強そうな外見とは裏腹に体はガタガタ
長身でがっしりとした体形の私は、その体格を生かして武道家となり、26歳で拳法道場を開きました。
がむしゃらに体を鍛え続けていたのですが、ストイックな鍛錬が災いしたのか、30代半ば以後、体のあちこちから悲鳴が上がるようになったのです。
武道は冬も裸足で行うので、どうしても体が冷えます。
私の足は常に冷たくて、板張りの床では足裏がしびれるほどでした。
また、拳法の蹴りは股関節に負担をかけます。
気がつくと、腰痛や足のしびれ、頭痛、胃腸が弱いなど、頑強な見た目とは裏腹に、体はガタガタになっていたのです。
なかでもひどかったのは、座骨神経痛です。
寝ても起きても激痛で、しだいに、休み休みでないと歩けないほどに……。
マッサージや鍼治療へ行っても、よくなるのはそのときだけ。
「もう治らないのか」と思うと、人生真っ暗になりました。
そんなある日、足もみの先生を紹介していただきました。
時間がなくて、片足だけもんでもらったのですが、あれほど冷えていた足が、ポカポカと温かくなったのです。
しかも、足だけでなく、体全体が心地よく温まり、血が通っていくのを感じました。
この体験から、血流の大切さと、足をもむことの有効性を実感した私は、健康維持に役立つ足のもみ方を研究するようになりました。
武道しか能がない私にとって、体を動かせなくなることは死活問題です。
とにかく、必死でした。そして、行き着いたのが、「ふくらはぎもみ」です。
徹底的にふくらはぎをもめば何をしても取れなかった肩こりがスーッと消えた
当時カチンコチンに硬かった自分のふくらはぎを、私は徹底的にもみました。
ふくらはぎをもむと、何をしても取れなかった肩こりがスーッと消えます。
さらに、体の柔軟性が明らかに増し、その日の稽古では、いつになく体のキレがよくなるのを感じました。
こうして毎日、ふくらはぎをつきたての餅のような軟らかさになるまで徹底的にもんだところ、あれほど私を苦しめた座骨神経痛が徐々に改善し、同時に、冷えもすっかり解消したのです。
現在、67歳になりますが、今では、ふくらはぎが健康のバロメーターになっています。
ふくらはぎが硬くなると、足が冷えて気持ちもイライラします。
ところが、もんで軟らかくすると、足が温もり、体も快適に過ごせるのです。
ふくらはぎのココがかたくなりやすい!

全身の血流の循環にふくらはぎが影響
では、ふくらはぎをもむと、なぜいろんな症状が改善して、体が元気になるのでしょうか。
ふくらはぎは、第2の心臓といわれています。
心臓から送り出された血液は、酸素や栄養素を全身の細胞に届け、老廃物を回収して排泄し、心臓に戻ってきます。
このとき、足の血液を心臓に戻す役割をしているのが、ふくらはぎの筋肉です。
足は体の下部にあるため、重力の影響で血液の停滞が起こりやすいところです。
それを、ふくらはぎの筋肉を動かしてポンプ作用を働かせることで、心臓へと戻しているのです。
ふくらはぎの筋肉が硬くなり、このポンプ作用がうまく働かないと、血液が停滞し、足に老廃物がたまります。
すると、足の冷えやむくみが起こってきます。
それどころか、全身の血液循環が悪くなるため、ありとあらゆる器官に悪影響が及ぶのです。
逆に、ふくらはぎを軟らかくしてポンプの働きをよくすれば、血流が活性化し、連鎖的に体じゅうの血行がよくなります。
血流は元気の源といいますが、血行がよくなれば、全身が元気になります。
ふくらはぎは手でもむのもいいですが、私は、自作の金棒を使っています。
道具を使うと、疲れることなく、徹底的にもみほぐすことができます。
家にある物で代用してもいいでしょう。
触って硬いところがあれば、徹底的にもみほぐします。
外側は軟らかくても、奥のほうにしこりのようなものがあることも多いものです。
最初は痛いかもしれませんが、深部までほぐすつもりで、ゆっくり少しずつ力を入れて行ってください。
ふくらはぎもみは1日2回、朝晩行うとよいでしょう。
ふくらはぎが硬い人は、入浴中または入浴後に行うとほぐれやすいです。
解説者のプロフィール

原田秀康(はらだ・ひでやす)
●国際足健法協会
http://www.sokukenhou.com
巍桜流拳法二代目宗家。
国際足健法協会会長。
30代半ばから体調をくずし、このとき足裏健康法に出合う。
独自に研究を進めるうちに、ふくらはぎや太もも、足指などの重要性を見いだし、LTF療法を確立。
さらなる研究に邁進している。
著書『長生きはふくらはぎで決まる!』(福昌堂)が好評発売中。