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痔のホワイトヘッド手術の後遺症が原因の【便のにおい対策】

痔のホワイトヘッド手術の後遺症が原因の【便のにおい対策】

痔のホワイトヘッド手術の後遺症に対しては、修復手術が行われる場合もあります。ただし、手術が必ずしもよい結果を招くとは限りません。便もれやべたつきなどの症状は、肛門付近に便があるから起こると私は考えています。排便時に出しきれなかった便が、肛門付近に残っているのです。【解説】佐々木みのり(大阪肛門科診療所副院長)

【お悩み】痔のホワイトヘッド手術の後遺症「便のにおい」

痔のホワイトヘッド手術をして、45年が経過しました。悩みは、便臭があるということです。
現在の主治医は、「どうしようもない」と言い、治療法はないという見解のようです。別の県立中央病院でも診てもらいましたが、同様の対応でした。便臭のせいで、人前に出るのがおっくうになっています。(65歳・女性)

回答者のプロフィール

現在では「やってはいけない手術」に

佐々木みのり
大阪肛門科診療所副院長。
大阪医科大学卒業。日本でも十数名しかいない女性の肛門科専門医・指導医であり、国内唯一・元皮膚科医という経歴を持つ。そのため、肛門周辺の皮膚疾患の中でも、特に「肛門そう痒症」については独自の治療を行い良好な成績を得ている。学会での講演実績も多数。

●大阪肛門科診療所
大阪府大阪市中央区釣鐘町2-1-15
TEL 06-6941-0919
https://osakakoumon.com/

 ホワイトヘッド手術は、1880年代にイギリスのホワイトヘッド医師が論文発表し、世界的に広く行われるようになった痔核手術です。日本でも1970年頃までは、この術式が痔核手術の中心でした。
 しかし、後遺症の問題から「やってはいけない手術」と言われるようになり、今ではほとんど行われなくなっています。

 この手術は、イボ痔のある部分だけを切り取るのではなく、肛門管をまるごと取り除く手術です。そのため術後のお尻は、「唇のない口」のような状態になります。穴の向こうがすぐ腸になるので、腸粘膜が出てくる粘膜脱や、それに伴うベたつきや出血、閉鎖不全による便もれなどの後遺症が起こってくるのです。そのほか、つっぱり感や、狭窄によって便が出せなくなる人もいます。
 早い人で3年以内、遅ければ15〜20年たって後遺症が現れることもあります。

 ホワイトヘッド手術の後遺症に対しては、修復手術が行われる場合もあります。
ただし、手術が必ずしもよい結果を招くとは限りません。後遺症の内容や症状の度合いによっても、対処法は異なります。

お困りの症状を解決するのに大切なことは、正しい診断と、その人の状態に合わせた治療法の見極めです。

 今は、ホワイトヘッド手術を知っている医師自体、少なくなっています。加えて、肛門専門施設での研修経験がないまま、肛門専門医を名乗っている医師も少なくありません。

 的確な対処法を得るには、とにかく一度、専門的なトレーニングを積んだ専門医に診てもらうことをお勧めします。

肛門科の専門医だからといって安心できない

 その際、気をつけていただきたいのは、専門医の資格の有無ではなく、臨床現場で研修を積んだ経歴を重視して医師を選ぶことです。

 肛門科は専門性の高い特殊な領域です。専門的なトレーニングなくして、正しい診断を下すことはほぼ不可能です。

 研修ができる肛門専門病院は、日本には十数カ所しかありません。そのいずれかで研修を受けた医師だけが、本当の意味での専門医といえます。
それも「見学」ではなく、そこに勤務するなどして実地研修を行っていなければ意味がありません。

 ホームページなどで医師の経歴をチェックし、場合によっては、直接、尋ねるなどして確認したほうがよいでしょう。

 また、日本は医師免許さえあれば自由に診療科の看板を掲げられます。そのため、肛門科を掲げていても、専門医の資格すら持っていない医師がいることも心得ておくべきです。

 最も確実なのは、これら十数カ所の専門病院で診察を受けることです。関東なら東京山手メディカルセンター、横浜の松島病院、埼玉の所沢肛門病院、千葉の辻仲病院などです。そのほかの地域は、私のブログ(※)を参照してください。


※ブログは「大阪肛門科診療所 ブログ」で検索。

肛門専門病院で勤務または研修を受けた医師を探そう

出残り便秘を治すと便臭が解決するケースも

 今回のお悩みに対する具体的な治療法については、診察してみないことにはなんとも言えません。でも、私の診療所では、手術適応となる粘膜脱のひどい症状以外は、ほとんどのかたが適切な治療を行うことで症状が改善できています。

 たとえば、便もれやべたつきなどの症状は、肛門付近に便があるから起こると私は考えています。排便時に出しきれなかった便が、肛門付近に残っているのです。

 私はこれを「出残り便秘®」と名付け、その便をすっきり出しきる治療を行っています。すると、ホワイトヘッド手術で肛門機能を失った人でも、便もれやべたつきが解決するのです。

 便臭も同じことが考えられます。肛門付近に便がなければ、便臭はしないはずです。おならも臭くありません。
 試しに排便後、温水洗浄便座を使わずにお尻をふいてみてください。3回ふいても便がついたら、出残り便秘の可能性大です。それを治療すれば、便臭は解決できるかもしれません。

 出残り便秘に着目し治療を行っている病院は、残念ながらまだごくわずかです。それでも、私はこの治療法で、お尻の悩みが改善した人を何万人も見てきて、確かな手応えを感じています。

 もう一つ、私からアドバイスできるのは、お尻を洗いすぎないことです。お尻に異常があると、洗いたくなる気持ちはわからなくはありません。しかし、過剰な洗浄は皮脂膜をボロボロにし、よけいに皮膚のただれやベタベタ、かゆみや出血を招きます。

 特に、温水洗浄便座の使用はできるだけやめてください。排便後はポンポンと優しく押さえぶきをし、気になるなら、たらいにお湯を張って、お尻をつける「座浴」を行いましょう。

 私の元には、洗いすぎを改めるだけで、ホワイトヘッド手術の後遺症による症状が落ち着いたという声も届いています。ぜひお試しください。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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