
つわりや赤ちゃんの夜泣きもおさまった!
私のクリニックには妊婦さんがたくさんいらっしゃいますが、特につわりのひどいかたには、純正生クリームをそのまま50㎖飲むように指導しています。
ご存じのように、つわりが始まると気持ちが悪くなり、物が食べられなくなります。おなかが空くと余計に気持ちが悪くなり、ますます食べられなくなります。その結果、栄養不足になり、つわりもさらにひどくなる、という悪循環になるのです。
つわりがひどくてぐったりしている妊婦さんも、体に栄養が入ると体力を取り戻し、つわりも楽になります。しかし、物が食べられないので栄養が取れない。このときにお勧めなのが、生クリームなのです。
生クリームは、高たんぱくで脂質も豊富な良質な食材です。しかも、粘度の高い生クリームは胃の壁に貼りつくので、食べるとすぐに吐いてしまう人でも、吐き出さずに栄養を吸収できるという長所もあります。
赤ちゃんがいつもぐずったり、夜泣きがひどかったりするのも、実は栄養不足が原因であることが少なくありません。生後6カ月以上なら、スプーン1杯の純正生クリームをなめさせてみてください。私のクリニックで出産したお母さんは、赤ちゃんに生クリームを飲ませたところ、ぐずって不機嫌になることが少なくなったと報告してくれました。
そのほか、食が細くなっている高齢者や、抗ガン剤治療の副作用で物が食べられないという患者さんなど、栄養不足のかたには生クリームはお勧めです。1さじ2さじとなめているうちに、体に力が入るようになってくることでしょう。
ホットがお勧め!優れたダイエット飲料
生クリームはホイップしてからお菓子などに使用するのが一般的ですので、そのまま飲むという行為に抵抗がある人もいるかもしれません。そこでお勧めなのがコーヒーにたっぷり入れて、砂糖なしの「ラテ」にして飲む方法です。もちろんホイップしてウインナーコーヒーにしても構いません(ただし、ホイップする際に砂糖は使わない)。
「脂肪分を取りすぎると太る」と考えている人も多いと思いますが、これは誤解です。脂肪を取り過ぎても、余計な脂質は体に吸収されず、水分と二酸化炭素として排泄されます。
糖質を取ると空腹を感じ、もっと欲しくなりますが、脂質を取るとおなかが空かないので、過食を抑えることができます。高たんぱく、高脂質の生クリームは、実は優れたダイエットツールなのです。
生クリームコーヒーにする場合、ホットで飲むのがお勧めです。私は、コーヒー9に対して生クリーム1の割合(カップ1杯約130㏄のコーヒーに対し、大さじ1杯程度)を推奨していますが、続けやすいお好みの量でいいと思います。
ただし、生クリームは乳脂肪のものを選んでください。乳脂肪で作られているものは、パッケージに「クリーム」と書いてありますが、植物性脂肪が混ざったものは「乳等を主原料とする食品」と書いてあります。「クリーム」を選んでください。
純正クリームを選んでくれれば、乳脂肪分の割合については好みでよいと思います。一般的に、乳脂肪20〜30%くらいのものはコーヒーや調理用で、製菓用は35〜38%、ケーキのデコレーションなどに使うクリームは乳脂肪40%以上です。「クローテッドクリーム」と呼ばれる乳脂肪60%前後の、軟らかいバターのような食感のクリームもあります。続けやすいものを選んでください。
ちなみに、同じ乳製品の牛乳にも乳脂肪分の多いものがありますが、牛乳には乳糖という糖質が含まれています。糖質の少ない純正生クリームのほうがお勧めです。
生クリームコーヒーの作り方

解説者のプロフィール

宗田哲男(むねた・てつお)
宗田マタニティクリニック院長。
1947年、千葉県生まれ。1965年、北海道大学理学部地質学鉱物学科入学。卒業後に医師を志し、1973年、帝京大学医学部入学。1992年、千葉県市原市に宗田マタニティクリニックを開院し、産婦人科医としての医療活動のほか、糖尿病治療にも積極的に取り組み、糖質制限で成果を上げている。著書に『ケトン体が人類を救う糖質制限でなぜ健康になるのか』(光文社新書)などがある。
●宗田マタニティクリニック
千葉県市原市根田320-7
TEL 0436-24-4103
http://muneta.org