1食抜くだけでも腸への負担は減る
前の記事で断食で腸内環境が劇的に改善するという話をしてきましたが、「断食なんて簡単にはできない」と思う人も多いでしょう。
しかし、「1日3食を2食にする」とか、「月に1回、新月の日は何も食べない」とか、この程度でも断食の効果は得られます。
自由にエサを食べさせたサルと、摂取カロリーを70%に抑えたサルを、2つの群に分け、20年間比較した研究データがあります。
この実験では、カロリーを抑えた群はそうでない群に比べ、病気で死亡する数が1/3になり、シワや白髪も少ないという結果が出ました。
実験には続きがあります。
週2回、カロリーを30%に抑え、後は自由に食べさせたサルの群と、20年間摂取カロリーを70%抑えた群を比較すると、ほぼ同じ効果があることがわかったのです。
これは週2回の少食や月1回の断食でも、じゅうぶんに効果があるという証左だと言えます。
このように1日1食を抜くだけでも全然違いますが、私が提唱するのは、ミネラルなどの栄養素と水分をしっかりとりながら行う独自の断食法「ミネラルファスティング」です。
この方法なら、何もとらない断食に伴うリスクとは無縁で、普段の生活を送りながら、誰でも簡単に断食の健康効果を得ることができます。
ミネラルファスティングでは、3つの重要な栄養素を摂取しながら断食を行います。
それは「マグネシウム」と「MSM(メチルスルフォニルメタン)」、そして「L‐カルニチン」です。
これらの栄養素が全身の細胞に相乗的に働きかけることで、心と体の健康を維持・増進していくのです。
ミネラルファスティングを実践した人からは、「空腹を感じずに続けられた」「ほかのダイエット法よりも健康的にやせられて驚いた」という声をよく耳にします。
それは、これらの大事な栄養素を摂取しながら行うミネラルファスティングだからこそ可能になるのです。
また、ミネラルファスティングは、単に断食を実践することだけに注目したものではありません。
断食前後や日頃の食事、生活習慣までを含めたトータルパッケージの健康プログラムとなっています。
その大きな柱のひとつとなるのが「穀菜食」です。
ミネラルファスティングを行う前や行った後も穀菜食を続けていれば、60兆個の細胞が正しく働くための環境整備に役立ち、ひいては「腸の掃除力」も高まっていくわけです。

【初心者向け】腸と細胞がきれいになる「断食」のやり方
※2日間以上の断食は、専門家の指示に従って行ってください
1日3食を1日2食にする
夜早めに食べて朝を抜くか、夜を抜くかのどちらかがより効果的
新月の日は何も食べないようにする
丸1日断食をする場合、浄化する力が強い「新月」の日がいい
ミネラルファスティングのカギを握る3つの栄養素
マグネシウム
300種以上の酵素の働きに不可欠であり、体内で多くの代謝に関わる。
エネルギー生産やデトックス、細胞の修復など、ミネラルファスティングの柱となる栄養素
【多く含む食品】
豆類、玄米、ゴマ、青菜類、ノリ、ワカメなど
MSM(メチルスルフォニルメタン)
解毒タンパク質を構成する含硫アミノ酸の材料となるため、解毒を促進する。
痛みの緩和、組織の修復にも役立つ。コラーゲンの合成も促進するため美肌効果も
【多く含む食品】
豆類、ネギ、タマネギ、ニンニク、ブロッコリー、白菜など
L-カルニチン
体脂肪を減らすと同時に、脂肪にたまりやすい重金属などの有害物質を体外に排出する効果がある。
脂肪酸からケトン体を作り出し、有効活用する作用もある
【多く含む食品】
アサリ、アボカド、マッシュルームなど
「穀菜食」で腸も細胞もさらに元気になる!
穀菜食とは「穀物」や「野菜」など、植物性食品を中心とする食事

玄米ご飯+具だくさんみそ汁
玄米はミネラル、ビタミン、食物繊維を豊富に含む。
1口30回噛みながら、ゆっくり食べる
豆類
大豆、小豆のほか、きなこ、納豆、豆腐、みそなどの大豆加工品。
ビタミンB群・マグネシウムが豊富
野菜
抗酸化作用の高い緑黄色野菜、免疫機能を高める淡色野菜。
旬のものをたっぷりと
種実類や海藻類、キノコ類、旬の果物なども取り入れる
解説者のプロフィール

山田豊文(やまだ・とよふみ)
●杏林予防医学研究所
TEL 075-252-0008
http://kyorin-yobou.net/
杏林予防医学研究所所長。
あらゆる方面から細胞の環境を整えれば、誰でも健康に生きていけるという「細胞環境デザイン学」を提唱し、本来あるべき予防医学と治療医学の啓蒙や指導を行う。
2013年6月に「杏林アカデミー」を開校。
細胞環境デザイン学を日本に広めていくための人材育成に力を注いでいる。2015年9月には、東京・赤坂に「アカサカフロイデクリニック」を開院。
クリニックのCEOとして、細胞環境デザイン学に基づく医療を提供している
。主な著書に『細胞から元気になる食事』(新潮社)、『脳がよみがえる断食力』(青春出版社)、『死ぬまで元気に生きるための七つの習慣』(山と渓谷社)など。