首の痛みは【ストレートネック】が原因 対策は顔の "ココ" を押すこと

首の痛みは【ストレートネック】が原因 対策は顔の "ココ" を押すこと

私の治療院へ、首のトラブルで来院される患者さんの多くは「ストレートネック」です。ストレートネックとは、首を前に出した姿勢を長年続けたことにより、緩やかなS字カーブを描くはずの頸椎(首の骨)が、真っ直ぐになってしまった状態です。スマホ首ともいわれています。【解説】酒井慎太郎(さかいクリニックグループ代表・柔道整復師)


ストレートネックの原因、セルフチェック法

 私は長年、首・肩・腰・ひざの痛みを訴える患者さんに対し、主に「関節包内矯正」という、関節のすき間を広げる施術を行う治療院を開業しています。
 そこではスタッフとともに、1日に170人以上の施術にあたっています。

 その結果として、はっきり言えることがあります。首のトラブルで来院する人のほとんどに、「ストレートネック」という症状があるのです。
 ストレートネックとは、ゆるやかにカーブしているはずの頸椎(首の骨)が、首を前に出した姿勢を続けたことによって、まっすぐになってしまった状態です(図参照)。

 私は、日本人の8〜9割に、こうしたストレートネックの兆候があると感じています。
 その理由は、いくつもあります。そもそも日本人は農耕民族で、おじぎの文化も深く根づいているため、前傾姿勢になりがちなこと。
 それに加えて現代社会では、パソコンやスマートフォン、携帯電話をよく使うことで、どうしても首を前に出す前傾姿勢を取るようになり、ストレートネックの増加が助長されたと考えられるのです。

 ストレートネックかどうかは、レントゲン検査を受ければすぐにわかりますが、簡単なセルフチェック法もあります。
 まず、壁を背にして「気をつけ」の姿勢を取ります。そのとき、後頭部、肩甲骨、お尻、かかとの4ヵ所が特に意識しなくても自然と壁につけば、頸椎は正常な状態です。
 もし、後頭部が壁につかなかったり、意識的に首を後ろに倒さないとつかない場合は、ストレートネックの可能性が非常に高いといえます。

ストレートネックの症状は、耳鳴り、めまい、頭痛、自律神経失調症、頸椎ヘルニアなどさまざま

 では、なぜストレートネックになるとよくないのでしょうか。

 ストレートネックになると、体の約10%もある頭の重みが頸椎にまともにかかり、首周りにある筋肉や神経にも大きな負担を与えます。
 首周りへの負担は、筋肉の疲労となり、首や肩のこりとして感じられます。たかが首こりや肩こり、と思うかもしれません。しかし、放っておけば、セキをしただけでも首に痛みが走るような状態になることもあるので、注意が必要です。

 また、頭の重みで頸椎の関節と関節のすき間が縮まってしまうと、そこに存在する多くの神経が圧迫され、不快な症状が出てきます。
 例えば、頸椎の上のほうが圧迫されると、耳鳴りやめまい、頭痛(緊張性頭痛)、自律神経失調症などにつながります。

 また、頸椎の下のほうが圧迫されると、首や肩のこり、手・腕のしびれが現れやすくなります。さらに、頸椎と頸椎の間にある椎間板が圧迫されて突き出し、いわゆる「首のヘルニア(頸椎椎間板ヘルニア)」になるケースもよく見られます。

 なお、ストレートネックは男性よりも、女性や子どもに多く見られます。おそらくそれは、関節が男性に比べて柔らかいため、骨格に悪いクセがつきやすいからだと思われます。
 一方、男性は元来、ストレートネックになりにくいものの、異常を感じたときには、かなり状態が悪化している場合が多くあります。
 いずれにせよ、ストレートネックはできるだけ予防し、なるべく早く改善するべきです。そのために今回ご紹介するのが、「あご押し体操」です。

【超簡単】すぐに実践できる「ストレートネックの改善方法」

 あご押し体操は、どなたでも簡単にでき、すぐに実践できます。あごの先端に指を当て、頭と首を後ろの方向へ押したり戻したりを、くり返すだけです。

 やり方のポイントは、二つあります。

 一つめは、肩の位置を動かさず、頭と首を水平にスライドさせるように後ろへ押し込むこと。
 二つめは、強めにぐっと押し込むことです。
 もし、やり始めたばかりで、うまくできないと感じた場合は、背中を壁につけて行うとコツがつかみやすいはずです。

 ちなみに、あご押し体操は、1日に何回行っても構いません。
 仕事や家事の合間など、日常生活のさまざまな場面で、くり返し行うと効果的です。私の場合は、車を運転しているとき、赤信号で停車するたびに行っています。
 デスクワークなどで前かがみの姿勢になることが多い人は、15〜30分に一度ぐらい行うと理想的です。

 また、頸椎症や首のヘルニア、ムチ打ち症がある人も、できるだけ実践していただきたいと思います。これらの首のトラブルを、悪化させるどころか治癒に導くことができる体操なのです。
 いずれにしても、こうしてあご押し体操をくり返し行っていると、固まっていた頸椎関節がゆるみ、動きがよくなってきて、徐々にストレートネックが解消されます。

 頸椎は、正しい動かし方をしていれば、本来のカーブを取り戻してきます。習慣づければ、およそ2〜3週間でストレートネックが治り、いつのまにか首のこりや痛みも消えているはずです。
 さらに、首の関節はもちろんのこと、首周りの筋肉や神経も正常な状態に戻るので、先ほどお話しした耳鳴り、めまい、頭痛などが軽減されることも大いに期待できる体操なのです。

ストレートネックの予防法は、「あお向けで寝ること」

 ただ、これほどすぐれた体操を行っても、頭と首を前に出すという悪いクセを改めなければ、せっかくの効果が半減してしまいます。
 最も注意が必要なのは、やはりスマートフォンや携帯電話を使うときです。

 実は、本体を顔の高さに上げれば、頭と首を突き出さずに済むので、ストレートネックを予防できます。
 そこで、スマートフォンなどを使用するときは、操作している手のほうの脇の下に、反対の手の握りこぶしを入れてみてください。
 こうすると、本体を持ち上げている腕が疲れるのを防げる上に、画面を顔の高さの位置にキープできます。

 また、毎晩の就寝時に、高い枕をしていると、首や肩の筋肉が緊張し、こりや張りを招きます。ですから、できるだけ枕を使わず、あおむけに寝るようにしてみましょう。
 これまでに高い枕を使っていた人なら、これだけで首のこりや痛みが即座に緩和することも少なくありません。
 高い枕で寝ていた人にとって、最初は違和感があるかもしれません。特に、ストレートネックの人は、枕がないと不安感が強いと思います。
 しかし、枕なしに慣れれば、そのほうが調子がよいことに気付くはずです。

 ショルダーバッグや手さげカバンを、いつも左右同じ側で持ち歩くのも、いただけません。どちらか一方への偏った負担は、首や肩のこりにつながってしまいます。
 そこで、ベストの選択はリュックサックなのですが、どうしてもファッション的に気が進まない場合は、こまめに左右を切り替えたり、できるだけ肩に近い部分から斜めがけをしたりするようにしましょう。

 あご押し体操とともに、こうしてストレートネックを解消する意識を常に持ちながら、正しいセルフケアを続けていただきたいと思います。

酒井慎太郎
 整形外科や腰痛専門病院などの経験を生かし、腰痛やスポーツ障害の施術を得意とする。著書は『腰・股・膝の痛みはテニスボール1個で消える』(マキノ出版)など。テレビ番組の出演も多い。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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