解説者のプロフィール

留目昌明(とどめ・まさあき)
和楽堂治療院院長。鍼灸師。
1948年、青森県生まれ。
明治大学農学部卒業。
1983年、東京鍼灸柔整専門学校を卒業。
鍼灸治療を行うかたわら、無農薬栽培をしたニンニク、リンゴなどを患者に勧めている。
●和楽堂治療院
青森県八戸市根城4-8-15
TEL 0178-43-4552
http://warakudo.net/
左半身の活性化が糖尿病改善のカギ
病気でお悩みの人に、鍼灸師としての経験から、ぜひお伝えしたいことがあります。
それは、健康はピンポイントではなく、体全体の相互作用で作られるということ。
悪いところだけを改善しようとする治療法では、病気は治りません。
例えば糖尿病です。
インスリンというホルモンが深く関与しているため、現代医学ではインスリンや、インスリンを分泌する膵臓をピンポイントで治療しようとします。
もちろん治療は必要ですが、膵臓だけに注目したり、インスリンの分泌を促したりするだけでは不十分です。
ご存知のとおり、糖尿病の原因の一つはストレスです。
ストレスに効くのは、実は膵臓と動脈でつながっている脾臓です。
脾臓は、自律神経(内臓や血管の働きを調整する神経)を左右する要所。
糖尿病の影響は全身に渡りますが、脾臓は自律神経のバランスを整えて、体調改善に一役買ってくれます。
さらに、臓器に酸素を送るのは肺ですが、肺を動かすのは横隔膜で、横隔膜は筋肉です。
病気の人は筋肉どころか、肋骨まで緊張しており、肺を圧迫してその動きを妨げていることが少なくありません。
逆に筋肉や肋骨の緊張がゆるめば、肺もよく働き、膵臓や脾臓などの臓器にも好影響を与えます。
糖尿病改善を目的とするならば、膵臓と脾臓、臓器と筋肉の相互作用で治していかなければなりません。
膵臓と脾臓は体の左側にあるので、左半身全体の緊張をとくようにするとよいでしょう。
ピンポイントではなく、左半身全体を活性化させることが必要なのです。
糖尿病の人は頭の後ろが腫れている
体の緊張は、元をたどると脳の緊張から起こっています。
脳の緊張が取れると体がゆるみ、筋肉や臓器の働きがよくなります。
脳の緊張は打撲、ストレス等が原因で、結果として脳脊髄液の滞りが起こります。
脳脊髄液とは、脳を保護している潤滑油のようなもの。
脳と脊髄を循環しているのですが、この流れが滞ると脳は緊張し、その緊張は支配神経を通して、体全体へと影響します。
そして滞った脳脊髄液は、後頭部の下のほうにたまりやすいのです。
左半身をゆるめるためには、後頭部にたまった脳脊髄液を流してあげること。
そのためには、頭の右側を刺激します。
皆さんご存知のとおり、右半身は左脳が、左半身は右脳が制御しているからです。
特に膵臓、脾臓の活性化に効果的なのは、右耳の後ろと、ぼんのくぼの真上から右です。
右耳の後ろは、後頭乳突縫合です。
難しい名前ですが、頭蓋骨のつなぎ目の一つです。
ぼんのくぼの真上は外後頭隆起で、後頭骨の出っ張った部分。
脾臓、胃、膵臓に効果的で、中央から右サイドに向かって刺激していきます。
特に外後頭隆起は、最も脳の内圧がかかりやすい場所です。
糖尿病や高血圧などの人はこの部分が腫れていたり、むくんでいたりすることが少なくありません。
この2ヵ所にたまった脳脊髄液の滞りを解消し、脳の緊張を取ると、左半身にある肋骨がゆるみ筋肉の緊張が取れます。
金属を使って刺激すると細胞が正常な状態に整う
横隔膜の動きがよくなると肺もよく働き、膵臓と脾臓も活性化。
膵臓が元気になればインスリンの分泌が促され、脾臓が元気になって自律神経が整います。
刺激には、500円玉を2枚重ねて使います。
金属で体を刺激すると、細胞が正常な状態に整うことも、研究でわかっていています。
1日1回、ぜひ、お試しください。

糖尿病に効く「500円玉こすり」のやり方

こする場所

後頭乳突縫合のこすり方
頭蓋骨の割れ目にねじ込むように、やや強い力で10秒こする。

外後頭隆起の下部のこすり方
頭蓋骨を下から上へ持ち上げるように、やや強い力で10秒こする。