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お腹が弱い人に【干し納豆】がいい!私は食あたりなしで辺境を食べ歩ける

お腹が弱い人に【干し納豆】がいい!私は食あたりなしで辺境を食べ歩ける

東北では、納豆を干しておく習慣があります。冬が長いので、冷蔵庫が普及していなかった時代には、非常食としての保存の意味もあったのでしょう。納豆には、整腸作用や殺菌作用があり、食中毒の予防にも役立つので、私にとって、干し納豆は絶対に欠かせない旅の救世主となったのです。【解説】小泉武夫(東京農業大学名誉教授)


解説者のプロフィール

小泉武夫(こいずみ・たけお)
東京農業大学名誉教授。
1943年、福島県の酒造家に生まれる。
現在、東京農業大学名誉教授、鹿児島大学客員教授、琉球大学客員教授、別府大学客員教授、広島大学大学院医学研究科客員教授、石川県立大学客員教授、福島大学客員教授、特定非営利活動法人発酵文化推進機構理事長ほか。
農学博士、専攻は醸造学、発酵学、食文化論。
主な著書に『納豆の快楽』(講談社文庫)、『くさいはうまい』(文春文庫)など、著作は140冊以上。

東北ではおなじみの「干し納豆」は旅の救世主

納豆は、日本人にとって身近な食品ですが、「干し納豆」となると、知らない人も多いでしょう。
しかし、私は小さいときからよく知っています。なぜなら東北の出身だからです。

東北では、納豆を干しておく習慣があります。冬が長いので、冷蔵庫が普及していなかった時代には、非常食としての保存の意味もあったのでしょう。
納豆自体、発酵させた保存食ですが、それを干すと、ネバネバがなくなり保存しやすくなります。

また、東北の一部には、干し納豆を粉にして、ご飯にかけて食べる風習があります。
納豆には、整腸作用や殺菌作用があり、食中毒の予防にも役立つので、とてもよい習慣です。
そんなふうに、小さい頃から慣れ親しんできた干し納豆に、私はこれまで、何度も救ってもらいました。

というのは、食と民族の研究を続けるうちに探究心が高じ、大学の講義の合間をぬって世界のあらゆる辺境に飛び、珍しいものを食するということを始めてしまったからです。

いつどこの辺境に飛んでいき、何を食するかわからないという、自他共に認める「味覚人飛行物体」となった私にとって、干し納豆は絶対に欠かせない旅の救世主となったのです。

「味覚人飛行物体」として世界中であらゆるものを食べてきた 写真:『冒険する舌』(集英社インターナショナル)

6人が下痢のなか自分だけが助かった

例えば、カンボジアのラタナキリという高地で、クメール族の人々が歓待してくれ、豚肉や内臓の熟鮓のような料理を出してくれたことがあります。

すし(鮨・鮓)というと、酢飯に魚介が載っているものを思い浮かべる人が大半でしょうが、魚介や獣肉を乳酸発酵させたものが熟鮓で、これがすしの始まりでもあります。

この豚肉料理が、とてもおいしくて、私を含めた7人の調査隊員は喜んでごちそうになりました。
ところが、その夜から、私以外の6人は激烈な下痢に襲われたのです。
拙著『冒険する舌』(集英社インターナショナル)には、そのときのことをこう記しています。



「6人はひどい症状で、その日一日中は七転八倒の苦しみであった。幸いにして持参していた強烈な抗生物質によって2日後には6人のゲリラ部隊の下痢は治ったが、それにしても恐ろしいほどの下痢になったのである。どういう訳か、この俺はこれまで旅を通して、一度たりとも下痢をしたことはない。これはきっと、いつも持参している乾燥納豆のおかげではあるまいか、と思っている。」



同様のエピソードは、数え切れないほどあります。
私は、海外の旅には必ず干し納豆を持参し、毎朝食べています。もともと、海外に干し納豆を持参するようになったのは、私が大の納豆好きだからです。

いくら納豆好きでも、普通の納豆を海外に持参することはできません。
発酵食品なので、そう簡単には腐らないものの、納豆菌が生きていて発酵が進むため、強烈なアンモニア臭を放ち始めるからです。

もっとも私自身は、このアンモニア臭のする納豆も好きなのですが、周囲に迷惑ですから持ち歩けません。
そこで、においがあまりしない、干し納豆を携行するようになったのです。

カンボジアで食べた豚肉や内臓の熟鮓。これを食べた6人の調査隊員は、猛烈な下痢に襲われたが、干し納豆を食べていた私だけが下痢にならなかった 写真:『冒険する舌』(集英社インターナショナル)

夏カゼや普段から胃腸の弱い人にもお勧め

また、干し納豆が、胃腸を強く保つために有効だということを、研究を通じて知っていました。

それで、朝食べるようにすれば、その日の自分の体を守るのに役立つと考え、海外では「朝の干し納豆」という習慣が定着しました。
そのおかげで、どんなに下痢が多発する食の旅でも、私だけは負け知らずというわけです。

このように干し納豆は、食あたりや食中毒菌、病原性大腸菌などから身を守ってくれる、たいへんありがたい食品です。
もちろん、これは干していない普通の納豆でも同じです。
しかし、旅に携行するという点では、においがあまり気にならず、ネバネバしないので手軽に口に放り込める、干し納豆のほうがだんぜん優秀です。

納豆をさらに保存に適したものにしようと、日本人の知恵から生まれた干し納豆が、世界の辺境で自分を救ってくれることには、いつも感謝と感慨を抱く私です。

私自身は、海外でよくお世話になっていますが、干し納豆の価値は旅のときに限りません。

普段から下痢をしやすい人や食あたりしやすい人、夏カゼでおなかを壊しやすい人などは、干し納豆を常食すれば、天然の整腸剤としておおいに役立ってくれるでしょう。

次の記事では、研究で判明した「干し納豆」健康効果についてご紹介しましょう。

「干し納豆」の健康効果と食べ方

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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