【ふわふわ】浮動性めまい 難治めまいの治し方 原因は "首こり" 対策で8割が改善

【ふわふわ】浮動性めまい 難治めまいの治し方 原因は "首こり" 対策で8割が改善

めまいは、もはや4~5人に一人は悩みを抱えているという、国民病の一つです。私のクリニックでは、内科をメインに耳鼻科や脳外科、時には神経内科の視点から、総合的にめまいの診断と治療にあたっています。その中でも、特に注目しているのが「首こり」なのです。【解説】入野宏昭(IR健康管理システム・入野医院院長)


「ふわふわ」「ぐるぐる」「たちくらみ」様々なめまいの症状

 原因がよくわらかず、また、治療効果も実感しづらい「めまい」。

 めまいは、もはや4~5人に一人は悩みを抱えているという、国民病の一つです。

 大阪府にある私のクリニックには、府内のみならず、全国からめまいで悩む患者さんが訪れます。

 めまいといっても、ぐるぐると周囲や自分が回っているように感じる回転性のものや、ふわふわとして、船酔いのような感覚が起こる浮動性めまい、そのほか、立ちくらみのようなものもあります。

 その症状や原因は多岐にわたり、それぞれの複合例も含めると、めまいの診断や治療は、とても複雑です。

 ところが、めまいといえば、まず耳鼻科で診断を受け、良性発作性頭位めまい症(耳石が三半規管へ落ちてめまいが起こる)や、メニエール病(めまいや吐きけの発作がくり返し起こる病気で、一般的には耳鳴りや難聴を伴う)といった診断が下されるか、耳性めまいは否定的といわれるのが一般的です。

 ただ、これらの診断基準に症状が当てはまらなかったり、診断結果が今ひとつピンとこない。あるいは、治療効果が実感できず、もやもやとした気持ちを抱えながら、転院や再発をくり返している患者さんも少なくありません。

 私のクリニックには、こういった患者さんが多く訪れ、内科をメインに耳鼻科や脳外科、時には神経内科の視点から、総合的にめまいの診断と治療にあたっています。

 その中でも、特に注目しているのが「首こり」です。

 首がこると、首の筋肉の緊張が強くなり、周囲の血管や自律神経(内臓や血管の働きを調整する神経)を圧迫し刺激します。

 自律神経が圧迫されるとそのバランスがくずれ、首の血流が滞ります。すると、耳への血流も悪くなり、平衡感覚を司る三半規管が正常に働かなくなり、めまいを引き起こすのでは、と当院では、考えています。

めまいの患者の9割に「首のこり」がある

 このような、首に原因のあるめまいを「頸性めまい」といいます。クリニックに訪れる、めまいを持つ患者さんの8~9割は、首こりの症状を持っていることがわかりました。

 なお、めまいのほか、頭痛を併発している患者さんは6割ほど、耳鳴りや難聴を伴う患者さんは4割ほどです。このことから、いかに首こりを訴えるめまいの患者さんが多いか、おわかりになるでしょう。

 では、具体的に、首こりとはどんなものなのでしょうか。あごを引いたときに浮き出る、耳の付け根から、首のわきを通る胸鎖乳突筋という筋肉があります。

 この胸鎖乳突筋をつまんだとき痛かったり、ゴリゴリと固まったりしているようであれば、それが首こりだといえます。自覚症状としては、首のつけ根から後頭部にかけて重く感じるはずです。

 なお、首こりと肩こりは異なるものです。首こりに対応するのは胸鎖乳突筋ですが、肩こりは主に、僧帽筋という筋肉の緊張です。
これまで、首こりとめまいの関連については、医師の間でも、あまり重要視されてきませんでした。神経学的に、説明できないと言われていたからです。

 しかし近年では、首こりと関連する胸鎖乳突筋から、耳への神経の回路が実験で証明されています。

 また、不思議なことに、首こりは左側が圧倒的に多く、右側に症状が出ることはあまりありません。これは、左側にリンパ管が通っているからではないかと考えています。

頸性めまいの患者の76%に改善効果「首の3点もみ」

 首こりを招く原因は疲労やストレス、骨格のズレのほか、生活習慣や姿勢も大きな要因です。長時間のパソコン作業で、あごが前へ突き出したままの姿勢では、首の筋肉が硬直してしまいます。

 うつむいたままで、スマートフォンを操作したり、寝転がったままTVを見たり、重いものを持ったりすることも首に負担がかかります。

 なお、頸性めまいの症状がある患者さんのMRIを見ると、首の傾きに異常が見られたり、神経が圧迫されている様子も見て取れたりします。

 さらに、椎間板の変性や、脊髄液の圧迫などが起こることで、交感神経の緊張が起き、めまいが引き起こされると考えられます。

 また、合わない枕や、睡眠中の歯ぎしり、交通事故などによるムチ打ち症なども、原因となるので注意が必要です。 

 私は、こうした首こりを医院で治療するほか、自分でできる方法も指導しています。それが「首の3点もみ」です。

 その結果、今までどんな治療を施しても、改善がみられなかった患者さんでも、1ヵ月以内に76%が改善するという大きな治療効果を得ています。

「首の3点もみ」のやり方

 首には、いろいろな筋肉があります。

 その中でも、耳の付け根から首の両脇に沿って走っている、胸鎖乳突筋は神経の中継地点であり、自律神経や血流に影響が出やすい箇所です。

 そこで、この筋肉を治療ポイントとしています。

 今回紹介するのは、この胸鎖乳突筋の3点を指でつまむマッサージです。

 胸鎖乳突筋のこりをほぐすと、自律神経のバランスが整い、血流がよくなります。その結果、滞っていた耳への血流も回復し、めまいの軽減、かつ場合によっては耳鳴りも改善できるというわけです。

 めまいのある患者さんに、治療と並行して、首の3点もみを含む、いくつかのマッサージを1日3回続けてもらいました。すると、実践から約1ヵ月で、実に76%の人が改善を実感しているという結果でした。

 もちろん、首の3点もみのほか、パソコンや編み物、TVを見るときの姿勢を改善することも大切です。

 また、高齢者の頸性めまいには、体幹や骨格の変形が原因の場合があるので、日常の運動も必要です。

 めまいが起こるのを恐れて、首を動かさないよう安静にする人がいますが、むしろストレッチなどで身体を動かして血流をよくするほうが効果的です。

首こりを取って めまいを遠ざけるケア

 データ上、めまいは50歳前後の年齢層に頻発するとされます。しかし、私の実感では30~40代の女性に増えているようです。

 特に働いている女性は、パソコン業務や育児、家事、さらに介護などにも追われることがあるでしょう。これは、首こりが、疲労やストレスから起こるということと、無関係ではないはずです。

 症状が起こるタイミングとしては、眠れなかったり、疲労がピークに達したときと、その反対に、緊張がほどけてほっとしたときに起こりやすい傾向があるようです。

 めまいに悩む人は、本人はつらいけれども、はたからみると元気に見える人が多いのも特徴の一つです。

 診察を受けても、はっきりとした所見が認められなかったり、「めまいは病気のうちに入らない」と言われてしまったという患者さんもいます。

 原因や治療法に決定打がなく、つらい思いをされている人は、まだまだ多いのでしょう。

 残念ながら、めまいは、完全に治る病気だとは言えません。とは言え、悪くなったり、改善したりをくり返しながら、できるだけいい状態が、長持ちするようにケアしていくことが大事だと思います。

 そうしたことからも、ぜひ、この簡単な首の3点もみを、日常生活に取り入れていただきたいと思っています。

 ただし、全身の動脈硬化があったり、重い高血圧や糖尿病がある人は行わないようにしてください。

入野宏昭
 兵庫医科大学卒業。大阪大学第一内科、大阪医療センター等を経て2009年より現職。日本めまい平衡医学会認定めまい相談医。めまいを内科や脳外科などの観点から総合的に診断する。著書に『めまいは首をもめば治る』(マキノ出版)がある。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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