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【出そうで出ない便秘】薬に頼らず自力で出す「腸もみ」のやり方

【出そうで出ない便秘】薬に頼らず自力で出す「腸もみ」のやり方

私の元へ駆け込む人は、すでに自己流では改善できないほどひどい便秘になっている場合がほとんど。特に40代以上になると、加齢や運動不足で腸を支える筋力が衰えて、腸が下がってしまうことがよく起こります。そうなると、余計に自力での排便が困難になってしまうのです。【解説】齊藤早苗(看護師・コロンハイドロセラピスト)

太ももが太いのは便秘が原因の場合も

私は消化器系の看護師を経て、現在は腸内を洗浄するコロンハイドロセラピーという仕事をしています。
コロンハイドロセラピーとは、肛門から温水を入れて腸を刺激し、排便を促すものです。

私の元へ駆け込む人は、すでに自己流では改善できないほどひどい便秘になっている場合がほとんど。
特に40代以上になると、加齢や運動不足で腸を支える筋力が衰えて、腸が下がってしまうことがよく起こります。

そうなると、余計に自力での排便が困難になってしまうのです。
下剤を使えば一時的に改善はされますが、できれば腸自身の便を出す力を取り戻したいもの。

そこで薬を使う前に、ぜひ試していただきたいのが、私が考案した「腸もみ」です。
腸は、外から刺激するとそれに反応してくれる素直な臓器です。

おなかを触って「ここは他の場所より硬いな」と感じるところは便がたまっている可能性があります。
そこをイタ気持ちいいくらいの強さでゆっくりと押してみるだけでも、腸を動かすきっかけになります。

さらに、「3ステップでできる腸もみ」を取り入れると、お通じがよくなるのはもちろん、おなか周りや太ももがスッキリとし始めます。
なぜ太ももまで?とよく聞かれますが、下がった腸が太もも周りのリンパ(体内の余分な水分や老廃物、毒素などを運び出す体液)を圧迫することで、むくみにつながっている場合が多いからです。

腸もみの方法は、①腸の緊張を和らげる、②腸をもみほぐす、③腸を引き上げる、の3ステップです。
ポイントは、ゆっくり丁寧に、息を吐きながら腸を押すこと。

朝起きてすぐと、夜寝る前の1日2回が理想ですが、なかなか時間が取れないときは夜だけでも構いません。
これを最低でも、1週間続けてみてください。

おなかからゴボゴボと音が聞こえてきたら、腸が排便活動をしている証拠です。
トイレでできる腸もみもあるので(やり方は下の写真参照)、トイレで出そうで出ない、というときには試してください。

いずれの方法も、薬に頼らず自分の力で排便を促す習慣をつけるために有効な手段です。

3ステップ!腸もみのやり方

出そうで出ないときに!トイレで行う「腸もみ」のやり方

便通がよくなったとたんイライラしなくなった

便秘は病気でないと思われがちですが、体調不良の原因にもなる体の毒素の約75%は、実は便から出ています。
腸に溜まった便を出さずにほうっておくと、毒素がどんどん増え、せっかく栄養食を取っても、毒素を分解するためだけに働いてしまい、肝心な健康づくりのためには活動できなくなってしまいます。

出口(腸)から出るものが出ていなければ、入り口(口)から栄養を入れられない。
このシンプルな仕組みを正常にしてはじめて、健康的な食生活の恩恵を受けられるのです。

便秘も慢性的になると、常に不快感が伴います。
日常的な不快感はストレスとなり、ちょっとしたことでイライラしたり、キレやすくなったりします。

患者さんで、便秘がよくなったとたん、イライラしなくなったという人もいます。
それまでは、些細なことでもキレたりすることが多く、一時は精神的な病を疑ったそうです。

しかし、お通じがよくなったとたん腹の立つことが少なくなり、今では考え方も前向きになって、運がよくなったとおっしゃいます。
腸がきちんと活動すれば、体に毒素が滞留する割合が減って、肌の色ツヤがよくなったり、吹き出物が治ったり、おなかや太ももがスッキリするなどの嬉しい変化が現れます。

私も腸が強いほうではないため、腸もみに加え、ビフィズス菌の摂取や、夜の12時までに寝ること、就寝4時間前までに食事を済ませることなどを心がけています。
適正な動きをする腸は、体だけでなく心も美しくしてくれます。

今、便秘でない人でも、腸もみの効果は十分に感じられると思います。

解説者のプロフィール

齊藤早苗
看護師・コロンハイドロセラピスト。
日本医科大学看護専門学校卒業後、大学病院などに勤務。2000年、米国で腸内洗浄のライセンスを取得。国際コロンハイドロセラピー協会会員。著書は『美腸やせ』(主婦と生活社)など多数。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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