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【ほくろの毛】なぜ長くて太いのか?抜いたり、剃ったり処理していいの?

【ほくろの毛】なぜ長くて太いのか?抜いたり、剃ったり処理していいの?

ホクロへの刺激が慢性的に続くと、ホクロが皮膚がんの一種であるメラノーマに変化することが知られています。とはいえ、悪性黒色腫は、日本人には非常に少ないがんで、神経質になる必要はありませんが、毛を抜くなどの刺激は避けておくのが無難でしょう。【解説】野田弘二郎(肌と爪のクリニック院長)

【お悩み】ホクロから生える毛の処理


ホクロから太くて長い毛が生えてくるのが悩みです。

以前は、気づいたら引っこ抜いていたのですが、知人から、ホクロから生えている毛は抜かないほうがよいと言われました。
抜かないほうがいいのでしょうか?
抜かないほうがいい場合は、抜いてはいけない理由も教えてください。
(60代・女性)


回答者のプロフィール

野田弘二郎(のだ・こうじろう)
●肌と爪のクリニック
東京都新宿区神楽坂2-12-15さわやビル2F
TEL 03-3513-8212
https://www.hadatotsume.com/

肌と爪のクリニック院長。
1967年、熊本県天草市生まれ。
91年、久留米大学医学部卒業後、昭和大学形成外科へ入局。
全国の中核病院での勤務の傍ら、国際医療NGOとして活動。
パリ第7大学サンルイ病院で微量血管外科研究。
2009年より現職。

「ホクロから毛が生える」のではなく「毛穴のある場所にホクロができる」

「ホクロから毛が生える」とありますが、正しくは「もともと毛穴のあった場所にホクロができて、そこから毛が生えている」という状態です。

ホクロは母斑細胞という、メラニン細胞が変化した細胞が増殖してできるもので、医学的には、「色素性母斑(しきそせいぼはん)」とか「母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)」と呼ばれています。

皮膚の表皮の最下層には、基底層があります。この周辺に母斑細胞が増えたものが、いわゆるホクロです。

特に、真皮の深いところでホクロの細胞が増えると、年齢とともにじわじわ盛り上がって表面に飛び出し、「男はつらいよ」の寅さんのようなホクロになります。

どうしてホクロ毛は太くて長くなるのか

ホクロが毛穴のところにできると、ホクロに黒々とした太い毛が生えてきます。

毛穴の部分は、表皮が井戸のように落ち込んでいます。
井戸の壁に母斑細胞が増えると、単位面積当たりの細胞数が非常に多くなり、血流も増加します。

すると、毛穴の毛をつくる細胞もたくさん栄養をもらって、太く長い毛が生えてくるのです。

ホクロの毛を抜くのはやめておいたほうがいい

毛を抜きたい気持ちもわかりますが、ホクロはあまり刺激しないほうがいいといわれています。

たとえば、顔のホクロをヒゲ剃りのときにカミソリでくり返し傷つけていたり、爪でひっかく癖があったりなど、刺激が慢性的に続くと、ホクロが皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)に変化することが知られています。

とはいえ、悪性黒色腫は、日本人には非常に少ないがんで、たとえば肺がんや胃がんはその何千倍も発生するのです。

神経質になる必要はありませんが、毛を抜くなどの刺激は避けておくのが無難でしょう。

毛が気になるのでしたら、ハサミで切ることをお勧めします。

抜きたい気持ちもわかるがハサミで切ろう!

ホクロに似ているがんもあるから要注意

当院では、ホクロを取りたいというご相談がとても多いです。

顔に大きなホクロがあって、太い毛が出ていると、「大きなホクロのある人」などという、ありがたくない特徴として周囲に認識されがちです。

そのほか、ホクロが痛い(ホクロの大きな毛穴にバイ菌が入って起こる毛嚢炎)という悩みや、じわじわ大きくなるホクロがどこまで大きくなるか不安になるので取ってしまいたいというかたも多いです。

また、ホクロを取るとともに、念のために悪性かどうかを調べたいという要望も少なくありません。

悪性黒色腫は少ないと書きましたが、悪性度の高いものも多いですし、悪性黒色腫以外にも、ホクロに似た皮膚がんもあるので、切除のついでに病理検査を受けておくと安心です。

ところで、手のひらや足の裏にできるホクロは危ないと言われ、心配になるかたも多いです。

確かに日本人には、足の裏や手のひらに悪性黒色腫が見つかるケースが多いという人種的特徴があります。

白人に比べて、皮膚の紫外線による刺激に強いので、日本人では悪性黒色腫をはじめとする皮膚がんはかなり少ないのですが、足の裏や手のひらは絶えず刺激を受けているので、相対的に数が多いのです。

裏を返せば、日本人では、顔や体の悪性黒色腫が少ないという特徴であって、足の裏のホクロが悪性黒色腫になりやすいということではないのです。

悪性の疑いのあるホクロの特徴

ホクロには、平らなもの、盛り上がっているもの、色が薄いもの、黒いものなど、いろいろなものがあります。
その中には悪性の疑いのあるホクロもあります。

どんなものが危険なのか、自己判断は禁物ですが、次のような特徴があったら、一度病院(皮膚科か形成外科)を受診することをお勧めします。


①直径10㎜を超えて大きい

②ホクロの縁がギザギザしたり、ぼやけたりしている

③形がいびつで左右が非対称

④色むらがある、色素の一部が染み出している

⑤出血を伴う

⑥半年で倍になるなど急速に大きくなる


医師はこうした所見から悪性黒色腫を疑いますが、専門医であっても、診断を確定させるには病変部の細胞を取って調べる病理検査が必要です。

健康保険を使って検査、治療とも受けられますが、単に見た目の悩みで切除する場合は、健康保険の適用にはなりません。

ホクロから毛が生えて嫌だという人や痛みがあるというかたは、がんの検査を目的に切除を受ければ、がんの心配も毛の悩みも解決します。

美容外科などではホクロをレーザーで治療することが多いですが、レーザーは病変部を焼き飛ばしてしまうので、病理検査は受けられません。

皮膚がんは、自分で見つけられる数少ないがんの一つです。
ホクロの多い人は、それだけがんになるリスクも高いともいえますから、ホクロの状態には常に注意を払う必要があるといえます。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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