足指の刺激で体の痛みがよくなる人が続出
私は若い頃から拳法で鍛え、道場で拳法家の育成にも努めています。
30代前半までは、仕事に、拳法にと精力的な日々を送っていましたが、
30代後半になると、とたんに肩こりや座骨神経痛など、さまざまな痛みが生じるようになりました。
道場では冬もはだしなので、どうしても体が冷えます。
私の足は常に冷たくて、
板張りの床では足裏がしびれるほどでした。
また、拳法の蹴りは股関節に負担をかけます。
気がつくと、腰痛や足のしびれ、頭痛、胃腸が弱いなど、
体はガタガタになっていたのです。
なかでもひどかったのは、座骨神経痛です。
寝ても起きても激痛で、
しだいに、休み休みでないと歩けないほどにまでなりました。
そんなある日、足もみの先生を紹介していただきました。
時間がなくて、片足だけもんでもらったのですが、
あれほど冷えていた足が、ポカポカと温かくなったのです。
しかも、足だけでなく、
体全体が心地よく温まり、血が通っていくのを感じました。
これに感動した私は、以来30年近く、
体の故障を足などで治すことを研究してきました。
その経験から、
私は「血流をよくすることが、健康維持のいちばんの秘訣である」と考えています。
そのためには足裏マッサージや、
第二の心臓と呼ばれるふくらはぎをもむことが、大きな効果を発揮します。
しかし、足裏やふくらはぎは、もみ続けていると効果が薄れ、
それだけでは限界があることもわかってきました。
「もっといい方法はないか?」と、あれこれ模索していたある日のこと。
移動中の新幹線で生じた座骨神経痛を和らげようと、
私は、試しに足の小指を刺激してみました。
足の小指を選んだのは、座骨神経からの血流は、
ふくらはぎの外側を通り、最終的に小指へ通じている、と直感したからです。
すると案の定、刺激してすぐ痛みが和らぎました。
この体験を機に、痛みに苦しむ人々の施術に、
足の指を刺激する手法を取り入れたところ、
肩こりや腰痛、ひざ痛などがよくなる人が続出したのです。
なぜ足の指への刺激で痛みが改善するのか
では、なぜ足の指を刺激することで痛みが改善するのでしょうか。
多くの人の足の指を見てわかったことは、
体の先端である足の指には、老廃物がたまりやすいということです。
子どもから大人まで、
ほとんどの人の足の指には、老廃物がたまっています。
なかには、指がパンパンになっている人もいます。
老廃物がたまると、
そこで血流が阻害されるため、体のすみずみまで酸素や栄養が行き渡らなくなります。
そうなると、あちらこちらに痛みや障害が発生します。
逆に、足の指を刺激することで老廃物が取り除かれれば、
血流がよくなり、その結果、痛みなどの症状も改善するというわけです。
実際、施術を行っていると、「体が温かくなった」という声がよく聞かれます。
これは血流がよくなった証拠です。
血流が改善されれば、痛みは自然に消えます。
このように老廃物を取り除く足の指刺激は、
誰でも自宅で簡単にできるので、私は多くのかたがたにお勧めしています。
コリコリは老廃物!しっかり刺激して取ろう
やり方のポイントは、
例えば腰の左側が痛ければ左足といった具合に、
体の痛い部分と同じ側の足の「小指」と「親指」を重点的に刺激することです。
この2本の指に最も老廃物がたまりやすいからです。
ただし、ほかの3本の指にも老廃物がたまらないわけではないので、
時間に余裕があれば、これらの指も刺激すると、なおよいでしょう。
また、目的は老廃物を取り除くことなので、
表面だけなでるように刺激しても意味がありません。
指で触ってコリコリしたものや硬い部分が見つかったら、
痛くてもそれを取り去る気持ちで、グイグイと力を込めて刺激してください。
骨だと思っている部分でも、
老廃物のしこりである場合が多く、
力を入れて刺激すると消えてなくなることが多々あります。
老廃物がきちんと取り除かれれば、
わずか1分で効果が現れることもあります。
力が入りにくい場合は、
先が丸くなったペンのキャップなどで刺激してもよいでしょう。
ただし、骨や血管を傷つけないよう、
力加減にはくれぐれも注意してください。
市販のハンドクリームなどを塗って、滑りをよくしておくこともポイントです。
二日酔いや子どもの成長痛にも効果
私は、これまでに500人以上の人に足の指刺激を行ってきましたが、
その即効性には誰もが驚きます。
定期的に開催しているセミナーでは、
座骨神経痛による足のしびれや指の感覚のマヒがその場で解消したり、
四十肩・五十肩がよくなったりと、多くの人に喜ばれています。
拳法の道場では、打撲の治りが速くなったり、
成長痛と呼ばれる子どもたちのひざ痛にも効果を発揮しています。
合宿でひどい二日酔いになった道場生に足の指刺激を行ったら、
体調がたちまちすっきりした、という出来事もありました。
足の指刺激で血流がよくなると、
内臓の働きもよくなるので、胃痛や便秘も改善されます。
そのほか、頭痛やギックリ腰、ムチ打ち症、ねんざ、股関節痛など、
全身の症状への効果が期待できるでしょう。
足の指刺激はいつ行ってもかまいませんが、
お勧めは、朝と夜寝る前です。
老廃物を取り除いてすっきりすれば、
1日を快適にスタートできますし、夜は寝つきがよくなります。
1日1回でもOKですし、食後に行っても特に問題ありません。
運動した後に行えば、疲れが残りにくいでしょう。
体の柔軟性も高まるので、スポーツをしている人にもお勧めです。
足の指刺激のやり方

刺激する範囲
足の指全体。特に、小指と親指のつけ根の濃く塗りつぶした箇所は重点的に行う。
行う前の準備
市販のハンドクリームなどを塗って、足の滑りをよくしておく。
どちらの足を刺激するか症状のある側と同じ側の足を刺激する。
どちら側が痛いかわからない場合や、痛みが左右両方にある場合は、両足に行う。
行う時間と回数
いつ行ってもかまわないが、お勧めは朝と夜寝る前の1日2回。
片足2分を目安に行う。

刺激のしかた①
指で強く押し込む
指を滑らせず、1点をぐいぐい押し込む(写真は小指の場合)
刺激のしかた②
指で押し込みながら、もみ込むように移動させる
ぐいぐい押し込みながら、指を滑らせる。
滑らせる方向は自由(写真は小指の場合)
解説者のプロフィール

原田秀康(はらだ・ひでやす)
●国際足健法協会
http://www.sokukenhou.com
巍桜流拳法二代目宗家。
国際足健法協会会長。
30代半ばから体調をくずし、このとき足裏健康法に出合う。
独自に研究を進めるうちに、ふくらはぎや太もも、足指などの重要性を見いだし、LTF療法を確立。
さらなる研究に邁進している。
著書『長生きはふくらはぎで決まる!』(福昌堂)が好評発売中。