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定期的な講習と運転支援装置で高齢ドライバーの事故を防げ!

定期的な講習と運転支援装置で高齢ドライバーの事故を防げ!

私は長年、全国各地で高齢ドライバーの実態や事故についてのさまざまな調査・研究を行ってきました。その結果、高齢ドライバーの運転行動の劣化には「認知能力の低下」がかかわっているとわかってきました。【解説】蓮花一己(帝塚山大学学長・心理学部教授)

免許証更新時の認知症対策が強化された

私は長年、全国各地で高齢ドライバーの実態や事故についてのさまざまな調査・研究を行ってきました。
その結果、高齢ドライバーの運転行動の劣化には「認知能力の低下」がかかわっているとわかってきました。

この場合、認知症という段階ではなく、運転が可能な「軽度認知障害」の水準であっても、運転には影響が出てきました。

私たちはMMSE(ミニメンタルステート検査。認知症のスクリーニングテストの一つ)などで認知症のスクリーニングを行うこともありますが、その得点が低い人は危険を予測する能力が落ちており、実際の運転でも、能力の低下が見られます。

特に、時刻や年月日、今自分がいる場所、一緒に話をしたり、食事をしている相手など、今現在の状況がわからなくなることを「見当識の低下」といいますが、この見当識の低下と運転行動には関連があり、免許証更新時の高齢者講習には、見当識の検査も行われています。

免許証の更新といえば、今年の3月に道路交通法が改正され、免許証の更新時における認知症対策が強化されました。
今まで、75歳以上になると、運転免許証の更新時に認知機能検査が行われていました。

この検査の結果が「認知症のおそれあり」でも、交通違反をしていなければ、医師の診断を受ける必要はありませんでした。

しかし、この3月からは、違反の有無にかかわらず、検査で「認知症のおそれあり」と判定されたら、運転を続行するためには「認知症ではない」という医師の診断が必要になります。

もし、認知症と診断されたら、そこはやはり運転は諦めて免許証を返納すべきです。
しかし、そうでなければ、高齢者が安全に運転しやすい環境を作り、事故を起こさないような支援をすることが大事です。

高齢ドライバーの事故の特徴」の記事で触れましたが、一定の年齢になったら免許証を返納するようなことは、私は反対ですし、現実的ではありません。
特に地方では、自動車は移動手段として必須です。

免許証を一律に返納したら、お年寄りは病院や買い物にも行けなくなってしまいます。
それは、高齢者の生活の質の低下や寝たきりのお年寄りの増加に直結します。

さらに、それで交通事故が減るかといえば、そうともいえません。
今度は、高齢者が歩行者として交通事故に巻き込まれるケースが増えるからです。

更新時の認知症対策が強化される!

なるべく長く運転するためにはどうしたらいいか、いくつか対策を紹介したいと思います。

人と車の両面から運転を支援する

●検査や講習を定期的に受ける
運転歴が長い高齢者は、自分の運転に自信を持っています。
しかし、その自信は多くの場合、過信です。

自分の運転を過信している人は、むしろ交通事故を起こしやすいと言えます。
運転能力は、一度免許を取ってしまうと、運転の能力や技術について、再教育、再訓練する機会がほとんどありません。

たとえ、長年無事故、無違反で来ていても、その運転が本当に安全かどうかは、調べてみないとわからないのです。

私たちはそれを、機械やビデオなどを使って測定しています。
その結果を提示されて初めて、自分の運転の問題点や欠点に気付く人が多いのです。

このように、運転技術や運転の傾向を評価し、自分の問題点を理解してもらうといったことが、一部の教習所や医療機関で行われ始めています。
客観的な評価を受けると、自分の運転に対する自己評価はぐんと下がり、自らの運転中も気を付けるようになります。

現時点では難しいのですが、こうした評価を60代のうちから定期的に行うことができれば、高齢になってからの運転もだいぶ違ってくるはずです。

現在、70歳以上は、3年に一度、高齢者講習が義務づけられています。
このような教習所での講習を活用することも、運転技能の維持につながります。

●運転支援装置を活用する
今は、衝突被害軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)や、車線逸脱警報装置(自動車が車線から外れたりしたときに、音や警告灯で知らせる装置)など、「運転支援装置」の開発、普及が進んでいます。

今ある車に後付けできるものもあるので、こうした装置を積極的に活用しましょう。
運転をする人と、車の両面から支援すれば、高齢でも安全に運転を続けられますし、事故の減少にもつながるでしょう。

●自分の状態を把握し家族と先のことを話し合う
例えば、目が悪い、見えにくくなったと自覚があるような人は、夜の運転を避けるようにすれば、事故の確率は減ります。

そして、元気なうちから、老後の運転について家族で話し合っておくことが大事です。
定期的にかかりつけ医の診察を受け「こういう症状が出るようになったら運転はやめましょう」と、あらかじめ話をしておくと、いざというときに本人も納得しやすいでしょう。

高齢者講習や任意の講習を受ける教習所を決めておいて、継続的なサポートをしてもらうことも重要です。
老後の生活設計の一環として、車の運転のことも考えておくといいと思います。

解説者のプロフィール

蓮花一己
1954年生まれ。大阪大学人間科学研究科・博士(人間科学)学位取得。交通心理学・産業心理学が専門で、運転者行動、事故分析、交通教育を研究している。現代社会に生きる人間が何を考え、いかに行動するのかに関心がある。ドライバーがなぜ事故を起こすのか、どうしたら防ぐことが可能かなど、フィールド研究を中心に明らかにしている。一般社団法人交通科学研究会副会長。

●一般社団法人交通科学研究会
http://www.kokaken.or.jp/

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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