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【足の血管障害】下肢静脈瘤とバージャー病のセルフケアを名医が解説

【足の血管障害】下肢静脈瘤とバージャー病のセルフケアを名医が解説

軽度から中等度の下肢静脈瘤は、セルフケアが大切です。下肢静脈瘤のセルフケアの基本は、足を動かすことです。長時間じっとしている動作を避け、ウオーキングや散歩をするなどして、積極的に足の筋肉を動かすべきです。【解説】岩井武尚(慶友会つくば血管センター所長・バージャー病研究所所長・東京医科歯科大学名誉教授)


解説者のプロフィール

岩井武尚(いわい・たけひさ)
●慶友会つくば血管センター
TEL 0297-47-9955
http://keiyu.or.jp/vascularcenter/

慶友会つくば血管センター所長。
バージャー病研究所所長。
1967年、東京医科歯科大学医学部卒業。
ニューヨーク大学病院外科、サンフランシスコカリフォルニア大学病院血管外科、東京医科歯科大学外科第一講座教授を経て、現職。バージャー病研究の第一人者。
日本静脈学会理事長。お茶の水血管外科クリニック顧問。

「下肢静脈瘤」の患者数は推定数千万人

私がセンター長を務める、つくば血管センターには、血管の病気を抱えた患者さんが全国から訪れます。

その中でも患者数が多いのが、足の血管障害である「下肢静脈瘤」です。

足の静脈が膨れ、瘤になるこの病気は、人間が2足歩行になったときから抱える宿命病だと言えます。
現代になっても下肢静脈瘤に悩む人は減らず、軽症も含めると、患者数は数千万人いると推定されます。

なぜ足に瘤ができるのか

宿命病とはいえ、なぜ、このように多くの人の足に瘤ができるのでしょう。

足の静脈は、重力に逆らい、血液を「下から上」に向かって心臓に戻すという、全身の中でも重要な役目を担っています。
そのため、足の静脈には「静脈弁」という、血液の逆流を防ぐバルブ機能が備わっています。

このバルブ機能は優秀ですが、静脈弁自体が薄くて壊れやすい性質を持っているのです。
なんらかの原因で静脈弁の一つが壊れると、血液が心臓に戻りにくくなります。

そうなると、逆流した血液で、静脈の圧力が強くなります。

その結果、炎症が起こり、静脈の一部が膨らみ、それで瘤ができてしまうわけです。

下肢静脈瘤の原因

気になるのが、静脈弁を壊したり、膨らませたりする「なんらかの原因」です。

原因は多岐にわたり、女性の妊娠や出産、加齢、長時間の立ち仕事や座りっぱなしの仕事、運動不足、肥満、遺伝的要素があります。

近年の研究では、口の中の歯周病菌が血中に入り、全身を回るときに足の静脈の弾性線維を壊して、下肢静脈瘤の引き金になることもわかってきました。

重症になると手術が必要

病院では、症状が強い人の治療法として、レーザーや高周波療法、硬化療法が行われます。
色素沈着がひどく、瘍潰ができるなどの重症になると、手術が絶対に必要になります。

軽度から中等度の下肢静脈瘤は、セルフケアが大切です。
セルフケアが進行を防止し、症状の緩和にもつながるでしょう。

進行防止にセルフケアが大切

下肢静脈瘤のセルフケアの基本は、足を動かすことです。
下肢静脈瘤の人は、長時間じっとしている動作を避け、ウオーキングや散歩をするなどして、積極的に足の筋肉を動かすべきです。

歩けば歩くほど、ふくらはぎの筋肉が発達して、下肢の静脈の流れがスムーズになるのです。
足元に10~20cm程度の高さの座布団などを置き、足を高くして、一定時間あおむけの姿勢を取る「ゴロ寝足上げ」もお勧めです。

運動療法として、寝た状態で足を動かす、「自転車こぎ」や「ゴキブリ体操」も効果的です。

特に、ゴキブリ体操は続けやすい体操で、外来で下肢動脈瘤の患者さんを診察するさいには、できるだけ勧めるようにしています。

ゴキブリ体操をすることで、手足に振動が加わると、静脈にかかる圧が分散されます。
むくみ、だるさ、疲れといった、下肢静脈瘤のつらい症状も軽減することが期待できます。

ゴキブリ体操のやり方

歯周病菌が関わる足の血管の病気「バージャー病」とは

歯周病菌が深く関わっている足の血管の病気として、下肢静脈瘤とは別に、「バージャー病」があります。
別名を「閉塞性血管血栓炎」といい、若い人の手や足の先端の細い動脈が詰まり、炎症が起こる病気です。

手や足のバージャー病になると、指先が黒くなって痛みが走ります。
そして、病気が進行し、難治性の潰瘍ができると、足の切断が必要になる場合もあるのです。

歯周病菌のほかにも、歯を悪くする喫煙習慣、不清潔な口腔内ケアがこの病気の引き金になり、50歳以上の人の動脈閉塞の発症には、動脈硬化プラス歯周病感染が深く関与していることがわかっています。

バージャー病の進行防止にも足の運動が必要不可欠

バージャー病の予防や進行防止にも、やはり足の運動が必要不可欠です。

ただし、動脈の病気であるバージャー病には、静脈の病気である下肢静脈瘤の「ゴロ寝足上げ」は逆効果です。
足首を動かしたり、姿勢を替えたりするなどの動きが必要です。

そのために行う、「バージャー体操」があります。
バージャー体操は、寝た状態で足を上げ、足首を動かして足を虚血状態(動脈血が減る状態)にし、足が白くなったら体を起こし足を下げる(足の色が赤くなる)、という動作をくり返す運動です。

反応性充血という動脈の特徴を利用した方法です。
こうすることで、足に新たなバイパス(血液の通り道)が作られるのです。

この体操は、動脈硬化の予防にも役立つでしょう。

バージャー体操のやり方

自分の力で改善できる!

重症化する前なら、下肢静脈瘤もバージャー病も自分の力で改善することが可能です。

病気の正しい知識を身に付けて、適切な足のセルフケアを始めてください。
また、手遅れにならないためにも、正しい知識を身に付けるためにも、専門の血管外科がある病院で検査、診断を受けることをお勧めします。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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