医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営

【アズキポリフェノールの効果】「発酵あんこ」が血糖値を下げる理由

【アズキポリフェノールの効果】「発酵あんこ」が血糖値を下げる理由

アズキに含まれる代表的な健康成分のひとつが「ポリフェノール」です。アズキは、このポリフェノールの含有量が豆類の中でもトップクラスで、黒豆と比べて約2.3倍も含まれています。私は、アズキポリフェノールが、糖を分解する消化酵素の働きを抑えるのではないかと考えています。【解説】小嶋道之(帯広畜産大学人間科学研究部門教授)


解説者のプロフィール

小嶋道之(こじま・みちゆき)
帯広畜産大学人間科学研究部門教授。
北海道十勝でアズキやインゲンマメなどの、雑豆類の研究を始めて約30年。雑豆類の詳細な成分、嗜好性、機能性の分析をおこなってきた。特にアズキの煮汁のポリフェノールには機能性が高いことから、アズキを有効に活用する製造加工法などを提案し、豆類加工を見直すきっかけをつくってきた。さらには、納豆や味噌・醤油などのおいしい伝統食品の機能性や世界のさまざまな豆類の機能性についても研究を展開している。

アズキには病気や老化を撃退する成分がいっぱい!

 私は、北海道帯広市にある帯畜で、長年にわたって豆類の健康成分について、研究を続けてきました。もちろん、アズキもそのひとつです。

 アズキといえば、日本ではなじみ深い食材ですが、意外なことに栽培しているのは、世界を見渡しても日本と中国だけです。
 現在の日本では、生産量の4分の3を北海道が占め、全国的に見て、北海道十勝ブランドとして有名な農作物のひとつです。

 十勝のアズキは、日本の伝統的な食文化の歴史に欠かすことができない食材になっています。その伝統的な食文化とは和菓子です。アズキといえば、あんこを思い浮かべる人が多いと思います。和菓子は、京都を中心に各地で発展してきた、日本を代表する食文化です。

 この食文化に、生産地の限られたアズキが関わっているなんて、おもしろいと思いませんか?
 アズキの魅力にとりつかれた私が、その歴史や健康効果の研究を始めてから、もう30年になります。実際に、アズキの研究を進めていくと、その高い健康効果に驚かされてばかりでした。

ポリフェノールは「活性酸素」と戦ってくれる

 アズキに含まれる代表的な健康成分のひとつが「ポリフェノール」です。ポリフェノールは、植物に多く含まれる色素成分のひとつです。アズキの赤紫色は、主にポリフェノールによるものです。

 ポリフェノールは、細胞や遺伝子を傷つけて、病気や老化の原因になる「活性酸素」と戦ってくれる(抗酸化作用)、ありがたい成分です。
 アズキは、このポリフェノールの含有量が、豆類の中でもトップクラスで、クロダイズ(黒豆)と比べて約2・3倍も含まれています。

 ポリフェノールの働きは、活性酸素を撃退してくれるだけではありません。他にも、健康に役立つ、多くの効能があります。

 私たちは実際に、マウスを用いて、アズキに含まれるポリフェノール(アズキポリフェノール)の働きを調べました。
 すると、抗酸化作用のほかにも、次に挙げる効果を確認できました。

❶血糖値の上昇を抑える

❷体重増加を抑える
(下に別記)

❸肝臓を保護する(下に別記)

❹血液中のコレステロールの上昇を抑える

❺腫瘍の増殖を抑える


 ここでは、気にしているかたも多い、アズキポリフェノールの❶血糖値の上昇を抑える働きについて説明しましょう。

アズキを食べたら血糖値スパイクを抑えられた

 実験では、マウスにアズキポリフェノールを与え、その30分後にショ糖(砂糖の主成分)を与えて、マウスの血糖値を測定しました。
 すると、すべてのマウス群で、血糖値の上昇が抑えられたのです(詳細は下図)。

 血糖値が上昇するしくみを簡単に説明します。ショ糖は体に入ると、体内の消化酵素でブドウ糖などに分解されます。ブドウ糖が小腸で吸収されて血液中に入ると、血糖(ブドウ糖)の数値が上がります。

 私は、アズキポリフェノールが、糖を分解する消化酵素の働きを抑えるのではないかと考えています。
 糖が分解されにくくなれば、ブドウ糖の吸収が抑えられるので、血糖値の急上昇を防げるわけです。

 近年の研究で、食後の血糖値の急上昇(血糖値スパイク)が、動脈硬化や肥満を進行させ、死亡リスクを高めることがわかりました。アズキには、血糖値スパイクや体重増加を防ぐ働きを期待できそうです。

 砂糖を加えていない「発酵あんこ」は、普通のあんこより糖分が少ないので、大量に摂取しない限り、血糖値や体重のことを気にする必要はほとんどありません。しかも、アズキポリフェノールのおかげで、血糖値が上がりにくくなっています。

 以上のように、アズキは、すばらしい健康効果を持っている食材ですが、調理が面倒な印象から、食卓に並ぶ機会が失われつつあります。
 それを払拭するためにも、簡単に作れる発酵あんこを、強くお勧めしたいと思います。

脂肪を「なかったこと」にしてくれる

 マウスを使った実験で、高脂肪食とともにアズキポリフェノールを7週間与えました。すると、マウスの体重が増えにくくなりました。

体に入った脂肪は、すい臓から分泌される「リパーゼ」という消化酵素によって分解されて、吸収されます。アズキポリフェノールは、リパーゼの働きを抑えると考えられています。そのおかげで、余分な脂肪が便といっしょに排出されるのです。

さらに、研究段階ですが、アズキポリフェノールには、脂肪の代謝を促進する働きがあることも期待されています。

肝臓や腎臓の炎症を抑える!

 アズキポリフェノールを取ることで、肝臓の炎症が抑えられることが、マウスを使った実験でわかりました。

アズキポリフェノールとともに肝臓障害を誘発させる物質をマウスに与えたところ、「ガンマGTP」など、肝臓の炎症を表す数値が上がりにくくなったのです。

これは、アズキポリフェノールが炎症を悪化させる活性酸素を撃退して、炎症の拡大が抑えられたためと考えられます。また、肝臓だけでなく、腎臓の炎症を抑える作用も確認されています。

肝臓や腎臓を護るアズキポリフェノール

「発酵あんこ」の作り方については、↓の記事で詳しく紹介されています。

→「発酵あんこ」の作り方

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

関連する投稿


【最新研究】納豆から「糖尿病予防につながる2つの成分」を世界で初めて発見!

【最新研究】納豆から「糖尿病予防につながる2つの成分」を世界で初めて発見!

今回、納豆から2種類のDPP4阻害物質が発見されました。どちらも世界で初めて発見されたDPP4阻害物質です。これまでも納豆の健康効果はよく知られていましたが、納豆には血糖値の上昇を防ぎ、糖尿病予防につながる成分が含まれていることが最新研究で明らかになったのです。【解説】舘博(東京農業大学応用生物科学部醸造科学科教授)


ほとんどの日本人が足りていない…体に必要な「ある栄養素」とは?

ほとんどの日本人が足りていない…体に必要な「ある栄養素」とは?

マグネシウムは体内では合成できないため、必ず食品から摂取しなければいけない「必須ミネラル」の1つです。現代の日本人の食生活は、カロリーは満たされていても、マグネシウムが足りない『新型栄養失調』状態にあるのです。その結果、糖尿病や脂質異常症、肥満をきたしやすくなるのです。【解説】横田邦信(東京慈恵会医科大学客員教授)


予防医学の専門家が推奨!甘酒寒天の健康効果と有効な食べ方

予防医学の専門家が推奨!甘酒寒天の健康効果と有効な食べ方

食物繊維はメッシュ状の構造で、その網目に水分を保持することで、腸の中で多くの作用を生み出します。寒天はこの網目が、ほかの食物繊維よりもずっと細かいのです。寒天1gが保持する水分量は100g、つまり100倍の保水力を持ちます。【解説】杤久保修(神奈川県予防医学協会中央診療所予防医療部部長・横浜市立大学名誉教授)


40代で始まっている!?認知症を起こす「脳の糖尿病」チェックリストと対策

40代で始まっている!?認知症を起こす「脳の糖尿病」チェックリストと対策

認知症というと高齢者の病気、と考える人も多いでしょう。近年、認知症は「脳の糖尿病」で生活習慣の改善で予防できることがわかりました。認知症は20~30代の頃の生活習慣、特に食習慣の結果でもあります。ですから早めに対処することが認知症予防には欠かせません。【解説】熊谷賴佳(脳神経外科専門医・認知症サポート医・京浜病院院長)


1日1さじ、2週間で効果「発酵玉ねぎ」が善玉菌を激増させる!!

1日1さじ、2週間で効果「発酵玉ねぎ」が善玉菌を激増させる!!

発酵タマネギの魅力はおいしさだけではありません。健康面でも糖尿病を改善する、肥満を改善する、便秘を改善する、アレルギーやうつ症状を緩和するといった、まるで万能薬のような効果を期待できます。正確に言えば、発酵タマネギを食べて腸内で作られる物質に、優れた健康効果があります。【解説】藤田紘一郎(東京医科歯科大学名誉教授)


最新の投稿


【スタンフォード式】疲労回復にいい食べ物・疲れない食事術を大公開!

【スタンフォード式】疲労回復にいい食べ物・疲れない食事術を大公開!

久々に帰国して驚いたのは、日本で普通に食事をすると、アスリートのための食事とは真逆で、疲労をためてしまう食事が多いということでした。特に気になったのは、砂糖があふれかえっていることです。糖質(炭水化物)の摂取も多いですね。【解説】山田知生(スタンフォード大学スポーツ医局アソシエイトディレクター・アスレチックトレーナー)


布施博が脊柱管狭窄症を克服!足の激痛と歩行困難から救った方法とは?

布施博が脊柱管狭窄症を克服!足の激痛と歩行困難から救った方法とは?

腰の辺りから肩甲骨の下辺りまで指圧しても、せいぜい3分程度しかかかりません。実際にやってみると、これがすごく気持ちいいんです!こわばっていた筋肉がほぐれていくのを実感できます。なにしろ、脊柱管狭窄症の症状が目に見えてよくなりましたね。右足に感じていた激痛が、すっかり治まったんです。【体験談】布施博(俳優)


金属音のような耳鳴りが「酢タマネギ」で大改善した!納豆を入れるのがお勧め

金属音のような耳鳴りが「酢タマネギ」で大改善した!納豆を入れるのがお勧め

作った酢タマネギを、毎朝食べている納豆に混ぜて食べています。酢タマネギを混ぜる量は、私はカレースプーンに2杯、妻は1杯です。こうして毎日の朝食で酢タマネギを食べ続けていたら、耳鳴りの音が徐々に小さくなってきたのです。3ヵ月後には、日中はほとんど気にならなくなりました。【体験談】鈴木興起(無職・80歳)


老廃物を排出してむくみ改善!心身がスッキリする「塩カイロ」の作り方 ・やり方

老廃物を排出してむくみ改善!心身がスッキリする「塩カイロ」の作り方 ・やり方

今回、むくみの予防と改善のためにお勧めするのが「塩カイロ」です。塩カイロは、塩灸をアレンジした、手軽なセルフケアです。塩カイロは、お尻にある尾骨を温めます。尾骨周辺を塩カイロで温めることにより、こりやゆがみが解消し、自律神経のバランスが整って、血液やリンパの流れが改善するのです。【解説】宮本啓稔(新宿西口治療院院長)


【炭酸水パックの美肌効果】ペットボトルでもOK?濃度(ppm)の目安はある?

【炭酸水パックの美肌効果】ペットボトルでもOK?濃度(ppm)の目安はある?

炭酸水につかると、その部位の毛穴から炭酸が浸透。体内で毛細血管に入り、血管内の酸素を細胞に送り出します。これを体が察知すると「酸素が足りていない」と勘違い。炭酸水につかっている部位に酸素を供給しようと、血液がドッと流れてきます。こうして血管が拡張され血流が改善するのです。【解説】齋藤真理子(山本メディカルセンター院長)