ツボ刺激と温熱刺激の、ダブル効果!
皆さんは、仕事や読書などで、目が疲れてきたり、肩がこったりしたときに、首の後ろを押したりもんだりすることはありませんか。無意識に取っているそれらの行動は、実は非常に理にかなっていることなのです。
首の後ろは、健康の要といえる場所で、さまざまな治療に用いられています。整体やマッサージなどにおいても、首の後ろを刺激することは多いでしょう。
近視や老眼、眼精疲労といった目の不調を改善するときにも、首の後ろへの刺激は有効です。
それは、ちょうど首の後ろに、天柱と風池という、目の症状によく効く二つのツボがあるからです。
天柱と風池は、ちょうどうなじの辺りに左右一対ずつあります。肩こりや、肩こりと連動した疲れ目の治療には、必ず用いるツボです。
この二つのツボがある首の後ろを、直接もんだり押したりしてもけっこうですが、それ以上にお勧めなのが、入浴時のマッサージです。
たっぷりとお湯を張った湯ぶねにつかり、湯ぶねのへりの部分に頭をのせてみてください。首の後ろに湯ぶねのふちが当たり、それが、ちょうどいい強さの刺激になります。とても気持ちよく感じられ、目の疲れが引いていくのがわかると思います。
天柱への刺激は、骨や毛髪、生殖器などに働きかけて、老化を予防する働きもあります。さらに風池への刺激は、胃腸やホルモン代謝などにもよい効果をもたらします。
ですから、目の疲れだけではなく、目を酷使して起こる近視や、加齢による老眼を撃退するのにも、大変効果的でしょう。
さらに、湯ぶねにしっかりとつかって、体が芯から温まることによって、全身の血行が促進されます。血行が促されるのは、目やその周辺組織も例外ではありません。血流が改善すると代謝が活発になるので、目の疲労回復効果もより高まるでしょう。
目の症状に効くツボの位置

背骨のゆがみが整い、目の機能が正常化
これだけにとどまりません。背骨のゆがみ解消による、相乗的な効果も図れるのです。
私たちの背骨は、体の左側から見て、緩やかなS字型であることが理想です。
しかし、現代人の多くは背骨がゆがみ、このS字型がくずれてしまっています。パソコンやスマホなどが普及して、前傾姿勢を取ることが多くなったことや、慢性的な運動不足などがその原因でしょう。仕事や家事などで、毎日同じ姿勢を取り続けている人や、デスクワークが中心の人などは、特に背骨がゆがみがちです。
背骨がゆがむと、背骨周辺の筋肉が緊張してしまい、血行不良や神経の圧迫につながります。この圧迫される神経には、自律神経も含まれます。
自律神経とは、体の諸機能の根幹を司っている神経のことで、交感神経と副交感神経の2種類から成り立っています。1日を通して、両者がバランスよく保たれることで、私たちの健康状態は維持されています。
もちろん、目の機能も自律神経の影響を常に受けています。そのことから、自律神経のバランスが乱れると、視力にも悪い影響が及んでくるのです。
湯ぶねのへりに頭をのせることで、自律神経の巡りがよくなり、そのバランスが改善されます。なぜなら、頸椎と頭蓋骨という二つの骨が矯正され、背骨のゆがみが整うからです。
頸椎は首に位置する骨で、背骨の上端にあります。そして、その上には頭蓋骨がのっています。頸椎とその上に位置する頭蓋骨が矯正されることによって、背骨全体のゆがみ解消につながるのです。
私も入浴時にはよく湯ぶねのへりに頭をのせ、目をつぶり、ホッと一息ついています。そうすると、目の疲れがスーッと抜けていくのがわかります。
現代社会はなにかとストレスが多く、目にも大きな負担がかかっています。1日の終わりに湯ぶねにゆっくりとつかり、たまった目の疲れも、汚れといっしょに洗い流しましょう。
解説者のプロフィール

本部千博(ほんべ・かずひろ)
日本ホリスティック医学協会顧問。1985年、岐阜大学医学部卒業。
協立総合病院で研修後、内科医として勤務。1989年、岐阜大学医学部眼科学教室に入局。
2005年、名古屋で「ほんべ眼科」を開業。
「近視は治せる病気である」をモットーに、独自の視力回復法や生活指導によって、近視化の予防や老眼の進行防止に力を入れている。
また、排毒・解毒法を中心に据えた内科の健康相談などを行っている。
●眼科・統合医療 ほんべクリニック
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