チャンピサージ「脳マッサージ」の効果 筋膜を緩め全身の痛みを和らげる
脳の静脈に鬱滞が起きると、脳脊髄液とリンパ管など全身の循環に大きな影響が及び、さまざまな病気や不調の原因となるのです。脳マッサージで帽状腱膜を動かせば、全身の筋膜が緩むので、全身の痛みの緩和も可能です。【解説】上馬場和夫(帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科教授・医学博士)
解説者のプロフィール
上馬場和夫
帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科教授・医学博士。
1982年、広島大学医学部卒業。日本統合医療学会認定統合医療指導医。日本補完代替医療学会学識医。L.C.I.C.I. JAPAN 顧問。アーユルヴェーダとヨーガを中心に中国医学、現代医学なども融合させた治療や研究を行っている。著書多数。
全身の「循環」を促す理にかなった手技
「脳マッサージ」と紹介されている「チャンピサージ」のルーツは、古代インドからの伝統医学であるアーユルヴェーダにあります。
アーユルヴェーダを含む東洋医学と、現代西洋医学の治療には、1つの大きな共通点があります。
それは「循環の促進」です。
生体における循環とは、「血管系」「リンパ管系」「脳脊髄液系」の3つの流れです。
これらの循環をよくするためには、静脈へのアプローチが最も効果的です。
静脈血がうまく流れて心臓に帰れば、心臓から、じゅうぶんな血液が動脈へ流れます。
また、リンパ液や脳脊髄液も最終的には静脈に流れ込みます。
静脈はいわば、全身の循環のハブ。
正常な循環を保つには、静脈の流れが重要というわけです。
特に脳は、心臓から送り出された血液のうち約15%が流れ込みます。
脳の静脈に鬱滞が起きると、脳脊髄液とリンパ管など全身の循環に大きな影響が及び、さまざまな病気や不調の原因となるのです。
脳の静脈の鬱滞を防ぎ、全身の正常な循環を促す方法の1つが「脳マッサージ」です。
頭蓋骨内の静脈は、頭蓋骨を貫く「導出静脈」を介して、頭皮の静脈とつながります。
導出静脈は、特に頭頂部や後頭部に多く存在します。
脳マッサージは、頭部全体の導出動脈を刺激できるので、脳の静脈の鬱滞防止に効果的と考えられます。
頭皮をほぐすと全身のこり、痛みが消える
ところで私たちの筋肉は、筋膜という薄い組織に包まれています。
筋膜は頭から脚まで全身タイツのように張りめぐらされ、連鎖しあいます。
頭部の筋肉も「帽状腱膜」という筋膜に包まれています(下図参照)。
しかし帽状腱膜は、加齢やストレスによって弾力を失ったり(萎縮)、腱膜の腺維どうしが硬くくっついたりしがちです(癒着)。
こうなると、帽状腱膜がつながっている全身の筋膜も硬くなり、肩こりや腰痛や関節痛など、こりや痛みが発症します。
脳マッサージで帽状腱膜を動かせば、全身の筋膜が緩むので、全身の痛みの緩和も可能です。
なお、マッサージの前に行う深呼吸には、脳の血流を促し、老廃物を一掃する効果もありますので、ていねいに行ってください。
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