漢方医お勧めは「昆布酵母」 風邪の引き初めに発酵パワーを実感!

漢方医お勧めは「昆布酵母」 風邪の引き初めに発酵パワーを実感!

私が酵母に興味を持ったのは、米を発酵させた健康食品を、食料品店で見つけたのがきっかけです。米と麹を低温で自然発酵させ、もともと米に付着していた乳酸菌と酵母を培養し、パウダー状にしたという物です。【解説】石井恵美(やくも診療所院長)


解説者のプロフィール

石井恵美(いしい・えみ)

やくも診療所院長。
内科・漢方医。
北里大学医学部卒業後、北里研究所病院で内科研修を経て、北里大学東洋医学総合研究所漢方診療部で漢方を学ぶ。
2011年に、やくも診療所を開院。
ゲートシティ大崎メディカルクリニック、伊東病院でも漢方診療を行う。
日本東洋医学会認定漢方専門医、日本内科学会認定医、日本医師会認定産業医。

低温のゆっくり発酵でエネルギーが高くなる!

私が酵母に興味を持ったのは、
米を発酵させた健康食品を、食料品店で見つけたのがきっかけです。

米と麹を低温で自然発酵させ、
もともと米に付着していた乳酸菌と酵母を培養し、パウダー状にしたという物です。

私はまず、自家製のぬか床に入れてみました。
すると翌日、ぬか床がふっくら膨らんで盛り上がっていたのです。

「これはなんだ!」と思い、医学生時代の微生物学や生化学などの教科書を広げて調べました。
酵母や乳酸菌による発酵では、
炭酸ガスが発生したり、最終的にアルコールになったりします。

種類は違いますが、酵母はパンやビール、お酒の製造に使われますね。
たった一晩で、ぬか床を持ち上げるほどのパワーに、私は魅了されました。

酵母と乳酸菌は生育環境が似ているため、
共生していることが多いといわれます。

コンブや果物などを自然発酵させると、最初に乳酸菌が増えて雑菌の繁殖を抑えます。

続いて酵母が増え、乳酸菌と助け合って熟成を深めたり、
独特の味や香りを生み出したりします。

ぬか床を持ち上げるほどのエネルギーは、
乳酸菌と酵母の共同事業の結果なのでしょう。

ただ便宜上、コンブや果物を自然発酵させた物のことを、
ここでは「酵母」と呼ぶことにします。

講習会に参加し、自宅でさまざまな酵母を作っています。
コンブをはじめ、ブドウ、洋ナシ、プルーン、ミカン、ドングリなどなどに挑戦しています。

「コンブ酵母」の場合、室温に置くと3日ほどで泡が出てきますが、
冷蔵庫の低温で穏やかに発酵させるほうが、エネルギーが高くなるように思います。

ブクブクしているほうが一見、力強く見えますが、
低温でゆっくり発酵させたほうが、素材の消化吸収をよくしたり、
旨みを深めたりする力が強くなるように感じるのです。

石井先生の冷蔵庫は酵母でいっぱい!

漢方薬の前に飲んだら明らかに回復が早かった

コンブ酵母は、和食のだしとして使っています。
旨みが濃厚なので、調味料を控えめにしても十分おいしく仕上がります。

果物の酵母はそのまま飲んでいます。
ドングリの酵母は、糖分を足して発酵させ、パンを作るときに利用しています。

酵母のパワーを実感したのは、ある冬の日のことでした。

ものすごく忙しく、頭がモヤモヤしてカゼっぽかったので、
漢方薬の葛根湯を飲もうとしました。
その前に、ふと思い立ち、米の酵母を飲んだのです。

すると明らかに、葛根湯だけを飲むときより早く、頭のモヤモヤが回復しました。
おそらく先に飲んだ米の酵母が、
薬の力を発揮しやすい体に整える一助になったのだと思います。

漢方では、肺は気(生命エネルギー)を束ねる臓器とされます。
大腸は肺と表裏の関係なので、
酵母が大腸を整えることで、
結果的に、肺のもたらすカゼの症状や気の変化を軽快させたのではないかと考えられます。

 コンブや果物に付着する酵母や乳酸菌が自然発酵することで、おいしさが増し、消化吸収もよくなるように感じます。そして、それらを体内に入れることで、体の土台が底上げされるかのようです。自然の力に感激しています。

ただし、体の状態がよくないと、
酵母のよさを感じにくいこともあるようです。

例えば、食事の量や間食、添加物の摂取が多い、
食事時間や睡眠時間が不規則、運動不足、
薬剤の過剰服用といった生活習慣は、体に負担をかけます。

体の土台に、こうしたものが積み重なっていると、
酵母をとり入れても、その威力は発揮されにくく、効果も自覚しにくいようです。

一般的に、酵母や乳酸菌の働きは、
腸内環境を改善して便秘を解消したり、免疫力を高めたり、
それに伴って生活習慣病を予防したりすることにつながるといわれます。

一方、漢方では、口から入って胃へ運ばれた食品の気が、
肺や心臓、消化器の働きを活性化し、
最終的に尿や便などの老廃物をスムーズに排出するといった、
一連のよどみない流れを重視します。

部分ではなく、全身の流れや、その土台が大切なのです。

いろいろな年代の患者さんを診ていると、
若い人より高齢者のほうが、酵母の効果を実感しやすいようです。

この年代は、体調が悪くなっても、
少し調整するだけで回復するかたが多いという印象です。

その理由は、体の土台でしょうか。
現在70歳以上の人たちは、成長期のころ、必要以上に食べることがなく、
体をよく動かして、よく働いていました。

そして、過酷な環境に負けない
「気丈さ」を持ち合わせているように思います。

ぜひ食生活に酵母をとり入れ、体の土台作りに役立てていただけたらと思います。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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