解説者のプロフィール

原田秀康
巍桜流拳法二代目宗家。国際足健法協会会長。30代半ばから体調をくずし、このとき足裏健康法に出合う。独自に研究を進めるうちに、ふくらはぎや太もも、足指などの重要性を見いだし、LTF療法を確立。さらなる研究に邁進している。著書『長生きはふくらはぎで決まる!』(福昌堂)が好評発売中。
原田秀康(はらだ・ひでやす)
●国際足健法協会
http://www.sokukenhou.com
足の親指の先を刺激するだけで冷えが取れる!
足の裏には、親指を頭、親指のつけ根を首として、かかとへと向かって、全身の内臓や器官に対応する「反射区」が、人体図のように並んでいます。
私は、これらの反射区や、足にあるツボをもむことで、体の痛みや不調を改善させようと、30年以上前から試行錯誤を重ねてきました。
その結果考案したのが、LTF療法です。LTF療法は、ふくらはぎなどの足(Leg)、足の指(Toe)、手の指(Finger)をもんだり刺激したりすることで、血液循環をよくし、痛みや不調を取り去る方法です。
ふくらはぎや足の指、手の指の血液循環がよくなると、体中の血液循環もよくなり、痛みや不調が解消されるばかりか、柔軟な体を得ることができます。しかし、「自分でもむのは面倒」ということで、なかなか続けてもらえないのが悩みでした。
そこで、どんな人でも簡単にできて、効果の高い方法がないかを模索して考案したのが、今回ご紹介する「足の親指刺激」です。
現代人の多くは、LTF(足・足の指・手の指)の中でも、特に足の指がきちんと使えていません。
このため、巻き爪になったり、指先までしっかり血流が届いておらず、栄養不足で爪が変色したりしている人や、老廃物がたまって、指先がカチコチになっている人が珍しくありません。
そこで、足の指に着目し、私が指導している拳法の道場や高齢者のデイケアサービスで、足の指先を刺激する方法をお勧めしたところ、「足が軽くなる」「体が動かしやすくなる」「冷えが取れる」と、大好評をいただいたのです。
考案した当初は、足の指先全部を刺激するよう勧めていました。しかし、最も面積の広い親指の先を刺激すれば、十分な効果が得られることがわかってきたので、現在ではそのように指導をしています。
このほうが、いつでもどこでもこまめに行えるので、結果的には効果も高くなります。
痛いくらい力を入れると効果的
では、足の親指刺激のやり方をご紹介します。
まずは片方の足にやってみて、やっていない足との違いを感じてみてください。やったほうは即座に足が温まり、足が動かしやすい、歩きやすくなる、といった変化を実感できるはずです。
立った状態で、片方の足の親指の先を床の上に立て、少し痛さを感じる程度に力を入れて、親指の先を床に押し当てます。1秒ほどたったら、かかとを下ろします。これを1回として30回行い、反対の足も同様にして行います。
はだしで行っても、靴下をはいたままでもかまいません。転倒が心配な高齢者は、テーブルなどにつかまるか、イスに座って行いましょう。
親指の先を刺激するのが目的なので、布団やクッションなどの柔らかいものの上ではなく、フローリングなどの堅い床の上で行うのがベストです。
痛いくらい力を入れて行うほうが効果がありますが、我慢できないほど痛みが強い場合は、無理をせず、力を加減しながら、少しずつ慣らしていきましょう。
足の親指刺激のやり方

足の親指刺激のさまざまな効果
足の親指刺激を続けていると、全身の血液循環がよくなってきます。すると、ひざや腰などの痛みが、しだいに軽減していきます。
私自身も、30年以上前に痛めた右ひざが完治していなかったのですが、足の親指刺激を続けているうちに、痛まなくなりました。今では、階段を1段飛ばしで下りても平気です。
ほかにも、「冷え症が改善した」「力強く歩けるようになった」「バランスがよくなり、ふらつかなくなった」などの感想が寄せられています。
スポーツ選手からは、「パフォーマンスが向上した」「以前よりパワーが出るようになった」「疲労の回復が早くなった」という報告もありました。
認知症の予防効果も期待できる
また、春先にはこんなことがありました。鼻づまりがひどかった小学生の孫が、「花粉症かもしれない」と言うので、足を観察すると、靴下を重ねばきしてすり足で歩いていました。
すぐに足の指をもんで冷えを取り、足の親指刺激を教えたところ、すぐに顔色がピンク色になり、鼻をかんだらスーッと通るようになったのです。
本来、子どもは血流がよいはずですが、足の指をしっかり使えていない現代っ子は血流が悪く、冷えからくる不調を抱えていることが少なくありません。年齢を問わず、足の親指刺激を行って、血流改善に役立てていただきたいと思います。
足の親指には、頭に対応する反射区があるので、血流改善に加えて、集中力アップや認知症予防などの効果も期待できます。病気などで、自分で行えない場合は、家族が足の親指をもんであげるといいでしょう。
さらに、就寝前に足の親指刺激を行うと、足が温まって寝つきがよくなり、快眠が得られると好評です。「布団に入っても、なかなか寝つけない」という人は、さっそく今夜からお試しください。

階段を1段飛ばしで下りても平気!
足の親指に重心を置くようにすると、より効果的
加えて、もう一つ取り組んでいただきたいことがあります。それは、「歩くときに、足の親指で地面を蹴るように意識して歩く」ということです。
初めはうまくできなくても、足の親指刺激を続けているうちに、指先に力を入れられるようになり、足の指がしっかり使えるようになってきます。
足の指で地面を蹴って歩けるようになると、歩幅が広くなり、足の運びもスムーズになって、つまずいたりころんだりしにくくなります。
加えて、座っているときや立っているときにも、足の親指に重心を置くようにすると、より効果的です。足の親指刺激とあわせて実践してみてください。