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なぜ「足裏マッサージ」で首や腰などの全身の痛み・症状が改善するのか

なぜ「足裏マッサージ」で首や腰などの全身の痛み・症状が改善するのか

足の裏もみ療法は、「足の裏に全身がある」という考えに基づいた健康療法です。こうした、体のある部分に全身が投影されているという考え方は、昔から世界の各地にありました。【解説】上馬塲和夫(帝京平成大学ヒューマンケア学部教授・帝京大学附属池袋クリニック院長)

解説者のプロフィール

上馬塲和夫(うえばば・かずお)

医師・医学博士。
広島大学医学部医学科卒業時から、東西医学の融合をライフワークとし、虎の門病院内科、北里研究所附属東洋医学総合研究所、富山県国際伝統医学センター、富山大学和漢研を経て、帝京平成大学ヒューマンケア学部東洋医学研究所所長。
著書として『新版インドの生命科学アーユルヴェーダ』(農文協)、『アーユルヴェーダとヨーガ改訂第三版』(金芳堂)など好評発売中。

科学的に証明されつつある「足の裏もみ療法」の効果

足の裏もみ療法は、「足の裏に全身がある」という考えに基づいた健康療法です。
こうした、体のある部分に全身が投影されているという考え方は、昔から世界の各地にありました。

中医学では、耳に全身があるとされる「耳鍼」が発達しましたし、韓国の高麗手指鍼は、手のひらに全身があると考える民間医療です。
これを現代科学では、「自己相似性(フラクタル)」の概念で説明できます。

これは、人間の体は全身を見ても部分を見ても同じ形をしているという概念で、そこから、部分を治療すれば全身が治るのではないか、という考えが生まれたと推定されます。

実際、足にある目の反射区(全身の臓器や器官に対応する部位)を刺激すると、パッと目が開くようになったとか、よく見えるようになったという体験を聞きます。
反対に目に症状があると、足にある目の反射区を刺激すると、痛みを感じます。

こうした伝承医学を、現代医学は長い間、認めてきませんでした。
しかし、最近、科学的なデータによってそれらの効果が証明されつつあります。

足の裏の反射区は脳につながっている

東北大学の川島隆太教授のお話では、足の裏にある体の各部の反射区を刺激しながら、MRI(核磁気共鳴画像診断)で脳の血流を調べられたそうです。

脳には全身との関連を示す脳地図があります。
その脳地図の当該部分の血流が、足の裏もみで増えたというのです。
足の裏への刺激は、いったん脳に反映され、実際の体の各部分に影響するという流れが、この研究結果から読み取れます。

私が注目している学説「筋・筋膜経線(アナトミー・トレイン)」

一方で、私が最近、注目してるのは「筋・筋膜経線(アナトミー・トレイン)」という学説です。
これは、列車の線路のように、一連の筋肉の筋膜がライン(経線)として連なっているという考え方です。

一つ一つの筋肉は筋膜に包まれており、連続的につながっています。
それが頭から足まで縦に何本も通ることで、遠隔的な変化が起こるというのです。

その一つ、頭のてっぺんから背中を通って足底につながるバックラインの筋・筋膜経線を見てみましょう。

バックラインは、頭頂部に帽子のようにある帽状腱膜につながっています。

頭のマッサージをすると、この帽状腱膜がゆるみます。
するとバックライン全体にそれが影響し、足底の筋膜までもゆるむことが考えられるのです。

足の裏をもむとどうなるか

では、足の裏をもむとどうなるでしょうか。

足にある足底筋も筋膜に包まれており、全身の筋・筋膜経線に連なっています。
ですから、足底に痛みがあると、足底筋膜にしこりができたり、筋膜が厚くなったりしています。

そういう足底のしこりや肥厚しているところをもむと、筋膜がゆるみます。
すると足底から頭までつながる筋・筋膜経線がゆるみ、経線上の硬くなって痛みが出ている、足底以外のところの症状が改善していくと考えられるのです。

なぜ筋膜が硬くなるのか

では、なぜ筋膜は硬くなるのでしょうか。
筋膜の中には血管やリンパ管(体内の老廃物や毒素、余分な水分を運び出す体液が通る管)が通っています。
これらの循環が悪くなり、流れがうっ滞すると、筋膜は肥厚し、そこに痛みが生じると推定できます。

血流の中でも、大事なのは静脈です。
現代医学的にも、静脈の流れがよくなれば、動脈の流れもよくなります。

しかし静脈は、動脈よりも血液量が多く、流れがゆっくりなので、うっ滞しやすいのです。
なぜなら、動脈のように心臓のポンブで送り出されているのではなく、筋肉と呼吸のポンプや、マッサージ、圧迫刺激などにより、流れる駆動力が与えられるからです。

特に足は、心臓から遠く、重力に逆らって心臓に戻るので、静脈血やリンパ液がたまりやすいところです。

そこで、足の裏をマッサージすると、硬くなった足底の筋膜がほぐれて、中を流れているリンパ液や静脈血の流れ(静脈還流)がよくなります。

筋膜環境がよくなり、辛い症状も楽になる

こうして足の裏のうっ滞が取れて筋膜の環境がよくなれば、こりが改善され、その結果、全身的にも血流がよくなり、ほかの症状もらくになっていくでしょう。
もちろん、マッサージによって副交感神経(心身をリラックスさせる神経)が優位になって、筋肉などがリラックスすることも機序としてはあります。

さらに、運動も、静脈還流には非常によいことです。
しかし運動ができない高齢者にとって、足の裏もみは同様の効果をもたらしてくれます。
ふくらはぎもあわせてもむと、さらに改善するのでお勧めです。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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