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【下肢静脈瘤】予防改善に効果的な栄養素と食事アドバイス

【下肢静脈瘤】予防改善に効果的な栄養素と食事アドバイス

下肢静脈瘤は、ひどくなったら足を切断しなくてはならないなど、誤解もしばしばある病気ですが、下肢静脈瘤は、適切な治療で治る病気です。さらに軽度の下肢静脈瘤であれば、生活習慣の改善とセルフケアで症状を軽くしたり進行を食い止めたりすることは十分に可能です。【解説】阿保義久(北青山Dクリニック院長)

手術後の再発防止にも食事療法が有効

 下肢静脈瘤は、誤解もしばしばある病気です。例えば、静脈瘤がひどくなったら足を切断しなくてはならないと思い込んで、通院をためらうといった話を耳にすることもあります。

 これはまったくの誤解。おそらくですが、糖尿病の合併症である足の壊疽や潰瘍と、下肢静脈瘤が重症化したときの潰瘍を混同してしまったのでしょう。

 下肢静脈瘤は、適切な治療で治る病気です。さらに、軽度の下肢静脈瘤であれば、生活習慣の改善とセルフケアで、症状を軽くしたり進行を食い止めたりすることは、十分に可能です。

 さて、生活習慣の中でも、今回私が特に重視したのが、食事です。近年の研究で、静脈を強化して、静脈の機能低下を防ぐために有望な栄養素が続々と見つかっています。
これらの栄養素を積極的にとることは、下肢静脈瘤の予防や改善、そして、再発防止にも有効です。ですから、下肢静脈瘤の手術を経験されたかたも、ぜひ試してください。

 以下に、食事療法で得られる効果と、お勧めの栄養素を紹介します。その栄養素を含む食材については、下記の表も参考にしてください。

食事療法で得られる効果

●効果1 血管壁を強化する
 静脈が弱って伸びてしまうと、下肢に血液が滞留して、コブやむくみといった下肢静脈瘤のさまざまな症状が現れます。そこで、静脈の血管壁を強化して、血管が伸びないように防ぐことが重要になります。
 血管壁を強化する栄養素は、ルチンやヘスペリジン、ビタミンB群やビタミンDです。

●効果2 血管新生を阻害する
 血管が詰まったり細くなったりして血流が悪化した場所に、新たに血管が作られる現象を「血管新生」といいます。こうして新しくできた血管はもろくて壊れやすく、下肢静脈瘤の引き金の一つになっている可能性があると考えられています。
 血管新生を阻害する働きがあるのは、アントシアニンです。

●効果3 血管壁の酸化ダメージや炎症を軽くする
 血管内で発生する活性酸素は、血管壁を傷つけ、炎症を引き起こします。この活性酸素の働きを抑える「抗酸化物質」の代表格が、ビタミンA、C、Eの抗酸化ビタミンや、植物の苦味、渋味、色素の成分であるポリフェノール類です。

●効果4 便秘を解消し静脈圧を低下させる
 便秘は下肢静脈瘤の大敵です。便秘になると、排せつ時に大きな腹圧をかけなければいけません。すると、腹腔の後ろを通る下大静脈が圧迫されて静脈圧が上がり、静脈の逆流防止弁にも過度な負担がかかります。
 便秘を防ぐために、食物繊維を積極的にとりましょう。摂取の目標は1日20gです。

●効果5 血液をサラサラにする
 静脈圧を上げてしまうもう一つの要因が、血液粘度(血液のドロドロ度)です。血液がドロドロになると、静脈の血流が悪くなったり途中で滞ったりするので、血液を心臓に戻すために血管に負荷がかかります。
 血液サラサラ成分として有名なのが、EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)です。

 EPAとDHAは、体内で作ることがほとんどできません。血液をドロドロにする血中のコレステロールを減らすとともに、赤血球の柔軟性を高めて、細い血管まで血液を流れやすくします。
 そのほか、硫化アリルやカプサイシン、サポニンにも血液サラサラ効果があります。

下肢静脈瘤に効く栄養素と食品

ダイエットや生活習慣病にも効く

 先に挙げた栄養素が豊富な、下肢静脈瘤の予防・改善に役立つ「ベスト8食材」をご紹介しましょう。
●サケ
 EPA・DHAが多く、血液をサラサラにして血栓を予防する働きがあります。

●かんきつ類の皮
 ユズやレモン、ミカンの皮に多いヘスペリジンには、静脈壁を強化する作用があります。

●アボカド
 血管内皮の酸化や炎症を防ぐビタミンA、C、Eをすべて含む優良食材です。

●ソバ
 静脈壁を強化して静脈の拡張を防ぐルチンが豊富で、血液のうっ滞や逆流を緩和します。

●ブルーベリー
 静脈瘤を引き起こす血管新生を阻害し、抗酸化作用もあるアントシアニンが豊富です。

●海藻
 食物繊維が多く、便秘を改善して静脈圧を下げます。血液サラサラ効果もあります。

●クレソン
 ビタミンA、B群、C、Eほか、多くのビタミン・ミネラルを含む優良食材です。

●ニンニク
 刺激臭の成分・硫化アリルには、血液をサラサラにして血流を改善する働きがあります。

 毎日の食事では、効果1~5で挙げた栄養成分や食材をまんべんなくとるようにします。
 食事の献立は「一汁三菜」を基本にするとよいでしょう。多種多様な食品をバランスよく組み込むことができます。
 食べてはいけない食品は特にありませんが、塩分を控えめにすることと、野菜をたっぷりとることを心がけましょう。

 ここで述べた食事のアドバイスは、下肢静脈瘤の予防・改善、手術後の再発防止はもちろん、肥満の解消や、糖尿病や動脈硬化など生活習慣の予防・改善、肌や内臓など全身の老化予防にも有効です。
食事は健康の要。普段の食生活を見直して、静脈を若々しく元気に保つ食事に変えていきましょう。

食事で下肢静脈瘤を撃退!
レモンなど、かんきつ類の皮は静脈壁を強化する。

解説者のプロフィール

阿保義久(北青山Dクリニック院長)
●北青山Dクリニック
東京都渋谷区神宮前3-7-10 AKERA(アケラ)ビル地下1階
TEL 050-7301-4555
http://www.dsurgery.com/

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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