解説者のプロフィール

おぐり眼科名古屋院・長浜院理事長
小栗章弘(おぐり・あきひろ)
●おぐり眼科名古屋院
愛知県名古屋市中区錦3-16-27栄パークサイドプレイス4F
TEL 052-265-7710
https://ogurikinshi.com/nagoya/
●おぐり眼科長浜院
滋賀県長浜市山階町451
TEL 0749-65-2377
https://ogurikinshi.com/nagahama/

キャベツを食べれば血液サラサラ!視界スッキリ!
「緑内障は防ぐことができない病気」は誤解である
私は「緑内障専門医」として、
多くの緑内障の患者さんを診てきました。
私がクリニックを開いた滋賀県長浜市は、
日本の中でも特に高齢化が進んだ地域といわれています。
ある日、外来で統計を取ったところ、
午前中の外来患者さん60人のうち、20人が緑内障の患者さんだったことがあります。
これは、いってみれば、近い将来の日本の縮図だといえるでしょう。
高齢化が進むことが避けられない以上、
緑内障の患者さんの数は、さらに増えていくのです。
緑内障という病気について、
「何をどうしようが防ぐことはできない病気」と考えているなら、
それは完全な誤解です。
緑内障は、日ごろの工夫によって、十分に予防できる病気といえます。
血液をサラサラにすれば緑内障は十分に予防可能
目という臓器は、全身の健康状態を忠実に映し出す鏡です。
眠っているとき以外、目は常に働いています。
そのため、血流が集中しやすいので、
全身を巡っている血液の状態を真っ先に反映するのです。
血液が、病気や老化の原因物質である活性酸素によってサビつく(酸化する)と、
細胞の新陳代謝に大きく影響します。
そして、全身で血液の酸化が進行すると、
血管は加齢とともに弾力を失い、どんどんかたくなります。
いわゆる、動脈硬化が進行するのです。
当然、眼球の血管もかたくなって、眼球の老化が早まります。
動脈硬化が進んだことに加え、
欧米風の食生活の影響などで血液がドロドロになります。
その結果、目の健康が阻害され、
緑内障、糖尿病網膜症、黄斑変性など、重大な目の疾患を引き起こすのです。
このため、目の病気を予防・改善するためには、
血液をサラサラにして、しなやかな血管を保つ食生活が重要です。
いくら目薬をさしたところで、
ドロドロの血液を放置したままでは、
緑内障をはじめとする目の病気を治せるはずがありません。
緑内障にお勧め食材は「キャベツ」などの葉物野菜

ここでは、特に緑内障にお悩みのかたにお勧めの食材を挙げましょう。
皆さんは、
「1日2回キャベツなどの葉物野菜を摂取すると、
緑内障の危険性が減少する」ことをご存じでしょうか。
これは、アメリカのハーバード大学の研究結果です。
近年、緑内障には、目の血流低下が関係しているというデータが
多く報告されています。
その点から、血管拡張作用を持つNO(一酸化窒素)が、
緑内障治療に役立つ可能性があると注目されているのです。
キャベツなどの葉物野菜に多く含まれる硝酸塩は、
体内でNOに変化します。
そこで、ハーバード大学の研究者が、
緑内障ではない人々の硝酸塩摂取量と、
その後の緑内障発症の関係を調べたのです。
対象となったのは
「40歳以上で、当初緑内障でなく、それ以降に眼科健診を受けていた人々」です。
該当したのが、女性6万3893人と、男性4万1094人。
大学では、
これらの人々の硝酸塩の摂取量と、緑内障の発症の関係を、
25年にわたって追跡調査したのです。
そもそも、緑内障には、いろいろな種類があります。
その一つが、原発開放隅角緑内障です。
これは、
眼球の中に含まれる水分の流れが悪くなる
→眼圧が上昇して視神経を圧迫する
→視野が狭くなったり、失明したりするという疾患です。
ハーバード大学の研究によると、
「1日に食事で葉物野菜を1.45食分以上とっている人は、
1日に0.31食分とっている人よりも、原発開放隅角緑内障になりにくい」
という結論が出ました。
この結果は、ほかの種類の緑内障にも当てはまると考えられています。
キャベツなどの葉物野菜を毎日多めにとることが、
血流をよくするNOを増やすことにつながります。
その結果、緑内障を予防する効果が大いに発揮されるのです。
ゆでることで有害な物質を除去できる
ただし、私としては、ここで一点注意しておきたいことがあります。
野菜を摂取する際、ぜひ留意したいのが、農薬と化学肥料の問題です。
日本の野菜の多くは、
残念ながら、大量の農薬と化学肥料が使われています。
せっかく目にいい影響を与える野菜を食べても、
農薬や化学肥料に含まれる有害物質まで摂取してはよくありません。
できれば、無農薬で栽培されたキャベツを食べるのが最適です。
とはいえ、なかなかそうもいかないでしょう。
そこで、できるだけ農薬や化学肥料の影響を減らす工夫が必要になります。
一つは、いうまでもなく野菜をよく洗うことです。
そして、もう一つは、生でとることは避け、
キャベツを湯がいたり、煮たりして食べることです。
これによって、葉の中に残留している有害物質の影響を少なくすることができます。
ちなみに、有効な硝酸塩は、
キャベツを加熱してもその機能を失うことはありません。
日ごろから、ゆでたキャベツを積極的に食べる。
ちょっとした習慣ですが、
緑内障を予防・改善するためには、大いに役立つでしょう。