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【糖質制限の新常識】朝か昼は好きなだけ食べていい!甘いものは“2口ルール”

【糖質制限の新常識】朝か昼は好きなだけ食べていい!甘いものは“2口ルール”

近年、「糖質制限」という言葉がかなり一般的になり、ダイエット法や健康法として広く認知されるようになりました。しかし、一つ誤解を生んでいます。それは糖質は完全に悪で、糖質制限をするならいっさいの糖質を断たねばならないと思い込んでいる人が多いことです。【解説】畠山昌樹(第2本郷整形外科皮膚科院長)

筋肉を維持するため糖質は大事

 近年、「糖質制限」という言葉がかなり一般的になり、ダイエット法や健康法として広く認知されるようになりました。しかし、一つ誤解を生んでいます。それは糖質は完全に悪で、糖質制限をするならいっさいの糖質を断たねばならないと思い込んでいる人が多いことです。

 日本では多くの人が1日3回、主食である白米を食べてきました。白米以外にもパンやうどん、ラーメン、パスタなどの糖質を食べ、おやつには甘い和菓子やケーキなどを食べます。さらにお酒は麦が主原料のビールや、米から造られた日本酒を飲みます。この状態では、確かに糖質の取りすぎです。

 糖質をたくさん取ると、急速に血糖値が上昇し、すい臓からインスリンというホルモンの分泌を強く促します。インスリンの分泌量を、1回の食事の炭水化物が15g以下の場合と30g以上の場合で比べてみると、15g以下では増え方が基礎分泌の2〜3倍程度なのに比べて、30g以上の場合は、数倍から30倍ほどに跳ね上がります。

 インスリンには脂肪をため込む働きがあります。大量に分泌されればされるほど、太りやすくなるというわけです。

 そして、糖質には中毒性があります。空腹を感じ、無性にご飯やラーメンが食べたくなる、仕事で疲れると甘いものを食べたくなる、これらは糖質中毒の症状です。糖質を取れば取るほど、脳は快感を覚え、食べる量が増えていきます。太って健康を害していく悪循環です。

 こう聞くと「やはり糖質は完全に断たなければ」と思いますが、それでは糖質が少なすぎるとどうなるのでしょうか。糖質が完全になくなると、筋肉を構成するたんぱく質を分解して、エネルギーを作ろうとします。これでは体に必要な筋肉も落ちてしまうのです。

 私は、糖質は食べすぎなければ“良薬”だと考えています。糖質制限を行う場合でも、適量の糖質は取ったほうがいいのです。

 では、どのくらいが適量なのでしょうか。厳密に言うと、私は1日50gまでが目安だと考えています。この量ならば、糖質中毒になることもありません。
 1日3食と考えて、1回の食事で取っていい糖質量は約15g。お茶わん1杯のご飯に含まれる糖質量は約50gですから、これはなかなかたいへんです。

朝か昼は好きなだけ糖質を食べてもよい

 そこで私は、一般の人には以下のルールで糖質を食べることを勧めています。
❶1回の食事(2時間以内)で取る糖質の量は15g(多くとも20g)以下が理想
❷1日に取る糖質量の合計は130g以下とする

 ①と②を踏まえた、最も簡単な考え方は、朝か昼のどちらかは糖質を制限せず、普通に食べて、それ以外の朝か昼のどちらかと夕食は炭水化物を15g以下にする、という方法です。

 私たちの体には糖質をエネルギーに変える糖質代謝のほかに、体内の脂肪を分解してエネルギーに変換する「ケトン体回路」があります。
 体内に糖質がじゅうぶんにある状態では、糖質代謝が行われ、ケトン体回路は動いていません。体内の糖質が枯渇すると、ケトン体回路が動き出し、体内の脂肪が消費されます。

 夕食に糖質を少なめにすると、朝まで12時間程度、食事を取らない時間が続くため、体内の糖質が枯渇し、ケトン体回路が動きやすくなります。そのため夕食は、糖質を少なめにするのがお勧めです。

 朝か昼のどちらかは、普通に糖質を食べてよいと思います。ケトン体は脳の満腹中枢を刺激して、空腹感や食欲を抑える効果があります。空腹を感じなくなれば、自然と糖質も減らしていけると思います。

 これは変則技になりますが、①のルールをよく見ると、1食の糖質を15gに抑えた場合、2時間経てば糖質を15g取ってもよいことになります。ということは、「おやつ」を食べることも可能ということになります。

 私がおやつでよく勧めるのが、「チーズケーキ」です。砂糖不使用でナチュラルチーズを使ったチーズケーキなら、1ピースに含まれる糖質は15g前後ですから残さず食べることができます。満足感も得られるうえに、たんぱく質やミネラルも取れて、とてもお得です。
 生クリームたっぷりのシュークリームもいいです。ただし、もち米とあんこに糖質が多い大福やもなかなどの和菓子はお勧めできません。

主なメニューに含まれる炭水化物量の目安

2口までなら何を食べてもOK?

 でも、どうしても好きなものが食べたい。そんな人に特別に認めているのが、「2口ルール」。どんな食べ物でも2口までなら食べてもいい、という掟破りのルールです。たいていどんな食べ物でも、2口だけで糖質15gを超えることはほとんどありません。我慢するとストレスがたまりそうなときは、特例として2口ルールを採用してください。

 

MCTオイルをお供にしよう

糖質を減らした食事を続けるときに、ぜひお供にしてほしいのが「MCTオイル」です。

 中鎖脂肪酸100%のMCTオイルは、摂取するとすぐケトン体回路からエネルギーとして使われる健康油です。最近はスーパーでも買えますので、特に夕食時に大さじ1程度飲むようにしてください。

老眼や認知症が改善する人もいる

 体がケトン体をエネルギー源とするケトン体質に変わると、肥満の改善はもちろんのこと、筋肉の質が向上して全身が締まってきます。ダイエットにありがちなたるみが起こらないのは目に見える変化ですが、全身の筋肉が引き締まるというのは、体のあらゆる臓器の働きがよくなることを意味します。

 例えば、筋肉の塊である心臓の機能が高まり、心不全の予防につながるほか、膀胱の収縮もよくなるので、頻尿や残尿感などもなくなります。特に心臓は休まず動いている筋肉なので、効果も早く、如実に現れます。

 また、たまに「視力が上がった」「老眼が改善した」という人がいます。これも理論的にはあり得ます。眼球を取り巻く筋肉の動きがよくなることで遠近の調節がスムーズになるからです。

 ケトン体質になることで、認知症が改善する例もあります。ケトン体が脳の神経細胞のシナプスを作るためです。シナプスが作られ、脳の情報伝達がうまくいくようになることで、最近のことも記憶できるようになります。周囲の人には認知症が改善しているように見えるのです。

 適量の糖質を取ることで、筋肉を落とすことなく、体をケトン体質に導くことができます。誰でも実践できますので、ぜひ今日から始めてみてください。

解説者のプロフィール

畠山昌樹(はたけやま・まさき)
大阪大学大学院医学系研究科先進融合医学共同研究講座特任研究員。
1998年、防衛医科大学卒業。防衛医科大学病院研修医を経て、自衛隊医官として仙台市に勤務。自衛隊退官後、大泉記念病院整形外科、石巻ロイヤル病院整形外科部長、八木山整形外科クリニック、第2本郷整形外科皮膚科院長を経て、2018年4月より現職。「本当に健康になる食事」を研究し、畠山式ケトン食を考案。全国で公演や指導を行っている。著書に『驚異のMCTオイルダイエット』(幻冬舎MC)などがある。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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