解説者のプロフィール

坂田英明(さかた・ひであき)
●川越耳科学研究所クリニック
埼玉県川越市脇田町103
川越マイン・メディカルセンター川越2階
TEL 049-226-3387
http://www.jikagaku.jp/
川越耳科学研究所クリニック院長。
1988年、埼玉医科大学卒業。
ドイツ・マグデブルグ大学耳鼻咽喉科研究員、埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科副部長、目白大学教授等を経て2015年より現職。
専門はめまい、耳鳴り、難聴、イビキ、睡眠時無呼吸。
薬だけでめまいは治せない
めまいを改善、予防する上で、もっとも重要なのは、食生活や運動といった生活習慣の改善です。
2番目が自己節制、3、4がなくて5が薬です。
どんなによい薬を飲んでいても、生活が乱れ自己節制ができていないと、めまいを治すことはできません。
ライフスタイルを見直し、ふだんの過ごし方を少し工夫するだけで、めまいは起こりにくくなります。
そこで、今日から実践できるめまいの予防対策をご紹介します。
①ラジオ体操や散歩
適度な運動は全身の血流を促し、めまいの改善、予防に有効です。
お勧めはラジオ体操と1日20~30分程度の散歩です。
ラジオ体操は全身の筋肉をまんべんなく使うので、習慣にすると足腰が強くなり、よく動ける体になります。
午前中に運動を取り入れると、体調の改善に効果的です。
散歩は速歩きを意識して行います。
心肺機能が高まり、全身の血流がよくなります。
②水分を十分に取る
頭部の血流が悪くなると、めまいが起こりやすくなります。
水分をしっかり取り、血液の滞りを防ぎます。
コップ1杯の水を起床時、入浴前、就寝前に飲みましょう。
起き抜けに水を飲むと便秘予防になります。
③ふくらはぎマッサージ
ふくらはぎをもむと、全身の血液循環がよくなり、脳の血流もスムーズになって、脳出血を予防する効果があります。
寝る1時間前、5~10分程度、左右のふくらはぎを、足首から心臓に向かってもみましょう。
④便通を整える
便秘はめまいの大敵です。
便秘薬に頼らず、運動や食事(詳しくは「めまいを防ぐ食事」参照)で快便を心がけてください。
⑤カフェイン飲料、酒、タバコを控える
コーヒーや緑茶、紅茶など、カフェインを多く含む飲み物を取り過ぎると、内耳が興奮しやすくなります。
1日に1~2杯にとどめましょう。
過度の飲酒は、脳幹や小脳の働きを低下させます。
めまいが治るまでは適量が原則です。
喫煙は脳や内耳への酸素の供給量を減らし、めまいを確実に悪化させます。
禁煙は不可欠です。
⑥テレビの姿勢に注意
ひじ枕でのうたた寝や、その姿勢でのテレビ観賞は、頸椎に障害を与え、めまいを誘発する恐れがあるのでやめましょう。
⑦ぬるめの湯で半身浴
熱い風呂や長風呂は心臓に負担となります。
ぬるめのお湯での半身浴は、血流を促しリラックス効果があります。
⑧ストレスを避ける
めまいがある人は、ほぼ例外なく、なんらかのストレスを抱えています。
心と体にストレスがたまらないよう、睡眠をしっかり取り、休日はリラックスして過ごしガス抜きしましょう。
⑨移動中は座らない
電車やバスでは、座らないでなるべく立ちましょう。
手軽にできる平衡訓練になります。
⑩治療薬は用法を守って服用
降圧剤を服用している人は朝、血液抗凝固剤を服用している人は就寝前に忘れず服用しましょう。
⑪耳に負担をかけない
イヤホンやヘッドホンを長時間使う、携帯電話での長電話をすると内耳に負担がかかり、めまいや耳鳴り、難聴の原因になります。
音楽やゲームを楽しむさいは、耳に負担をかけないよう気をつけましょう。
⑫毛染めに注意
意外かもしれませんが、有機溶剤入りの毛染め液もめまいの原因になります。
使用時は、慎重になるべきです。
毛染め液に使われているアリニン色素の誘導体という物質は、皮膚からの吸収が高く、一度体内に吸収されると排泄されにくい性質があります。
体内にとどまったアリニン色素の誘導体は、平衡機能をつかさどる小脳に蓄積し、めまいや耳鳴り、難聴を引き起こす恐れがあります。
白髪が気になる人は、ヘナや海藻で作られた染毛剤を試してみるといいでしょう。
自然派の染毛剤でも、アレルギーを起こすことがあるので、必ずパッチテストを行います。
気になる項目から、ぜひ実践してください。
今日からできる!めまいを予防・改善する生活習慣
