく食べられるヘルシーなメニューです。
皆さんも、いろいろなメニューにトマトを取り入れて、健康と若さの維持に役立ててください。

ガラムマサラ、クミン、カルダモンなどのスパイスが効いたエジプト風トマトスープは、白石先生のご主人の得意料理。鶏肉、ニンジン、タマネギ、オクラ、ジャガイモ、パプリカなどの野菜もたっぷり食べられる

白石先生が作った豚スペアリブのトマト煮込み。肉や魚などのたんぱく質を適度に食べるのも若々しい体を作るには、とても大切。