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記憶力が回復する筋トレ「脳活スクワット」のやり方

記憶力が回復する筋トレ「脳活スクワット」のやり方

2001年に厚生労働省が実施した、大規模な認知症予防のプロジェクトで、運動指導を担当したのがきっかけでした。この時期に「МCIや認知症などで認知機能が落ちている人には、ある共通点がある」と気付いたのです。その共通点とは「筋肉の疲れや痛みを感じない」という点です。【解説】本山輝幸(総合能力研究所所長・健康運動指導士)

解説者のプロフィール

本山輝幸(もとやま・てるゆき)

総合能力研究所所長。
筑波大学大学院運動生化学修士課程終了。
義母の認知症をきっかけに、筑波大学大学院にて認知症の運動療法について研究を始める。
厚生労働省の認知症予防プロジェクトに参加。
MCI(軽度認知障害)を改善する本山式筋肉トレーニングを開発し、普及に努める。

認知症になる人には共通点があった

認知症は、軽度認知障害(MCI)と呼ばれる認知症の前段階の状態であれば、治療による進行の予防が期待できます。
その治療で、近年、注目されているのが運動です。

しかし、実際には、若いころから運動の習慣があるのに認知症になる人は少なくありません。

私はこの事実にずっと疑問を抱いていました。
そもそも私が認知症に関心を持ったのは、2001年に厚生労働省が実施した、大規模な認知症予防のプロジェクトで、運動指導を担当したのがきっかけでした。

この時期に「МCIや認知症などで認知機能が落ちている人には、ある共通点がある」と気付いたのです。
その共通点とは「筋肉の疲れや痛みを感じない」という点です。

「感覚神経」がつながっていないのが原因

例えば、認知症やМCIの人は、スクワットなどの反復運動を延々と続けることができます。
健常者が、筋肉の痛みや疲れを訴えるのに対し、認知症の人は、いつまでも運動をし続けるのです。

認知症のお年寄りが、遠い他県まで徘徊したという報道も、めずらしくありません。
老いた体のどこにそんな体力があるのかと、驚いた人もいるでしょう。

実は、これらは体力の問題ではないのです。
「筋肉が疲れているよ」という事実を脳に伝える「感覚神経」が、きちんとつながっているか・いないかという問題なのです。

「きつめ」の筋トレで感覚神経のつながりをよくする

ヒトが体を動かすときは、脳から筋肉へ向けて電気信号による指示が送られます。
この指示が通るルートを、運動神経といいます。

筋肉が動くと、筋肉には必ず痛みや疲れなどの刺激が生じます。
この筋刺激は、運動神経とは別のルートである感覚神経を通って脳へと伝わります。

認知機能が落ちている人たちは、みな一様にこの感覚神経が鈍くなっている、もしくはまったく脳とつながっていないと、私は仮説を立てました。

そこで、認知症研究の第一人者である朝田隆先生(筑波大学名誉教授)と組み、MCIの患者さんを対象とした運動療法を研究しました。

具体的には、MCIの人に、少しきつめの筋トレを行ってもらいました。
軽い筋トレよりも、きつい筋トレのほうが脳に刺激が伝わりやすく、感覚神経のつながりがよくなると考えたからです。

すると、当初は延々と筋トレを続けていたMCIの人でも、週に1~2回、各2時間のトレーニングを3ヵ月も続けると、全員がトレーニング中に筋肉の痛みを感じるようになりました。

同時に、認知機能検査(記憶、注意、言語、視空間認知、思考の五つの能力を検査する方法)の全項目でも改善が確認されました。
つまり、きつめの筋トレで、記憶力や言語力が高まったというわけです。

筋トレで記憶力や言語力までが回復した

その後、10年以上、МCIや認知症の人に指導を続けています。
中には認知症が進行し、ほぼ寝たきりだった人が、日常生活に支障がないレベルまで回復した例もあります。

私は、きつめの筋トレで感覚神経のつながりがよくなると、脳内で、脳細胞の代償作用が促されるのではないかと考えています。
事故などで脳が大きく傷ついても、奇跡的な回復を遂げる例はめずらしくありません。

これは、失われた脳細胞の働きを、残った脳細胞が肩代わりしたためです。
これが代償作用です。おそらく、感覚神経を通って伝わる筋刺激が、正常な脳細胞を活性化するのでしょう。

【チェック】足上げで太ももに痛みを感じますか?

今回は、きつめの筋トレを3種類ご紹介します。

一つ目は、前の太ももを鍛える「足上げ」です。
イスに座り、片足をできるだけ上に持ち上げ、10秒間維持します。

ちなみに、感覚神経が正常であれば、足上げを10秒も行うと、太ももに痛みなどの強い筋刺激を感じるはずです。
しかし、MCIや認知症の人は、あまり感じません。

二つめと三つめは、「スクワット」です。
太ももの筋肉は、人体でいちばん大きな筋肉なので、この部位を鍛えることで、脳と感覚神経を早急につなげることが可能だと推測できます。

筋トレを行うときは、鍛える筋肉に意識を集中してください。
鍛える部位を触ってから行うのも、お勧めです。

きつめの筋トレを行っても、最初はまったく痛みを感じない人もいるかもしれません。
ですが、3ヵ月も続けるうちに、脳と感覚神経がつながって、痛みを感じるようになるはずです。

まず、1の「足上げ」をやってみてください。
10秒、足を上げてみて、どうでしょうか?

太ももに痛みを感じましたか?
「ぜんぜん痛くないし、へっちゃら!1分でも2分でもできそう」と思った人は要注意。
脳と感覚神経がつながっていない可能性があります。

今回ご紹介するきつめの筋トレを行って、脳と感覚神経をつなぐパイプをしっかり強化してください!

「脳活スクワット」のやり方

①足上げ

②脳活スクワットその1

③脳活スクワットその2

コツと注意点

・鍛える筋肉をしっかりと意識する。ながら運動は厳禁。
・鍛える筋肉を触っておくと意識しやすい。
・筋肉に痛みを感じるほど、脳に強い刺激が届くことになるので効果的。
・1日に1回行う。
・骨や関節に痛みや病気がある場合は、無理のない範囲で行う。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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