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【大学教授の健康法】私の血圧が下がったのは「インターバル速歩」のおかげ

【大学教授の健康法】私の血圧が下がったのは「インターバル速歩」のおかげ

私は、70歳を迎えたころから、最大血圧が160mmHgを超えてしまいました。血圧には前科があり、これまで何度か高血圧を指摘されたことがあります。【解説】西條一止(筑波技術短期大学元学長・筑波技術大学名誉教授)

降圧剤をやめても血圧は基準値をキープ

 私は、70歳を迎えたころから、最大血圧が160mmHgを超えてしまいました。2008年ごろのことです。血圧には前科があり、これまで何度か高血圧を指摘されたことがあります。しかし、そのたびに水泳などをして、なんとか血圧をコントロールしてきました。

 ところが、今回ばかりは医師の言葉に従って、降圧剤を服用しました。処方してもらったのは、ニューロタンという薬です。この薬は、アンジオテンシンⅡという血圧を上げる物質の働きを、直接的に阻害して、血圧を下げるというものです。
 私は、このニューロタンを、ふだんは1日1錠、血圧が上がりやすい冬は2錠飲みました。

 その影響で、最大血圧140mmHg前後、最小血圧80mmHg前後で落ち着いていました。
 さて、NHKの『ためしてガッテン』という番組で「インターバル速歩」を知り、これはおもしろいと思いました。歩き方を少し変えるだけで、血圧や血糖値が改善するというのです。

 私は、長年、鍼灸の研究をしており、体が持つ「治す力」、「調節する力」を重視した治療を行ってきました。インターバル速歩は、まさに治す力を引き出す運動療法だと思いました。
 そこで、翌日から早速、インターバル速歩を開始しました。すると、2週間めぐらいから手ごたえを感じるようになったのです。そこで、今度は血圧をきちんと記録することにしました。
 その記録を見ると、最大血圧126mmHg、最小血圧69mmHgになっていました。その後も、最大血圧130mmHg台、最小血圧70mmHg台の日が続いています。

 このように血圧が下がって安定していたので、その後、薬を中止しました。それ以降、冬も薬はいっさい服用していません。それでも、最大血圧130mmHg台、最小血圧70mmHg台を維持しています。

血圧が安定した西條先生

自分の持つ治す力や調節力が高まった!

 私がインターバル速歩をするのは、たいてい夕方です。速歩きとゆっくり歩きを3分間ずつ、5セットするときもあれば、もう少しセット数をふやすときもあります。
 最初は、速歩きの3分間がきつかったのですが、慣れてくると徐々に長く歩けるようになりました。
 しかし、調子に乗って6分間も速歩きをすると、3分間のゆっくり歩きだけでは回復できず、歩行後もすごく疲れます。やはり、3分間を交互にやることに、意味があるのだと実感しました。

 また、インターバル速歩を週4回、決まった時間にできないときは、ふだんの歩行のなかに取り入れてカバーしています。例えば、買い物や仕事に出かけるときも、速歩きを交えながら歩くのです。
 私は降圧剤を飲み始めたときから、いずれ薬はやめようと決めていました。薬で血圧を下げることはできても、それは高血圧を治しているわけではないからです。

 本来、体の調節力とは、全身のあらゆる機能を整えて体の不調を回復させるものです。それを血圧だけ薬で不自然にコントロールすると、この全身を調節する力にブレーキをかけてしまうおそれがあります。
 私は今77歳ですが、この年になると体のいろんなところが老化し、機能が衰えてきます。だからこそ、この際自分の持っている調節力に奮起してもらわねばと思ったのです。

 というのも、私の妻は悪性リンパ腫(血液中のリンパ球という細胞が異常にふえることで起こる病気)で、これまで3回も再発をくり返してきました。体力が落ちた妻に代わって、私が家事や買い物を全部引き受けていますから、私が倒れるわけにはいかないのです。
 しかし、どうやらインターバル速歩は、私の期待にこたえてくれたようです。薬を飲まずとも血圧はよい状態を維持でき、足腰も強くなりました。周囲の人からも、「若返ったね!」といわれます。私はこのインターバル速歩で、自分の持っている治す力や調節力を高めることに成功したと思っています。
 こうした経験から、私は、自分が主宰するセミナーや講習会で、参加者にインターバル速歩を教えています。実践者は着実にふえていると思います。

 最後に、一つだけいいたいことがあります。私は自分の考えで降圧剤をやめましたが、通常、その判断をすることは難しいでしょう。やはり、血圧をきちんと管理できる専門家(医師)が必要です。そして、インターバル速歩などで血圧が下がった場合も、適切に減薬・断薬を指示してもらうべきだと思います。

仕事に出かけるときもインターバル速歩

解説者のプロフィール

西條一止
1938年、新潟県生まれ。65年、東京教育大学教育学部理療科教員養成施設卒業。
71年、同大学同学部同学科教員養成施設助手。76年、筑波大学講師。77年、医学博士(東京大学)。86年、筑波大学教授。87年、筑波技術短期大学教授。学長。
2003年、同大学名誉教授。06年、日本伝統医療科学大学院大学長。
08年に退職。主な専攻分野は「自律神経機能からの鍼灸の科学化」。
自然鍼灸治療の権威として、多くの治療家を育てている。

●自然鍼灸学・自律神経臨床研究所
http://nishijokazushi.com/

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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