栄養価は高いのにコレステロールはゼロ!
牛乳とお酢。
どちらもすぐ手に入る身近な食材で、「常備してある」という家庭も、少なくないのではないでしょうか。
実は、この二つがそろえば、「ノーベル賞級」に健康にいいスーパーフードが作れます。
それが今回ご紹介する「ミルク酢」です。
温めた牛乳にお酢を加えると、液体と固体に分離していきます。
これをざるでこしてできる液体を、ミルク酢と呼んでいます(基本的な作り方はミルク酢の作り方参照)。
ざるに残った固体のほうは、ミルクチーズと呼んでいます。
私がミルク酢の健康効果に気づいたのは、5年ほど前でした。
もともとはミルクチーズを作るために、この作業を行っていました。
すると、牛乳を研究している先生が「栄養価のほとんどは、ミルク酢のほうにある」と教えてくれたのです。
調べてみると、牛乳に含まれるビタミンB群やミネラルの8割以上はミルク酢に移っていました。
ミルク酢は、カロリーが低い一方で、コレステロールは、なんとゼロ!
しかも、酢の効用で消化吸収がよく、ミネラルなどの栄養分が、牛乳として飲むよりもスムーズに体内に入っていき、吸収されやすくなっていました。
これは利用しないともったいない!そう思いました。
五味を持つのでどんな料理とも相性抜群!
ミルク酢は、そのまま飲むと、ほのかな酸味だけで、味がほとんどありません。
牛乳の風味もないので、牛乳が苦手な人でも飲めると思います。
料理にも、水やだしの代わりに使ったり、お酢代わりに使ってみました。
その結果、ほぼすべての料理が、ミルク酢を使ったほうが、使わないときよりもおいしくなったのです。
特に、ミルク酢を加えて炊いたご飯には、感激しました。
お米がツヤツヤして、米独特の甘味やうま味が増すのです。
しかも、冷めてからも、ご飯がおいしいままなのには驚きました。
ミルク酢は味がないようでいて、実は甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の五味を、すべて含んでいます。
ですから和・洋・中どんな料理にもなじみ、味のバランスを整えてくれるのです。
調味料を控えめにしても、素材の味を引き立てるので、料理がおいしくなります。
その結果、減塩にも役立ちます。
ミルク酢の健康効果と栄養素

ミルク酢は、普段の食事に取り入れるだけで、いつもどおりに食べても、次のような健康効果が期待できます。
①高血糖の予防・改善
ミルク酢には、糖の吸収を抑えるミネラルが豊富に含まれています。
②高血圧の予防・改善
ミルク酢に含まれるカリウムには、過剰な塩分を排出し、血管を広げる働きがあります。
さらに、血圧の上昇を抑え、血管のしなやかさを保つ含硫アミノ酸も含まれています。
③ダイエット
ミルク酢には糖質や脂肪の代謝を促す成分が豊富に含まれています。
ダイエット効果を促進するには、次の2点に留意するとよいでしょう。
1、食前にミルク酢を飲む
血糖値が急上昇すると、余ったエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなります。
食前か食事中にミルク酢を飲んで、血糖値の急上昇を防ぎましょう。
2、ご飯を1~2割減らす
やせたいけど、ご飯などの糖質を制限するのは気が進まないという人は、ミルク酢でご飯を炊き、いつもより1~2割だけ、ご飯の量を減らしてみてください。
これだけでも、減量効果は出やすくなります(作り方はミルク酢活用レシピ参照)。
そのほかにも、便秘の解消や、慢性的な疲労の回復など、数多くの健康効果を私自身、感じています。
講演会や料理教室などで、ミルク酢の健康効果についてお話ししたところ、知り合いの医師や大学の先生たちから、「ノーベル賞級のスーパーフードだ」との言葉をいただきました。
医師たちからいただいた言葉を引用しますと、「健康効果が得られる食品はたくさんある。
しかし、ミルク酢のように低カロリーで、栄養価が高いものはほかにない」
「塩分を含まず、これほどしっかり食材の味を引き出すものはほかにない」とのこと。
現在、科学的にミルク酢の効果を検証するための研究も行われています。
ミルク酢は、お金がかからず作れて、保存もできます。
ミルク酢を料理に活用する方法は、別記事(ミルク酢活用レシピ)でご紹介しているので、ぜひご覧ください。
おいしく食べて、気持ちのいい体をつくっていきましょう!
解説者のプロフィール

小山浩子
管理栄養士・料理研究家。高血圧協会理事。料理教室の講師やメニュー開発、雑誌の栄養コラム執筆、NHKはじめ健康番組出演等、幅広く活動。考案した乳和食は多数の医師においしく減塩できると好評。近著『病気にならない体をつくるミルク酢健康法』(青春出版社)が好評発売中。