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【覚えておきたい対処】ぎっくり腰痛みをすぐ取る「K点」の刺激法と探し方

【覚えておきたい対処】ぎっくり腰痛みをすぐ取る「K点」の刺激法と探し方

K点とは、後頭部にある1点で、東北大学名誉教授である国分正一先生が発見した痛み解消の特効点です。K点を刺激したとたん、ぎっくり腰で救急車で運ばれてきた人が、その場で痛みが治まって自分で歩いて帰ったりといった例もあるのです。【解説】国分正一(国立病院機構仙台西多賀病院脊椎脊髄疾患研究センター長)


首の痛み、頭痛、眼精疲労、あごの痛み、五十肩、ギックリ腰、慢性腰痛、肋間神経痛、そけい部の痛み、座骨神経痛、ひざ痛、手足のしびれ……。

これらの、一見、場所も原因も関係がないように見える多様な症状に、
後頭部のある1点が大きくかかわっています。

この後頭部のポイントがK点
東北大学名誉教授である国分正一先生が発見し、
名付けた、痛み解消の特効点です。

【取材・文】山本太郎(医療ジャーナリスト)

解説者のプロフィール

国分正一(こくぶん・しょういち)
国立病院機構仙台西多賀病院脊椎脊髄疾患研究センター長。
1968年、東北大学医学部卒業。
国立療養所西多賀病院整形外科医長、オックスフォード大学整形外科への留学を経て、95年、東北大学整形外科教授。
2006年、定年退職により同大学名誉教授となり、国立病院機構仙台西多賀病院脊椎脊髄疾患研究センター長に就任。
日本整形外科学会会長、日本脊椎脊髄病学会会長、日本整形外科学会副理事長などを歴任する。

●国立病院機構仙台西多賀病院
http://www.nishitaga-hosp.jp/shinryo/seikei.html

後頭部のある一点が全身40ヵ所に影響!

私たちの体には、過度に緊張して硬くなり、
痛みを起こす原因となる筋肉がいくつもあります。

同じ姿勢を続けたり、何か無理な姿勢を取ったり、
変な力の入れ方をした弾みで、筋肉が強く緊張してしまうのです。

こうした筋肉の緊張によって起こった痛みと機能不全による障害が、最初に挙げたさまざまな症状として現れます。

その中で、1ヵ所が硬くなったり痛みが出たりすると、ほかの筋肉まで連鎖的に緊張してしまう、
筋肉のグループがあることを、国分先生は長年の研究から突き止めました。

この連動した筋肉のグループを「K点筋群」と呼びます。

例えば、K点筋群の一つである外腹斜筋(わき腹の筋肉)が硬くなるとぎギックリ腰を起こし、
下部大殿筋(お尻から太ももの付け根にかけての筋肉)が硬くなると、イスに座っているのがつらくてたまらなくなるのだそうです。

国分先生が解明した「K点筋群」

K点への刺激で、全身で40カ所に上る筋肉がいっせいにほぐれる。

K点の位置

頭、あご、首、胸、腕、背中、尻、太もも、ふくらはぎ、手指、足先に至るまで、
実に40にも上るK点筋群を一度にゆるめる要かなめとなるポイントこそ、
後頭部にある「K点」なのです。

東洋医学では、
左右の耳の後ろの骨の出っ張り(乳様突起)と
後頭部の骨の出っ張り(後頭隆起)のすぐ下のくぼみ(ぼんのくぼ)を結んだラインの中間点に、
風池というツボがあるとされています。

K点は、この風池のツボの約1cm上に位置し、
こわばりがある場合には、押すとビーンと響く強い圧痛を感じる場所です。

耳の後ろの骨の出っ張り(乳様突起)と後頭部の骨の出っ張り(後頭隆起)の下のくぼみを結んだラインの中間点の1cm上。
左右にある。

K点指圧のやり方

症状が出ている側のK点を30秒、親指で強く押し続ける。
最初はかなり痛いが、押しているうちに、その痛みが和らいでくる。

痛みを出す原因は「筋肉」にあった!

腰痛に悩む患者さんの85%以上は、原因不明の腰痛だと言われています。

レントゲンやMRI(核磁気共鳴画像法)などの検査で、
骨や関節、神経などに明らかな原因を発見できることのほうが少ないのです。

「実は、原因不明とされる体の痛みの多くは筋肉の過度の緊張から生じています。
筋肉は、柔軟性があって伸びやすく、
痛みがない状態が望ましいのですが、
筋肉が緊張し過ぎて硬く縮こまった結果、痛みとなって表れているのです」(国分先生)

K点への刺激で劇的に改善

しかし、最近の整形外科では、筋肉が痛みを出すとは考えられていません。

ですから、実際には筋肉が原因で起こっている痛みを、
画像検査で見つかった骨や関節の変形に無理やり結びつけて、誤診しているケースも少なくないとのこと。

国分先生は、こうした筋肉の緊張を診断し、
K点に局所麻酔剤を注射して筋肉をゆるめるブロック療法、
さらには患者さんが自分で行えるK点の指圧やストレッチ法を開発しました。

その結果、従来、鎮痛剤でお茶を濁すような治療しか行われていなかった多くの症状に、
劇的な改善が見られるケースが続出したのです。

国分先生によると、症状が現れて1ヵ月以内であれば、
多くの場合、痛みは一瞬でよくなるとのこと。

K点を刺激したとたん、五十肩でほとんど上げられなかった腕がスーッと上がるようになったり、
ギックリ腰で救急車で運ばれてきた人が、その場で痛みが治まって自分で歩いて帰ったりといった例も、枚挙にいとまがありません。

「苦痛に満ちていた患者さんや、
心配していたご家族の表情に笑顔が戻るのを見るのは、大きな喜びです」(国分先生)

【症例】全身に広がった痛みとしびれがK点ストレッチで消えた

ではここで、1年半も体のあちこちに生じた痛みに悩まされていた40代の女性・Aさんの症例を紹介します。

Aさんは、両側のこめかみが痛んで眼精疲労が強く、
腰と、内ももからひざにかけての痛みに加え、手指と足先にしびれがありました。

他院では線維筋痛症(※1)や神経障害性疼痛(※2)と診断されたり、心の病とまで言われたりしたそうです。
処方された薬はほとんど効かなかったと言います。

※1 線維筋痛症:全身に原因不明の痛みが生じる慢性疾患
※2 神経障害性疼痛:神経が異常に興奮して生じる痛み

国分先生が診察でAさんの右側のK点を押したところ、
「痛たっ!」と悲鳴が上がるほど激痛が生じました。
左側のK点も同様でした。

そこで、AさんにK点ストレッチをしてもらうと、
その場で頭がすっきりし、視界が明るく全身が軽くなり、
さらにK点に少量の麻酔注射をすると、痛みが完全に消えました。


K点筋群の緩め方を覚えておくといい

国分先生の診察では、簡易で確実な治療効果を狙って、
麻酔注射によるブロック療法を行います。
ですが、簡単な方法で、自分でK点をゆるめて痛みを解消することもできます。

症状の慢性化を防ぐためにも、
「目がしょぼしょぼする」
「ちょっと腕が上げにくい」
「腰が張った」
「手足がしびれる」
と感じたら、すかさずK点を指圧して、K点筋群をゆるめるのがお勧めだそうです。

特にギックリ腰や五十肩など急性の症状には、
すぐに行えば劇的な効果が現れるとのことですから、
今は症状がない人も、今後のためにぜひ覚えておいてください。

K点筋群の緩め方

かなり痛いが30秒間強く指圧する

では、国分先生に教えていただいた、K点筋群のゆるめ方を説明します。
まず、K点に圧痛があるかどうか、親指で押してみてください。

左右のK点を押したとき、どちらか片方だけが強く痛む場合、体の同じ側に症状が出ているはずです。
もちろん、両側とも痛む人もいます。

圧痛があるほうのK点を親指で30秒ほど、皮膚に対して直角に、痛くても力をゆるめずに強く指圧してください。
ほかの4本の指で頭を抱え込むようにすると力を入れやすいでしょう。

「最初はかなり痛みますが、K点がある胸鎖乳突筋がゆるんでくると、同じ力で押していても痛みが感じられなくなります。
それに伴い、40のK点筋群がいっせいにゆるみ、全身の痛みの症状が和らいでくるはずです」(国分先生)

肩の痛みがあるなど、自分で後頭部のK点を指圧するのが困難な人は、K点筋群に働きかける簡単なストレッチでも、K点の緊張を解くことができます。
どちらかやりやすいほうだけで構わないそうです。

K点ストレッチも実践してみてください。

K点ストレッチのやり方

ブーケトス・ストレッチ

上腕三頭筋長頭(二の腕のK 点筋群)をゆるめる

①手のひらを後ろに向けて腕を伸ばす。

②腕をできるだけ高く上げたまま、手のひらで背中をたたくようにすばやくひじを3回曲げる。
3回目にひじを曲げた姿勢を30秒キープする。

チャップリン・ストレッチ

薄筋(内もものK点筋群)をゆるめる

①かかとを15cmほど離して立ち、つま先をできるだけ外側に開いてひざを軽く曲げる。

②つま先を開いたまま、すばやくひざを内側に3回寄せる。
3回目にできるだけひざを寄せた姿勢を30秒キープする。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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