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【歯科医】口呼吸から鼻呼吸にすると高血圧にも好影響を与えるってホント?

【歯科医】口呼吸から鼻呼吸にすると高血圧にも好影響を与えるってホント?

大人でも子供でも、口で呼吸をしている人が非常にふえています。口呼吸は虫歯や歯周病、歯並びの悪化という口腔内の問題だけでなく、全身の健康にも多大な悪影響を及ぼすのです。【解説】松見哲雄(日本自律神経免疫治療研究会会員・松見歯科院長)

呼吸と血圧には深い関連性がある

 大人でも子供でも、口で呼吸をしている人が非常にふえています。口呼吸は虫歯や歯周病、歯並びの悪化という口腔内の問題だけでなく、全身の健康にも多大な悪影響を及ぼすのです。

 私の歯科医院では、患者さんに必ず健康状態を尋ねます。高血圧の人には、おなかを動かしながら鼻で空気を出し入れする「調和道丹田呼吸法」を指導します。すると、その場で血圧が20〜30mmHg下がることがあります。それだけ、呼吸と血圧は関連しているということです。

 なぜ口呼吸が高血圧につながるのでしょうか。
 一つは、口呼吸をしていると、自律神経のうちの交感神経が優位になるからです。興奮して気持ちがうわずっているときは、だれしも口で呼吸をしているもの。つまり、口呼吸=交感神経が優位な状態ということです。

 交感神経が優位な状態が続くと、血管が過度に収縮し、血行が悪くなって高血圧を招きます。
 また、口からの浅い呼吸では血中酸素濃度が上がらないことも、高血圧につながる理由の一つです。

 イラストを見てください。上は鼻で呼吸をしている人の横顔です。舌が上あごに密着していて、気道がしっかり開いていることがわかるでしょう。
 下は、口呼吸の人の横顔です。舌が下がって上あごとの間に空域ができ、下がった舌の重みで気道が狭くなっています。これが呼吸障害を招き、血中酸素濃度を低くしてしまうのです。

 この状態であおむけに寝ると、舌に押されて、気道はますます狭くなります。こうして起こる呼吸障害の代表が、睡眠時無呼吸症候群です。イビキも、呼吸が障害されることで起こる現象です。ですから、睡眠時は、特に注意して対策を講じなければなりません。
 血中の酸素濃度が低いと、体にとってストレスになり、交感神経が優位になって血圧が上昇します。また、細胞に酸素を行き渡らせるために、より多くの血液を送り出す必要があるので、血圧が上がります。

コレステロール値や中性脂肪値も改善

 では、口呼吸を鼻呼吸に変えるには、どうすればいいのでしょうか。
 まず、口を閉じて舌を上あごにつけた状態をキープできるよう、口周りや舌の筋肉を鍛えること。また、日ごろから鼻呼吸のクセをつけることです。鼻の通りをよくすることも重要です。

 そのために私がお勧めしているのが、「あいうべ体操」「口テープ」「鼻洗い」の三つです。
 あいうべ体操は、みらいクリニックの今井一彰院長が考案したもので、「あ」「い」「う」と口を大きく動かし、最後に「べー」と舌を出すことで、口周りと舌の筋肉を鍛える体操です。

 私はさらに、「べー」のあと「ん」と口を閉じて、舌が上あごについていることを確認するよう指導しています。
 口テープは、睡眠時に口が開かないよう、唇に医療用の紙テープを縦に貼る方法です。
 昼間は意識して鼻呼吸をしていても、寝ているときは無意識に口呼吸になりがちなので、ぜひ実践してください。

 鼻洗いは、生理食塩水(0.9%の食塩水)を鼻から入れ、鼻から出すという方法です。市販されている専用の器具を使ってもいいですし、コップから吸い込む方法でもかまいません。
 鼻がつまっていなくても、現代人の多くは鼻の中に炎症があり、空気の通り道が狭くなっています。1日1〜3回、鼻洗いをすることをお勧めします。

 そのほか、私の診療所では、玄米食を中心とした食事や、前述した丹田呼吸法も指導しています。これらを実践して、高血圧が改善した患者さんの例を、一部ご紹介しましょう。

 降圧剤を服用していた60代の女性は、鼻呼吸を始めて約4ヵ月で断薬。その後も最大血圧は130mmHg台、最小血圧は70〜80mmHg台で安定しています。
 88歳の男性は、断薬後、最大血圧が150mmHgに上がりましたが、あいうべ体操や口テープを実践していたら、2ヵ月後には116mmHgに下がり、その後はずっと安定しています。高かった中性脂肪値とコレステロール値、そして下肢静脈瘤まで改善したそうです。
 高血圧で不安を抱えているかたは、まず呼吸を変えてください。血圧の数値以外にも、体調が上向いてくるはずです。

あいうべ体操のやり方

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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