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ケトン体を使えるケトジェニックになる方法 「MCTオイル」が効果的な理由

ケトン体を使えるケトジェニックになる方法 「MCTオイル」が効果的な理由

脂肪が肝臓で分解されたときに作られる「ケトン体」という物質があります。このケトン体が、糖尿病、認知症(アルツハイマー病)、肥満、さらにはがんに至るまで、実に幅広い症状を改善するとして、注目を集めています。【解説】白澤卓二(お茶の水健康長寿クリニック院長)

解説者のプロフィール

白澤卓二(しらさわ・たくじ)
●白澤抗加齢医学研究所
https://www.shirasawa-acl.net/

1958年、神奈川県生まれ。
82年、千葉大学医学部卒業。
90年、同大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。
東京都老人総合研究所を経て、2007~2015年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。
17年、お茶の水健康長寿クリニックを開院。
白澤抗加齢医学研究所所長、日本ファンクショナルダイエット協会理事長、日本アンチエイジングフード協会理事長、ミシガン大学医学部神経学客員教授も務める。
テレビや新聞、雑誌での医学解説でも活躍。
著書・監修書は300冊を超える。最新刊は『Dr白澤式 脳がぐんぐん若返る方法』(笠倉出版社)。

脳と体のガス欠で病気が起こる

脂肪が肝臓で分解されたときに作られる「ケトン体」という物質があります。

このケトン体が、糖尿病、認知症(アルツハイマー病)、肥満、さらにはがんに至るまで、実に幅広い症状を改善するとして、注目を集めています。

これらは一見まったく異なる病気のように見えますが、実は、糖質をエネルギーとして利用するための反応がかかわっているという共通点があるのです。

糖質というのは、米や小麦、イモ類、トウモロコシなど、私たちが主食にしてきた食べ物に多く含まれる成分です。

糖質は、消化吸収によって肝臓でブドウ糖へと分解され、血液中へと運ばれます。
血液に乗って体中の細胞に送られたブドウ糖(血糖)は、筋肉組織などに取り込まれて、エネルギーとして消費されます。

血糖を筋肉組織などに取り込ませる働きをするのが、膵臓が分泌するホルモンであるインスリンです。
インスリンには、筋肉に取り込みきれなかった血糖を中性脂肪に変えて、脂肪細胞にため込む働きもあります。
インスリンが別名「肥満ホルモン」と呼ばれる所以です。

インスリンの分泌がたびたび求められすぎると、膵臓はくたびれてしまいます。

インスリンの分泌量が減ったり、インスリンへの反応が悪くなったりして血糖をエネルギーとして処理できなくなり、体がガス欠を起こしている状態が糖尿病です。

アルツハイマー病もまた、脳のガス欠だと言えます。
脳にアミロイドβたんぱくという不要物がたまることで、脳の神経細胞がブドウ糖をうまく取り込めなくなってしまいます。
すると脳はエネルギー不足に陥り、機能低下と脳細胞の死滅に拍車がかかるのです。

エネルギー不足を解消する「ケトン体」

ブドウ糖をうまく取り込めなくなったせいで、体や脳がガス欠を起こしているなら、別のエネルギー源を用いればよいと思いませんか?
まさにそれが、脂質由来のエネルギー源であるケトン体なのです。

ケトン体は、インスリンを必要とせず、アミロイドβたんぱくにも邪魔されることなく、細胞に届きます。
さらにブドウ糖よりもハイパワーで、持続力の高いエネルギーになります。

ちなみにがん細胞はブドウ糖しかエネルギー源にできません。
脳と体の正常細胞をケトン体エネルギーで動かしながら、がん細胞を兵糧攻めにすることで、がんの抑え込みにも、高い成果が上がっています。

糖質には中毒性があり、すぐにやめられない問題も…

では、なぜこれらの病気に悩む人が多いのでしょうか。
それは、血糖値が高い状態では、脂肪からケトン体を作り出せないからです。

ケトン体を主なエネルギー源とするには、まず糖質の摂取を減らす必要があります。
糖質の摂取を減らせば、血糖値は当然下がります。
膵臓も休めるため、糖尿病そのものの改善が期待できます。
脂肪からエネルギーを作り出すのですから、肥満も解消します。

しかし、糖質には中毒性があり、肥満や糖尿病になるほど糖質をとってきた人に、ただ糖質をやめろと言っても、なかなか実行できないのが実情です。

MCTオイルの活用がお勧め

そこで活用したいのが、ココナッツオイルなどに多く含まれている「中鎖脂肪酸」です。

中鎖脂肪酸だけを抽出したMCTオイルも市販されています。
MCTとは、Mid(中)Chain(鎖)Triglyceride(脂肪酸)の頭文字です。

油脂の分類として、分子の結びつき方の違いによる飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸という言葉のほうがなじみ深いかもしれません。
飽和脂肪酸は、バター、ラード、ココナッツオイルなど常温で固化する油脂、不飽和脂肪酸は一般的な植物油や魚油など常温で液状の油脂のことです。

もう一つの分類が、含まれる炭素の数によるものです。
短鎖脂肪酸(炭素が2~6個)、中鎖脂肪酸(炭素が8~12個)、長鎖脂肪酸(炭素が14個以上)の3種類に分けられます。

一般的な食用油脂に含まれるのはほとんど長鎖脂肪酸です。
腸で消化吸収され、さまざまな酵素によって分解されていきますが、鎖が長いほど複雑なプロセスをへる必要があります。

それに対し、鎖が短い中鎖脂肪酸は、腸での吸収をへることなく直接肝臓へ送られ、長鎖脂肪酸の数倍の速さでエネルギーに変わります。
また、血糖値が多少上がった状態であっても、ケトン体に変えることができるという特長を持っています。

ケトン体が出れば糖質への欲求が消えていく

ケトン体の血中濃度を上げてしまえれば、糖質への欲求が急激に消えていきます。
どんぶり飯やラーメン、パスタ、菓子パンなど、糖質たっぷりの食事をしたいという気持ちが、不思議なほどなくなるのです。

中鎖脂肪酸をとりながらであれば、無理なく糖質の摂取量を抑えることができ、自分の体脂肪からもケトン体を生み出して使えるようになります。
ケトン体を使える体質(ケトジェニック)になることこそ、健康長寿の王道なのです。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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