病弱だった私が梅仙人と呼ばれるほど元気に!
私は和歌山県みなべ町で、梅農家を営んでいます。
先日、地域の草刈りがあったので、朝8時半からお昼頃まで、誰よりも大きい草刈り機を担いでバリバリ働いてきました。
よそのお宅からは年寄りは出ておらず、息子や娘の世代が参加していましたが、休憩もせずに作業をしていた77歳の私が、いちばん元気だったと思います。
その秘密は、「梅仙人」と名乗る私が、常に持ち歩いている「魔法の黒い粉」にあります。
私は、今でこそ「医者いらず・薬いらずの梅仙人」と豪語していますが、子どもの頃から60代までは、ずっと病弱でした。幼少期には、赤痢にかかって死にかけたこともあります。
親からは、胃腸の弱さや気管支ぜんそくを譲り受け、さらにアトピー性皮膚炎にも悩まされていました。
15年ほど前のことです。車の運転中にぜんそくの発作が起こり、セキが止まらなくなったことがありました。
一瞬、意識がもうろうとし、行き交う大型トラックに「あっ! 激突する!」という間一髪のところでお互いが急ブレーキを踏んで、回避できました。
相手のドライバーさんに、体調不良を言いわけにお詫びをすると、「そんな持病があるなら、運転免許を返納しろ!」とお叱りを受けてしまいました。ごもっともです。
ひどくショックを受けた私は、「このままではいけない。薬に頼らないように、自分の体質を変えなくては」と強く思うようになりました。

どうすればいいのか考えていると、103歳で亡くなった祖母のことを思い出しました。
明治生まれの祖母は、何かあるたびに、梅干しを真っ黒に焼いて、薬代わりに活用していました。
冒頭に申し上げた「魔法の黒い粉」とは、梅干しが炭化するまで焼いたものを、細かくした粉のことです。
医者がおらず、薬も手に入らなかった農村では、知恵と工夫と身近にあるものでなんとかしなければなりません。
病気やケガの応急手当はどうすればよいのか、どの植物がどんな症状に効くかなど、その土地に暮らす誰もが、経験的に知っていたのでしょう。私も祖母からいろんな話を聞きました。
昔は、山で大ケガをした人がいても、遠くの病院まで簡単には運べません。急いで止血をし、化膿止めとして傷口に梅干しの黒焼きをふりかけて治したそうです。
また、のどが痛いときやカゼのひき始めには、梅干しを焼き網で焼いて、熱いお茶を注いで飲むと治ると話していたことも思い出しました。
そこで私は、かつて祖母から伝え聞いた記憶を頼りに、梅干しの黒焼きを自分で作ってみようと考えたのです。
自分の体を実験台に毎日食べ続けている

梅干しの黒焼きを食べて77歳の今がいちばん元気!
まずは試しに、白干しの梅(塩漬けにして天日干しした梅)をアルミホイルに包んで焼いたり、フライパンにふたをして焼いたりしながら、できた黒い粉を食べ比べて改良を続けました。
粉が粗いと食べたり飲んだりしにくいため、細かさにも気を配りました。
塩分を心配して、青梅でも作ってみましたが、塩気がないと、かえって食べにくいことがわかりました。
その後、青梅と白干し梅を半々にして作るなど試行錯誤をくり返し、梅干しに使う塩もあれこれ試しました。
そしてついに、十数年かけて梅干しの黒焼きの製法を完成させました。白干し梅を適度に塩抜きして天日干しし、セラミック鍋に入れて、まきで2~3時間蒸し焼きにする方法にたどり着いたのです。
これなら、梅干しの種まで真っ黒に焼くことができ、種も一緒に粉にすることで、種の中の仁(天神様)の栄養も、余すことなくいただくことができます。
梅干しの黒焼きを作り始めた当初から今もずっと、私は自分の体を実験台にして変化を調べようと、梅干しの黒焼きを毎日食べ続けています。
朝・昼・晩と、食事のときは必ずご飯にふりかけて食べ、農作業の合間の休憩では、お茶に梅干しの黒焼きの粉と、炒った黒ゴマを入れて飲みます。
梅干しの黒焼きの粉だけでも、ほんのり酸っぱくておいしいのですが、黒ゴマをすって加えると、香ばしくて食べやすくなります。ヨーグルトや料理に粉をふりかけて食べてもいいでしょう。

永井さんの作る梅干しの黒焼き
こうして毎日梅干しの黒焼きをとり続けているうちに、どんどん元気になり、若い頃よりも70代になった今のほうが、体がよく動くと感じています。
以前は腰痛があり、痛い腰をかばって姿勢がゆがみ、歩き方が少しおかしくなっていたのですが、この頃はまっすぐスタスタ歩けるようになりました。斜面での農作業や梅の木の剪定も、らくらくこなせます。
また、頻繁に起こっていた胃けいれんがなくなり、お守りのように携行していた抗けいれん薬も不要になりました。
代わりに今は、梅干しの黒焼きの粉をひょうたんや印籠、仁丹のケースなどに入れて、いつでもどこでも持ち歩き、セキが出たらすぐに取り出して口に入れ、ケガをすれば傷口にぬっています。
畑で、サッと手のひらに取り出してなめれば、疲労回復。唾液の分泌も促され、のどの渇きや熱中症を防いでくれます。
また、これは決してお勧めできませんが、黒焼きにした梅干しの種を、就寝中も口に入れたままで朝まで過ごしています。 気管支の炎症を防ぐには、口の中の雑菌を減らす必要があると考えたのです。
寝ている間に種が気管に詰まれば、窒息死する危険があるのは承知の上での実験です。
そのかいあって、口の中に雑菌が繁殖しなくなったのか、ときどきセキが出るものの、タンはまったく出なくなりました。もう長い間、病院に行ったこともありません。
最近は種ではなく、マドロスパイプに梅干しの黒焼きの粉を詰めて、四六時中くわえています。

マドロスパイプに黒焼きを入れていつも口にくわえている
胃腸の調子がよくなりカゼもひかない
私は大の甘党で、好物のどら焼きを食べすぎて胸焼けを起こしたときにも、梅干しの黒焼きが役に立っています。
ひとつまみ食べれば、胃酸が中和され、胸がスーッとします。逆流性食道炎にもいいのではないかと思います。
家内は以前、胃の調子が悪く、ときどき口臭がすることがありました。自分では気づいていなかったようですが、私と一緒に梅干しの黒焼きをとるようになってからは、まったく問題ありません。
歯みがき粉の代わりに、この粉を使うのもお勧めです。炭の脱臭効果と梅の抗菌効果で口臭予防が期待できます。
また、私は梅干しの黒焼きを食べ始める前は、すぐにのどをやられてカゼをひいていました。
今は、のどが痛いと感じたら、はしの先に梅干しの黒焼きの粉をつけて、のどの奥にチョンとすれば、ものの10分ほどで治ります。
「はしをのどの奥に入れるのが怖い」という家内は、水を飲んで、口の中を湿らせてから粉をひとつまみ食べていますが、やはり即効性があると言います。おかげで二人とも、ほとんどカゼをひかなくなりました。
梅干しの黒焼きの粉を差し上げたかたからも、「疲れが取れた」「カゼをひいてもすぐ治る」「胃腸の働きがよくなり、肌ツヤもよくなった」といった感想が寄せられています。
びっくりしたのは、梅干しの黒焼きをとるようになってから、真っ黒な便が出るようになったことです。これは活性炭と同じ働きで、腸内の悪いものを吸着して排泄しているのだと思います。
腸の中から毒素を取り除けば、ギネスブックの記録を更新するほど長生きできるかもしれません。
私の夢は、150歳になっても元気に梅づくりや草刈りができる健康長寿です。実現すれば、かっこいいと思いませんか。本物の仙人に近づけそうです。

永井さんと奥さま。奥さまは梅干しの黒焼きでお肌の調子もよくなった!
ちなみに、梅仙人という名前は、一般家庭にインターネットが普及し始めた頃、ハンドルネーム(インターネット上のニックネーム)を「UMESENNIN(夢仙人)」としていたことに由来します。
これをローマ字読みにすると「梅仙人」となり、梅農家としても通じることから名付けたのですが、今ではすっかり定着し、周りの人からも「梅仙人」と呼ばれるようになりました。
今後も梅干しの黒焼きをとり続けながら、梅仙人として、梅の産地・紀州から、全国に梅の素晴らしさを伝えていきたいと思います。
なお、梅干しの黒焼きは、ご家庭で作るのは難しいので、梅干しをアルミホイルなどに包んでオーブントースターで焼いたり、フライパンで焼いたりしてから食べるといいかもしれません。梅干しを加熱すると、体にいい成分が増えるという研究もあるそうです。
和歌山県みなべ町で梅農家を営む永井恒雄さん