家庭菜園で育てたゴーヤを天日干し
健康診断のたびに、血糖値が高いと指摘されるようになったのは、60歳になってからです。しかも年々、血糖値が高くなってくるのです。
原因は、食事と運動不足でしょう。お菓子はあまり食べないものの、ご飯や果物などの糖質はかなりとるほうです。
運動については、ひざを痛めていることもあって、慢性的に不足している状態です。それも、血糖値を下げるうえではよくなかったと思います。
数年前、健康診断で血糖値を測ったところ、130㎎/㎗くらいになりました。医師の先生からは、「そろそろきちんとした治療が必要です」といわれてしまったのです。
そこで、試しに食事の際の炭水化物を減らしてみましたが、あまり効果がありません。痛むひざをかばいながら、歩くことも始めましたが、効果はあまり上がりませんでした。
しかし、思いもかけず効果を上げたのが、「ゴーヤ茶」でした。
ただし、これはもともと、糖尿病治療のために飲み始めたものではありません。飲むきっかけになったのは、実は、ガンでした。私の姉が胆管ガンで入院したのです。そこで、ガンを予防するために何かいい方法はないか、といろいろ調べてゴーヤ茶のことを知りました。免疫力を高めて、ガンを予防する効果があるということを耳にしたのです。
私は、畑を借りて、そこで毎日自分で食べる野菜を作っています。そこで、ゴーヤを栽培することにしました。
そして、ゴーヤができると、早速、ゴーヤ茶を作って飲むようにしました。ゴーヤをスライスにした物を3日ほど天日干しにします。日差しが強い夏は、2日間程度で乾燥します。
カラカラに乾いたゴーヤは、缶に入れて保存します。こうして保存しておけば、取れなくなった時期もゴーヤ茶を作ることができます。
ゴーヤ茶は、かなり苦みがあるので、煮出すときに緑茶の葉を加えて、味をまろやかにすることもできます。とはいえ、私は、ゴーヤの苦みが全く気になりませんから、お湯を注いだだけでおいしく飲めました。
しかし、しばらくゴーヤ茶を飲んでいたものの、それほど続かずになんとなくやめてしまったのです。
そんなときです。糖尿病の治療が必要と医師に宣告されました。そこで、慌ててゴーヤ茶を再開したというわけです。
血圧も下がり基準値内で安定
私は、ゴーヤ茶を、きちんと毎朝飲むことを習慣にしました。それが3年前、70歳のときです。その夏は、おそらく50本以上のゴーヤを収穫し、活用したと思います。
こうしてゴーヤ茶を飲み続けていたところ、1年後には、血糖値が基準値内の110㎎/㎗未満に下がったのです! 医師の先生からも、「これなら治療する必要はありませんね」というお墨付きをいただきました。
しだいに高くなる血糖値が気になっていたので、正常化してほんとうによかったと思います。もともとはガン予防のために始めたゴーヤ茶が、血糖値を下げるのにこんなにも役立ちました。
実は、血糖値とともに血圧も高くなり、降圧剤を処方されるようになっていました。現在でも、いちばん弱い降圧剤を飲んでいますが、血圧は下がって基準値内で安定しています。
ゴーヤ茶の作り方

❷切ったゴーヤをざるに並べ、2、3日干す。

❸湯を沸かして、干しゴーヤを入れて10分ほど煮出す。水500mlに対して、干しゴーヤ10枚ほどが目安。※好みに応じて調節してもよい。残った干しゴーヤは、密閉容器に入れて保存する。

植物性インスリンが血糖値を正常化した(下津浦内科医院院長 下津浦康裕)
ゴーヤには、カランチンとモモデルシンという辛み成分が含まれています。これらは、インスリンとよく似た作用をする「植物性インスリン」という成分で、血糖値を下げる優れた働きがあります。増田さんの場合も、ゴーヤ茶を常飲した結果、植物性インスリンの働きで血糖値が正常化したのでしょう。
食事制限が欠かせない糖尿病治療は、多くの患者さんにとって大きなストレスとなりますが、その際にも、ゴーヤは積極的に摂取できます。多様なメニューに使えて糖尿病治療に役立つゴーヤは、極めて貴重な食材といえるでしょう。
❶ゴーヤ(大1本)を水でよく洗い、ワタごと5mm幅の輪切りにする。