MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
【熱中症予防のコツ】水分補給に経口補水液 エアコンの設定温度と扇風機の併用について

【熱中症予防のコツ】水分補給に経口補水液 エアコンの設定温度と扇風機の併用について

熱中症は私たちの日常生活の中での注意や工夫で予防することができます。たとえば、服装です。また、水分補給についても、実は「水分」だけを補給するのではいけません。そのほかに、エアコン等の空調の使い方のコツなどをご紹介します。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)

熱中症対策はいつからはじめたらいいでしょうか?

大澤:
熱中症は高温多湿、風のない環境下で発症します。
近年、地球温暖化や、都市部のヒートアイランドといった気象異常が起き、昔より、気温が高くなる日が多くなっています。

また、梅雨の合間でも、気温が上昇し、湿度も高いような日があります。
梅雨が始まる前から、暑さに体を慣らし、熱中症を予防する生活を心がけることが大切です。

自分でできる予防はあるのでしょうか

大澤:
私たちの日常生活の中での注意や工夫で熱中症の予防はできます。

たとえば、服装です。
男性は、ネクタイを外し、ゆったりとした通気性のいい服装をすることが、熱中症の予防にも効果的です。
女性の場合は、肌を締め付けすぎない服装や、通気性のいい素材を選ぶといいでしょう。

また、こまめな水分補給や規則正しい食事、体温を調節する機能を高めるための軽い運動習慣を心がけるといいでしょう。

熱中症予防の水分補給はどのようなものを選べばいいでしょうか

大澤:
熱中症予防の1つとして「水分補給をしっかりと行う」ことが大切です。熱中症は汗を大量にかいて、水分や塩分(ナトリウム)が失われることで引き起こされますので、この「水分補給」は、実は水分だけを補給するのではいけません。塩分が含まれる経口補水液やスポーツドリンクなどを選ぶようにしましょう。

また、水だけを摂取すると血中のナトリウム濃度が低下して、熱けいれんを引き起こすことがあります。水だけを摂取せず、塩分を含む食品も一緒にとるといいでしょう。

カフェインを含むコーヒーや、緑茶は利尿作用があるため熱中症の予防としては不向きです。

アルコールも、摂取した量以上の利尿作用がありますので脱水を招く原因になります。
お酒を飲むときは水分も一緒に飲むといった工夫をするといいでしょう。

次に、飲み方についても注意が必要です。

スポーツ時にこまめに水分補給をすることはもちろん、入浴の前後、就寝前など、汗をかく時には、意識して水分補給をおこなう必要があります。
何もしなくても、汗などで1日1,000ccもの水分を失っており、特に気温が高いような日は、自分でも意識してないうちに汗をかき、軽い脱水症状を起こすことがあります。
喉が渇いてからではなく、渇く前から水分を補給するよう意識してください。

エアコンなどの空調の使い方のコツはありますか?

大澤:
「エアコンは体に悪い」「エアコンが苦手」と考える方も多いでしょう。

だからといって、気温が高い日に我慢をして暑い中で日常生活を送っていると熱中症を引き起こす原因になりかねません。
室温は28度を目安とし、設定温度を低くしすぎないことが重要です。

特に24度を下回ると皮膚表面の血管が収縮し、体内の熱が放散されにくくなるので気をつけましょう。
暑いと感じたり、肌寒いような場合はこまめに温度調節を行いましょう。

また、エアコンの冷たい風が体に直接当たらないよう風向きなどを工夫しましょう。

扇風機やサーキュレーターとの併用もおすすめです。
冷たい空気は下にたまるので、空気を循環させることで足元が寒くなりすぎるということも避けることができます

大澤直人
2011年高知大学医学部卒業。
高知大学医学部附属病院老年病・循環器内科医師。
PADIスキューバダイビングインストラクター。
高知スクーバ・ダイビング安全対策協議会理事。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この記事のエディター
関連するキーワード
関連記事
熱中症は7月8月の日中に最も多く見られます。熱中症は、乳幼児から高齢者まであらゆる年代で起こる病気です。なかでも高齢者は重症化する場合が多いのです。また服薬や持病のある方も熱中症にかかりやすいリスクがあるといえるでしょう。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
これまで、疲労が起きるのは、「エネルギーがなくなるから」「疲労物質が筋肉にたまるから」と考えられてきました。しかし、最新の研究によって、疲労が起きるほんとうの理由は、「自律神経の中枢である、脳がサビつくから」ということが、わかっています。【解説】梶本修身(東京疲労・睡眠クリニック院長)
症状の原因ははっきりとはわかりませんが人工透析を行う人には老若男女問わずよく現れるものです。これに薬で対応しようとすると体にもっと大きな負担がかかってしまいますし、副作用も心配です。少しでも患者さんの体に負担をかけずに症状をやわらげるのに「手のひら押し」が有効だと思っています。【解説】佐藤孝彦(浦安駅前クリニック院長)
東洋医学には五行思想というものがあり、人の体に起きるあらゆることは五臓につながっていると考えられています。涙がすぐに出るのは、「憂い、悲しむ」感情からです。 これは、五臓の中の「肺」の弱りから発する感情です。肺が弱い体質、もしくは肺が弱っているのかもしれません。【解説】田中勝(田中鍼灸指圧治療院院長)
手のひら押しのよいところは、いつでもどこでも自分でできて、効果がその場でわかることです。悪いところは手のひらに表れており、そこを押せば、その刺激が手から末梢神経を通り、脊椎を介して、対応する器官や臓器に届きます。それが、全身の回復につながります。【解説】足利仁(手のひらデトックス協会代表理事)
最新記事
熱中症は7月8月の日中に最も多く見られます。熱中症は、乳幼児から高齢者まであらゆる年代で起こる病気です。なかでも高齢者は重症化する場合が多いのです。また服薬や持病のある方も熱中症にかかりやすいリスクがあるといえるでしょう。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
熱中症は私たちの日常生活の中での注意や工夫で予防することができます。たとえば、服装です。また、水分補給についても、実は「水分」だけを補給するのではいけません。そのほかに、エアコン等の空調の使い方のコツなどをご紹介します。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
手洗いの時間の目安は、おおよそ30秒。次のような手順で洗っていくと、少なくともそれくらいの時間が必要であることが実感できるでしょう。
新型コロナウイルスには、まだ特効薬やワクチンはなく、感染しないための予防法を徹底することが重要です。自分一人ひとりができる感染症対策のポイントをチェックしてみましょう。
コンブを水に漬けて冷蔵庫で10日ほど発酵させ、乳酸菌と酵母を培養する「コンブ酵母」が話題になっています。コンブ特有のにおいが軽減し、旨みが濃くなるので、そのまま飲んでも、料理に使ってもよし!食生活に取り入れる人が急増中です。コンブ酵母の作り方と、コンブ酵母の活用レシピをご紹介します!【レシピ】COBOウエダ家

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt
get_app
ダウンロードする
キャンセル