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鼻炎や後鼻漏による【鼻づまり】 驚くほど鼻が通る「鼻うがい」のやり方

鼻炎や後鼻漏による【鼻づまり】 驚くほど鼻が通る「鼻うがい」のやり方

世の中には、つらい症状にもかかわらず、一般的な医療では、なかなか改善・治癒に導けない症状や病気が多数あります。実は、これらの発症・悪化を防ぐのにたいへん役立ち、手間もお金もほとんどかからない方法があります。それは、「鼻うがい」です。【解説】堀田修(堀田修クリニック院長)

解説者のプロフィール

堀田修
堀田修クリニック院長。1988年にIgA腎症の根治治療として扁摘パルス療法を考案。扁桃、上咽頭、歯などの病巣感染(炎症)が引き起こす様々な疾患の臨床と研究を行う。
●堀田修クリニック
宮城県仙台市若林区六丁の目南町2番39号
TEL 022-390-6033
http://hoc.ne.jp/

“正しい鼻うがい”は痛くも苦しくもない!

世の中には、つらい症状にもかかわらず、一般的な医療では、なかなか改善・治癒に導けない症状や病気が多数あります。
例えば、関節炎、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、花粉症、肩こり、慢性頭痛、全身倦怠感、めまい、慢性的な鼻水・鼻づまり、後鼻漏(鼻水がのどに流れてくる症状)、大腸炎、ある種の腎臓病などです。

読者の皆さんの中にも、これらの症状や病気で、頻繁に病院に行ったり、薬を飲み続けたりしている人は多いでしょう。
いったんは治療できても、またぶり返し、半ばあきらめている人もおられるかもしれません。

実は、これらの発症・悪化を防ぐのにたいへん役立ち、手間もお金もほとんどかからない方法があります。
それは、「鼻うがい」です。

鼻うがいは、簡単に言いますと「水と食塩を混ぜたごく少量の塩水を鼻の穴から入れ、のどの奥から出す」という方法です。
詳しいやり方は下の画像のとおりで、いたって手軽に行えます。

正しく行えば、入れた水は瞬間的にのどに流れてきて、痛くも苦しくもありません。
こんなに簡単な方法で、なぜ大きな効果があるかというと、鼻うがいで、のどの「上咽頭」という部分を洗えるからです。

上咽頭は、のどの上のほうにあり、鼻から吸い込んだ空気が最初に通る「関所」です。
つまり、外部から侵入した細菌やウイルスと、ファーストコンタクトをとる場所であり、それらと戦う最前線ともいえます。

当然、上咽頭は、病原体から体を守る免疫(病気に抵抗する働き)のしくみと密接に連携しています。
同時に、全身各部の働きを司る自律神経(内臓や血管の働きを調整する神経)とも深く関係しており、いわば「健康の土台」を作る場所です。

ところが、この重要な場所に、現代人のほとんどは多少の差はあれ炎症を持っています。
その炎症が基になって、免疫のしくみや自律神経の働きが乱れると、前述のような症状・病気が起こってきます。

さらに上咽頭の強い炎症が慢性化すると、こうした症状・病気が治りにくくなるのです。
その上咽頭の炎症を防ぐ、あるいは軽いものなら改善できるのが「鼻うがい」です。

驚くほど鼻がス~ス~通る!鼻うがいのやり方

鼻がつまって息がしづらいときには、鼻うがいが効果抜群!
冷蔵庫に生理食塩水を常備しておくと、いつでもすぐに行えます。

STEP1生理食塩水を作る

必要なもの
・水
・食塩

水は蒸留水、精製水(コンタクトレンズ用のもので可)を用います。
水道水はそのまま使わずに煮沸してください

作り方

水1Lで食塩9g。500mlのペットボトルだと4~5gほどの食塩を入れます。
作った生理食塩水はペットボトルなどに入れて冷蔵庫で保管

STEP2鼻うがいのやり方


生理食塩水をスポイトや魚形のしょうゆ容器に入れます
※容器は鼻の穴に入れやすく、押せば水が出るものであれば可


頭を大きく後ろに傾け、生理食塩水を左右、片方ずつ鼻の穴から口へと流します。
1回で鼻の奥に流す量は5ml(小さじ1杯)ずつが目安


口へと生理食塩水が流れてきたら終了。
飲み込んでも問題ありません

朝と晩の1日に2回が基本

チェック!
鼻うがいの直後は鼻をかまないでください。
まれに中耳炎などを引き起こします

医師の療法を基に鼻うがいは生まれた

カゼの予防や改善のために、のどでガラガラとやる普通のうがいをしている人は多いでしょう。
しかし、この普通ののどうがいでは、のどの奥の中咽頭までしか洗えません。

その上にある肝心の上咽頭は、鼻うがいでしか洗えないのです。
中咽頭は、もともと外からの病原体がつきやすい場所ではないので、のどうがいによるカゼの予防・改善効果は、そんなに高くありません。

病原体の侵入や、それによる炎症を防ぐには、上咽頭が洗える鼻うがいこそ効果的なのです。
鼻うがいは、医師による綿棒や器具を使って、上咽頭をこする治療法が基になっています。

この綿棒には、塩化亜鉛という薬を含ませておき、こすって出血させると同時に、薬で焼くことで上咽頭の炎症を取ります。
上咽頭の慢性炎症が強い人ほど、強烈な痛みを伴う治療法なのですが、前述のような症状・病気に劇的に効きます。

私の専門は腎臓ですが、腎臓の糸球体という部分に、免疫が関係した慢性炎症が起こる難病、IgA腎症にも、この治療法がよく効きます。
ほかに、原因不明の倦怠感に襲われる慢性疲労症候群や、全身の痛みに襲われる線維筋痛症、近ごろ話題の子宮頸がんワクチンによる副反応(全身の倦怠感、痛み、しびれなどが起こる)など、一般的な治療法でうまく治せない病気が、この治療法で非常によくなります。

この治療法は、鼻咽腔の頭文字から「Bスポット療法」と呼ばれてきましたが、私は「上咽頭擦過療法」の英名の頭文字をとってEATと呼び、海外にも広めようとしています。
鼻うがいは、いわばEATの家庭版です。

もちろんEATほどの劇的な効果はないとしても、上咽頭を洗浄するには有効で、手軽にできるのが利点です。
深刻な病気の場合は、EATに詳しい医師の下で施療や指導を受ける必要がありますが、そこまで深刻でない前述のような症状・病気を、家庭で改善したい人にはお勧めします。

また、カゼの予防やさまざまな軽微な症状の改善にも役立ちますので、どんな人でも、やれば健康の維持・増進に効果が得られます。
簡単にできて、「健康の土台」をしっかり立て直せる鼻うがいを、ぜひお試しください。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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