MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
糖尿病性白内障の進行抑制に「ショウガ」が効果!海外の研究で証明

糖尿病性白内障の進行抑制に「ショウガ」が効果!海外の研究で証明

ショウガは白内障だけでなく、網膜症や腎症、神経障害など、糖尿病の合併症全般に、抑制効果があるものと期待されます。ただし、すでに発症してしまった合併症を治すことはできません。期待できるのは、進行を抑える効果です。【解説】平柳要(食品医学研究所所長・医学博士)

糖尿病を予防する「ショウガ」の効果

ショウガの体を温める作用が注目されていますが、意外に知られていないのが、糖尿病に対する効果です。
2015年、イランで次のような研究が発表されました。

1日2gの粉末ショウガを取ると、空腹時血糖値や、ヘモグロビンA1c(過去数ヵ月の血糖の状態を表す指標で正常値は6.5%未満)が下がり、活性酸素を抑える酵素が増える、というものです。
これはヒトで行われた実験の研究結果です。

糖尿病で困るのは、やはり合併症です。
太い動脈から毛細血管まで、血管が糖によって障害されると、さまざまな病気を誘発します。

合併症の発症に深く関わっているのが、「糖化」という反応です。
血糖値が高くて血中に糖がたくさんあると、それが血管からしみ出て、体内にあるたんぱく質に結合します。

これが糖化反応で、その結果作られた劣化たんぱく質を、「AGE」といいます。
体内で糖と結び付きやすいたんぱく質は、コラーゲンです。

例えば、皮膚のコラーゲンに糖が結合すると、皮膚の色が濁ってシミやくすみになります。
糖尿病の指標であるヘモグロビンA1cも、糖化反応が進行している途中でできる物質です。

したがってヘモグロビンA1cが高いほど、糖化反応が進行しているといえます。
その結果、作られたAGEが体内に過剰に沈着すると、糖尿病性の合併症が発症します。

白内障の進行を抑制すると判明

インドの国立栄養研究所が、糖化に対して、どの食材に抑制効果があるか調べたところ、17品目中ショウガが首位で、なんと93%の阻止率でした。
この結果を受けて、実際に合併症に対して有効か、ラットを使って実験をしています。

薬で糖尿病を発症するラットをつくり、ショウガを与えないA群、ショウガ粉末を0.5%濃度で与えたB群、3%濃度で与えたC群に分け、何もしていない正常ラットD群と比較しました。
発症した糖尿病性白内障の進行状況を2ヵ月後に比べたところ、ショウガを与えなかった群はステージ2.5まで進行したのに対し、ショウガを与えた群の進行は有意に抑えられており、3%の群ではステージ0.8にとどまりました(下の表参照)。

白内障の発症自体は止められませんが、明らかに進行は抑えられています。

血糖値を下げ合併症も予防する

糖尿病が進んで、AGEが蓄積してくると、毒性の強い活性酸素が生成され、炎症を引き起こします。
この糖化、酸化、炎症という三つのステップで合併症は発症します。

白内障もその産物で、糖尿病のある人は、ない人の5倍も白内障の発症が多いという、頻度の高い合併症です。
ショウガが糖尿病性白内障の進行を抑えたのは、この三つのステップを抑制する作用があるからです。

①糖化を防ぐ
イランの報告でもわかるように、ショウガには、血糖値を下げる作用があります。
筋肉などの細胞の中には、糖を取り込むグルット4(GLUT4)という物質があります。

ショウガはこれを活性化して、糖を細胞の中に取り込みやすくします。
それによって血中の糖が減少すれば、高血糖の状態が解消されて、糖化反応が起こりにくくなります。

②酸化を防ぐ
ショウガの主成分であるショウガオールやジンゲロールには、過剰になった活性酸素を減らす抗酸化作用があります。

③炎症を抑える
活性酸素が減れば炎症が抑えられますが、ショウガの成分ショウガオールにも、炎症物質を抑えて、炎症を鎮める抗炎症作用があります。
こうした作用を考えると、ショウガは白内障だけでなく、網膜症や腎症、神経障害など、糖尿病の合併症全般に、抑制効果があるものと期待されます。

ただし、すでに発症してしまった合併症を治すことはできません。
期待できるのは、進行を抑える効果です。

摂取量の目安

では、そのためにどれくらいのショウガを取ったらいいのでしょうか。
イランの実験では、ヒトで1日2gでした。

これまでの研究を見ると、1g以上で健康効果が得られますが、糖尿病への効果を期待するなら、最低1.6gくらいは取ったほうがよさそうです。
これは、粉末ショウガの量です。

生ショウガなら、この約10倍くらいの量、1日16~20gになるでしょうか。
ショウガは辛いので、一度にたくさん取ることはできませんから、飲みやすいショウガ紅茶にして、1日3〜4杯飲むといいでしょう。

ハチミツや黒糖を入れると飲みやすくなりますが、糖尿病の人は入れ過ぎに注意しましょう。
それ以外にも、ショウガを積極的に料理に使うといいでしょう。

ちなみに私は毎日、粉末ショウガをいろいろな料理に使っています。
なお、AGEは焦げたベーコンや鶏の皮などの食品に多く含まれています。

そういうものは、なるべく控えるようにしてください。

解説者のプロフィール

平柳要(ひらやなぎ・かなめ)
●食品医学研究所
http://h-and-w.jp/

食品医学研究所所長。
東京大学大学院医学研究科修了。
ハーバード大学・マサチューセッツ工科大学客員研究員、日本大学医学部准教授などを経て、食品医学研究所を設立。
科学的根拠に基づいた健康食品の研究、開発に携わる。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

関連記事
こうして手のひらを押していたところ、なんと今年3月の人間ドックではヘモグロビンA1cが6.3%と正常値にまで低下したのです。これで安心したのですが、私の母にはもっと凄い効果が表れました。インスリン注射を1日1回に減らせました。注射は体に大きな負担があるらしく、これには母も大喜びでした【体験談】小池幸子(会社員・56歳)
更新: 2019-03-19 18:00:00
主人の血糖値ですが、酢タマネギを食べ始めてわずか2ヵ月ほどで100mg/dlまで下がりました。服薬を続けても下がらなかったのに、酢タマネギを食べ始めてすぐに改善したことには驚きました。血圧も下がり、以前は降圧剤を飲んで最大血圧が200mmHgだったのが、今は130mmHg程度です。【体験談】伊林好子(主婦・76歳)
更新: 2019-02-22 18:00:00
マグネシウムは体内では合成できないため、必ず食品から摂取しなければいけない「必須ミネラル」の1つです。現代の日本人の食生活は、カロリーは満たされていても、マグネシウムが足りない『新型栄養失調』状態にあるのです。その結果、糖尿病や脂質異常症、肥満をきたしやすくなるのです。【解説】横田邦信(東京慈恵会医科大学客員教授)
更新: 2018-12-31 18:00:00
認知症というと高齢者の病気、と考える人も多いでしょう。近年、認知症は「脳の糖尿病」で生活習慣の改善で予防できることがわかりました。認知症は20~30代の頃の生活習慣、特に食習慣の結果でもあります。ですから早めに対処することが認知症予防には欠かせません。【解説】熊谷賴佳(脳神経外科専門医・認知症サポート医・京浜病院院長)
更新: 2018-11-12 18:00:00
ゴーヤに含まれる苦み成分の一つであるチャランチンには、インスリンと似た働きがあります。また、同じく苦み成分であるモモルデシンにも、血糖降下作用があることがわかっています。さらに、ゴーヤには糖代謝を活性化するビタミンB1や、糖の吸収を遅らせる食物繊維も豊富に含まれています。【解説】下津浦康裕(下津浦内科医院院長)
更新: 2018-10-20 12:00:00
最新記事
「腰が痛い!」幅広い年齢層に蔓延する腰痛。しかし、病院に駆け込んで、骨や神経に異常が見つからない場合は「非特異的腰痛症」と診断されます。非特異的、つまり、原因不明の腰痛という意味。なんとも不思議な病名です。「腰が痛い」という異常があるから病院に来ているのに……。【解説】戸田佳孝(戸田リウマチ科クリニック院長)
更新: 2019-05-24 18:00:00
これまで、疲労が起きるのは、「エネルギーがなくなるから」「疲労物質が筋肉にたまるから」と考えられてきました。しかし、最新の研究によって、疲労が起きるほんとうの理由は、「自律神経の中枢である、脳がサビつくから」ということが、わかっています。【解説】梶本修身(東京疲労・睡眠クリニック院長)
更新: 2019-05-23 18:00:00
私は、これまで40年以上、タマネギをはじめとする、ネギ属の機能性成分を研究してきました。そこでタマネギには、確かに血液をサラサラにする働きがあるということが明らかになったのです。【解説】西村弘行(北翔大学・北翔大学短期大学部学長/東海大学名誉教授)
更新: 2019-05-22 18:00:00
見たいものにピントを合わせる「目の調節力」は25歳を過ぎる頃からどんどん低下し、30代後半から近くが見えづらくなる老眼になってきます。目の疲れや調節力の低下を改善するためにお勧めなのが、目の周囲を温める「温熱療法」です。私は、温熱療法の効果を多くの実験で確認しています。【解説】高橋洋子(みたにアイクリニック院長)
更新: 2019-05-21 18:00:00
「脊柱管狭窄症」「椎間板ヘルニア」などの改善のために行われる従来の脊椎手術は体への負担が大きく、後遺症が生じることもあります。そうした中、後遺症をほとんど残さない、新たな手術法が注目されています。【解説】白石健(東京歯科大学市川総合病院整形外科教授)【取材】山本太郎(医療ジャーナリスト)
更新: 2019-05-20 18:00:00

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt