
私の激しいめまいが30分でピタリと治まった
クチナシの実は、キントンや炊き込みごはんなどに色を着ける
天然の着色料として利用されるほか、生薬(漢方薬の原材料)としても昔から使われており、髙血圧や肝機能の改善、鎮痛・鎮静作用などの働きがあることが確認されています。
また黒焼きにするといっそう効果が高まり、めまいや耳鳴り、吐き気といった症状に、驚くほどよく効きます。
この、黒焼きにすることによって得られる特効を教えてくださったのは、私の師である植物学者の故・高橋貞夫先生です。
30年ほど前、高橋先生の門下生となり、薬草の勉強をしているころでした。
朝、布団の中で目を開けた途端、天井がぐるんぐるんと回ったのです。
頭がグラグラして、吐き気もしました。
どうやら、起き上がったほうがまだましだったので、座ったまましばらく安静にしていると、なんとか動けるようになりました。
それで、高橋先生に「目が回るんです」とお話ししたところ、「それは、クチナシの実の黒焼きがいいよ。粉にして飲みなさい」
とおっしゃられたのです。
まためまいが起こりそうな気がしたので、クチナシの実の黒焼きを早速作っておきました。
そして案の定、また激しいめまいが起こりました。
すぐに作ったクチナシの黒焼きをティースプーン半分くらい口に入れて、水と一緒に飲み込むと、30分後にはめまいがスーッと治まったのです。
それ以来、私の手元にはいつも
クチナシの実の黒焼きの粉を入れたびんがあります。
特に、ハードスケジュールで疲れてくると、必ずといっていいほど、めまいが起こります。
ですから、外出時に持ち歩くのはもちろんのこと、寝るときも、手を伸ばせばすぐに手に取ることができるように、ベッドサイドのナイトテーブルの上に置いています。
クチナシの実の黒焼きの作り方

めまいを防ぐ効果もあった
とにかく、どんなにひどいめまいでも、クチナシの実の黒焼きを飲めばスーッと治まるのです。
これはもう神のごとき効力なので、私は「神効」と評しています。
私の経験では、クチナシの実の黒焼きには、めまいを治すだけでなく、予防する効果もあります。
私のようにめまいが頻繁に起こる人は、めまいが起こる前兆を何かしら感じると思うので、前兆が現れたときにクチナシの実の黒焼きを飲んでおけば、本格的なめまいを未然に防ぐことができます。
高齢になるとめまいを経験する人が増えますが、私の知人は皆このクチナシの黒焼きで治っています。
子どものころからめまいが持病だった人は、毎日飲んでいたらめまいが出なくなりました。
クチナシの実の黒焼きは、めまいが起きたときやめまいが起きそうなときにティースプーン半分程度飲みます。
一度で治らないときには、30分くらいしてまた飲むと、たいがいは不快なめまいがいつの間にか治まっています。
クチナシの実の黒焼きは食品なので、何度飲んでも大丈夫です。
また、めまいだけでなく、不眠症の人は、寝る前に飲むと、短時間のうちに眠りに就くことができます。
更年期障害の不快な症状にもよく効きます。
黒焦げや生焼けでは効果が得られない
クチナシの実は、スーパーなどの食料品売り場や香辛料売り場に並んでいます。
また、最近では、インターネットによる通信販売などでも手に入ります。
お近くに漢方薬局があれば
「山梔子」の名で生薬として売られているものを使っても構いません。
また、クチナシの木が庭にある人もいるかもしれません。
その場合はぜひ、自前のクチナシの実で黒焼きを作りましょう。
クチナシは、6月ごろに白い花を咲かせ、秋には茶色の実を結びます。
黒焼きに使う場合は、冬の寒さを過ごした実を摘んでください。
クチナシの実は、霜に当てると薬効が出るという説があるからです。
なお、黒焼きといっても、どのようなものが黒焼きかよくわからない人もいると思います。
単にそのまま火にあてて
焼いて黒くなったものは「黒焦げ」です。
黒焼きは、アルミホイルなどで包んで空気を遮断してじっくり焼き、炭化して中まで黒くなったものです。
ただし、手で触ってぽろぽろとくずれてしまうのは焼き過ぎです。
また、表面が黒くなっていても、中がまだ茶色いものは「生焼け」ですので、包み直してさらに焼いてください。
黒焦げや生焼けでは効果は得られません。
解説者のプロフィール
薬草コンサルタント
平田眞知子(ひらた・まちこ)