研究で判明!O-157より強い食中毒予防パワー「干し納豆」の効果

研究で判明!O-157より強い食中毒予防パワー「干し納豆」の効果

O‒157が猛威をふるっていた頃、私は大学の研究室で納豆菌とO‒157を戦わせてみました。納豆菌は圧倒的な増殖力の強さと速さで、O‒157を淘汰し、シャーレの中は納豆菌のみになってしまったのです。これには私も驚きました。【解説】小泉武夫(東京農業大学名誉教授)


干し納豆は納豆のミネラル分が凝縮している

発酵食品が体にいいことは、世界的によく知られています。
日本の発酵食品には、みそやしょうゆのような調味料が多いのですが、食品としてよく食べられるのが納豆です。

納豆は、大豆本来の良質なたんぱく質、ビタミンB群、各種のミネラル、食物繊維などを豊富に含み、しかも低脂肪の理想的な食品です。

しかし、においが強く、ネバネバしているので、いつでもどこでも手軽に食べることはできないという弱点があります。その弱点をなくしたのが、納豆を乾燥させた「干し納豆」です。

干し納豆は、ネバネバせず、においも強くありません。それでいて、口に入れるとしっかりネバネバが甦るのでうれしい限りです。

干し納豆のもう一つの利点は、栄養素が凝縮されること。
特に注目したいのがミネラルです。
カリウムは普通の納豆の1.5倍、鉄分が1.8倍、亜鉛が2倍程度になり、その他のミネラルや食物繊維も増えます。
水分を飛ばすので、効率よく栄養素がとれるわけです。

また、私自身も何度も実感している薬効が、整腸作用や食中毒の予防作用です。
海外で、いつも食中毒予防のために食べているのは、「【干し納豆の効果】世界の辺境で食あたりなし」の記事で述べたとおり。
納豆の食中毒を予防する効果には、目をみはるものがあります。

O-157も排除する強力な納豆菌の力

食中毒菌のなかでも、激烈な症状を起こすのが病原性大腸菌。
その代表が有名なO‒157です。

O‒157が猛威をふるっていた頃、私は大学の研究室で、納豆菌とO‒157を戦わせてみました。
菌同士をどうやって戦わせたかというと、シャーレ(ガラス製の皿)に作った寒天培地(微生物や細胞の培養に用いる寒天)に、納豆菌とO‒157を同時に増殖させるのです。

すると、納豆菌は圧倒的な増殖力の強さと速さで、O‒157を淘汰(排除)し、シャーレの中は納豆菌のみになってしまったのです。これには私も驚きました。

この圧倒的な食中毒菌の抑制作用が、干し納豆でも発揮されるからこそ、世界の辺境の地であらゆる食事をしていても、私の胃腸は負け知らずというわけです。

動脈硬化、高血圧の予防にもお勧め

納豆には、もう一つ重要な薬効があります。それは、ナットウキナーゼという納豆特有の酵素(体内での化学反応を促進する物質)を含むことです。

ナットウキナーゼには、血栓(血液の塊)を溶かして、動脈硬化を抑制する働きのあることがわかっています。

それとともに、納豆には、体内でできる血栓溶解酵素のウロキナーゼを活性化する働きもあるといわれています。
つまり納豆は、血栓を溶かすのに二重の意味で効果的な食品なのです。

なお、納豆には、血液凝固に必要なビタミンKも多く含まれています。
このことから、ある種の薬を使って心臓病などの治療をしている人には食べるのを禁止される場合があります。
しかし、医師からそういう指示を受けている人を除けば、納豆はまったく心配なくとれる健康自然食品です。

また、納豆には、体内で産生される昇圧物質(血圧を上げる物質)を、できにくくする作用があることもわかっています。ですから納豆は、動脈硬化と並んで、高血圧が心配な人にもお勧めの食品です。

これらの薬効も、ネバネバせず、においもあまりしない、干し納豆なら手軽に摂取することができるのです。

干し納豆の利点と主な薬効


●においがあまりなく、ネバネバしなくて食べやすい
●栄養素が凝縮される(普通の納豆に比べて、カリウム1.5倍、鉄分1.8倍、亜鉛2倍程度)
●納豆菌の力で食中毒菌を排除
●納豆特有の酵素・ナットウキナーゼによる血栓溶解作用
●体内でできる血栓溶解酵素・ウロキナーゼの活性化
●体内でできる昇圧物質(血圧を上げる物質)をできにくくする

干し納豆は手作りできる!

また、干し納豆は、加熱乾燥したものよりも、自然乾燥や、フリーズドライ製法のものを食べることをお勧めします。
ナットウキナーゼは、70℃以上で加熱すると働きが失われるからです。

干し納豆は、市販のものもありますが、簡単に手作りできます。
自分で作る利点として、塩加減が調節できるので、生活習慣病などで減塩している人にお勧めです。

次の記事の「干し納豆の作り方」を参考に作ってみてください。

→下痢や食中毒を予防する【干し納豆】の作り方

最後に、干し納豆のお勧めの食べ方をお教えしましょう。

干し納豆を、さらに干したり、煎ったりしてカリカリに乾燥させます。
それを、すり鉢ですって粉にします。
一方、煮干しの頭とワタを取って、まな板でたたいてから、すり鉢ですってこちらも粉状にします。

この二つを混ぜて、好みの量の塩を混ぜると、超絶においしいふりかけの完成です。
熱々のご飯にかけて食べれば、はしが止まらなくなること請け合いです。

栄養豊富で体によく、手軽にとれて、さまざまな料理に合う干し納豆。
日本が生んだ最高に味わい深いこの食品を、存分に楽しみましょう。

【解説】東京農業大学名誉教授 小泉武夫(こいずみ・たけお)

1943年、福島県の酒造家に生まれる。
現在、東京農業大学名誉教授、鹿児島大学客員教授、琉球大学客員教授、別府大学客員教授、広島大学大学院医学研究科客員教授、石川県立大学客員教授、福島大学客員教授、特定非営利活動法人発酵文化推進機構理事長ほか。
農学博士、専攻は醸造学、発酵学、食文化論。
主な著書に『納豆の快楽』(講談社文庫)、『くさいはうまい』(文春文庫)など、著作は140冊以上。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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