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【諦めないで!】頻尿・尿もれを自力で改善するトレーニング

【諦めないで!】頻尿・尿もれを自力で改善するトレーニング

食べて、飲んで、出す。排泄は、生命の営みの基本中の基本です。ところが、加齢とともに、尿もれや頻尿、便秘、便もれなどの排泄トラブルが起こりやすくなっていきます。排泄に関する悩みは、人に相談しづらいため、一人で問題を抱えてしまう人も少なくありません。【解説】関口由紀(女性医療クリニックLUNAグループ理事長)

解説者のプロフィール

関口由紀(せきぐち・ゆき)
●女性医療クリニックLUNAグループ
http://www.luna-clinic.jp/

女性医療クリニックLUNAグループ理事長。泌尿器科専門医。漢方専門医。
山形大学医学部卒業。横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学非常勤教授。
横浜市立大学大学院医学部泌尿器科病態学修了。2005年、横浜市に女性医療クリニック・LUNAを開設。中高年女性のトラブルに多方面から対応するとともに、女性泌尿器科、女性内科、婦人科、乳腺外科、皮膚科による総合的な健康サポートを目指す。著書に『女性ホルモンの力でキレイをつくる本』(朝日新聞出版)などがある。

中高年から激増する排泄トラブルは筋肉の衰えが原因で自力トレーニングが可能

どこに行っても、何をしていても、トイレを探す。
ふと力を入れた瞬間に、おしっこや便がチョロッともれてしまう。

そんな排泄のトラブルのせいで、やりたいことを我慢していませんか?
この特集では、尿やお尻のトラブルを解決する方法をご紹介しています。

「もう年だからしかたがない」とあきらめる必要はありません。

排泄の悩みは生活の質を低下させる

食べて、飲んで、出す。
排泄は、生命の営みの基本中の基本です。

ところが、加齢とともに、尿もれや頻尿、便秘、便もれなどの排泄トラブルが起こりやすくなっていきます。
排泄に関する悩みは、人に相談しづらいため、一人で問題を抱えてしまう人も少なくありません。

出なくなるのは大問題ですが、尿や便がもれたとしても、生命にかかわることは通常ありません。
しかし、排泄の失敗は精神的ショックが大きく、自尊心が大きく傷つきます。

トイレを気にして外出が憂うつになったり、好きな趣味をあきらめたり、人と会うのを避けたりなど、生活の質を著しく低下させる原因にもなりがちなのです。
また、夜間頻尿の場合は、トイレに行ったあとに再び寝ようとしてもなかなか寝つけず、睡眠不足により翌日の行動に支障をきたすなど、さまざまな障害をもたらします。

寝ぼけてトイレに行くときに転倒し、大腿骨骨折から寝たきりになるケースも多く見られます。
排泄の悩みには、手術や内服薬など、さまざまな対処法がありますが、まずご自身で試していただきたいのが、二つの筋肉の伸縮性を高めるトレーニングです。

骨盤底筋の衰えで尿もれが起こる

一つめの筋肉は、骨盤底筋群です。
骨盤底筋群は、その名のとおり骨盤の底をハンモックのようにつないでいるいくつかの筋肉の総称で、膀胱や子宮、直腸を支えています。

骨盤底筋には、尿道、膣、肛門の三つ(男性は二つ)の穴が開いており、排泄のコントロールにも深くかかわっています。
しかし、加齢などにより骨盤底筋群の筋力が低下すると、尿道の締めつけが弱くなり、ちょっとした刺激で尿がもれやすくなるのです。

また、膀胱を下から支えきれなくなって、膀胱の位置が下がることでも、尿もれや頻尿、残尿感が起こってきます。
骨盤底筋の衰えがてきめんに影響してくるのが、「腹圧性尿失禁」です。

これは、おなかに力が入り、膀胱にふいに圧力がかかったときに、ピュッと尿がもれてしまう症状です。
尿がふいにもれてしまう「尿失禁」の中でも、圧倒的に多く、7割を占めるといわれます。

骨盤底筋を鍛えるには、尿道や膣、肛門を締めるトレーニング(やり方は骨盤タオル体操のやり方を参照)が非常に有効です。

尿失禁には、「切迫性尿失禁」もあります。
これは、強い尿意を感じてトイレに行こうとするものの、間に合わずにもれてしまう症状です。
腹圧性尿失禁が、尿の出を止めておく機能に問題があって起こるのに対し、こちらは尿をためておく機能に問題があって起こります。

切迫性尿失禁は「過活動膀胱」の症状の一つ。
過活動膀胱とは、膀胱が過敏になって起こる排尿障害の総称です。

①尿がそれほどたまっていなくても、突然強い尿意に襲われる「尿意切迫感」

②それに伴いトイレの回数が増える(日中に8回以上、排尿間隔が2時間以内)「頻尿」

③本来、排尿は脳の指令によって調節されている膀胱と脳の伝達がうまくいかなくなり、膀胱が勝手に収縮して尿がもれてしまう「切迫性尿失禁」

の三つを含みます。

尿意を覚えたら5分だけ我慢!

そこで、トレーニングをしたい二つめの筋肉が、膀胱です。

実は、膀胱は平滑筋という筋肉でできた袋なのです。
膀胱は伸縮性のある水風船のようなもので、成人女性で200~400mlの容量があるとされています。

ところが、腹圧性尿失禁で服を汚したり、過活動膀胱による猛烈な尿意で苦しい思いをしたり、間に合わずにもらしてしまったりという経験を一度でもすると、尿意がなくても先回りしてトイレに行くという行動パターンに陥りがちです。
ところが、そうした習慣が続くと、ますます膀胱の伸縮性が落ち、じゅうぶんな量の尿を膀胱にためられなくなってしまうのです。

ほんの少し尿がたまっただけで膀胱が収縮したり、刺激に対して過敏になったりするため、頻繁なトイレ通いから抜け出せなくなります。
膀胱の筋肉の伸縮性を高めるには、できるだけ尿をためてから排尿する習慣をつけることが大切です。

1回の排尿量が200mlに満たないうちにトイレに行っている人は、
◎尿意を覚えたら、5分我慢してからトイレに行きましょう。

尿意には波があるので、深呼吸などを行い、リラックスして意識をほかへ向けると、尿意が治まってきます。
5分我慢できる自信がついたら、10分我慢してみてください。

不安や緊張が膀胱を収縮させてしまうことがありますから、排尿我慢のトレーニングは、いつでもトイレに行ける自宅などで行ってください。
失敗して自信を喪失しては元も子もありません。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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