自分の声が耳の中で響き人の声を聞き取りにくい
私は子供のころから鼻の通りが悪く、しょっちゅう鼻づまりを起こして耳鼻科に通院していました。
大人になってからは、鼻よりも耳が詰まったような耳閉感を覚えるようになりました。年に3〜4回ほどですが、耳をふさがれたように詰まるのです。
自分の声が耳の中で反響して話しにくく、耳に膜が張っているような感じで、人の声を聞き取りにくくなることもあります。一度この状態になると2〜3週間は続くので、非常に不便です。
なぜ耳が詰まるのかは、よくわかりません。前兆もなく、突然起こるのです。原因も、きっかけもわからないので、防ぐことができませんでした。
耳鼻科で検査したところ、聴力に問題はありませんでしたが、鼓膜が内側に引っ張られていることがわかりました。鼓膜の振動も少なく、耳管(耳とのどをつなぐ管)の通りが悪いそうですが、確実な治療法はないといわれました。
耳鼻科で受けたのは、鼻と耳に管を入れてシュッと空気を通す治療でした。また、鼻をつまんでつばを飲み込んだり、鼻をつまんだまま鼻をかむようにして空気を耳へ流したりする方法も教わりました。
これらを行うと、一時的に耳はスッキリしますが、すぐに戻ってしまいます。
耳鼻科の治療よりずっとスッキリする
1ヵ月ほど前、松岡佳余子先生(記事耳の穴もみのやり方参照)の講習会に参加した際にも、少し前から耳閉感に悩まされていました。その講習会で紹介されたのが、「耳の穴もみ」だったのです。
今思えば、そのとき耳が詰まっていたのは幸運でした。
松岡先生が一人一人に施術をしながら実演してくれたので、私の番が来たとき、「実は今、こういう症状があるんです」と松岡先生に話しました。すると先生は、「ちょっと見せて」と耳の穴をのぞき、耳の穴に指を入れてもみ始めたのです。
先生の力が強いのか、私の耳の穴が悪いのか、とにかく痛くてたまりません。特に、後頭部側にグーッと広げたときは、すごい痛みでした。
ところが、先生が指を抜いたときには、耳閉感がすっかり消えていたのです。耳鼻科で空気を入れたときの通り方とは、全く違います。空気がスーッと通るようなスッキリ感がありました。
それ以来、自分でも日に2〜3回、多いときには4〜5回、耳の穴もみをしています。1回に行う時間は短いので、何回行っても負担になりません。
押し広げて痛いところは日によって多少違いますが、いつも痛いのは後頭部側から下にかけてです。そこをグーッとしばらく押すと、悪いものが抜けるように耳閉感が消え、スッキリします。
耳の穴もみは、耳閉感の予防にもなっているようです。耳の穴もみをやるようになってからは、耳が詰まることがなくなりました。
松岡先生は、耳の穴もみ以外にもさまざまな健康法を提唱されていて、それを惜しげもなく講習会で公開しています。
私も、松岡先生に教えていただいたことを、自分の治療院で患者さんの症状に合わせて勧めることがよくあります。耳の穴もみも、耳閉感のある患者さんに勧めたところ、「えらいスッキリしたわ」と喜んでいらっしゃいました。
お金もかからず、道具も使わず、誰にでもすぐにできる健康法ですから、勧められたほうも負担になりません。
治療院での施術にセルフケアをプラスすると、治療の効果を上げることにもつながります。自分が納得できるよい健康法は、今後も患者さんにどんどん勧めていこうと思っています。
鼓膜と耳管の細胞の生まれ変わりを促進(アジアンハンドセラピー協会理事・鍼灸師 松岡佳余子)
飛行機やエレベーターに乗ったときに、耳が詰まったように感じることがあります。これは、鼓膜の内側と外側の気圧が急激に変化した際に起こるものです。つばを飲み込んだり、あくびをしたりすれば解消できます。
上田さんのように、原因不明の耳閉感に悩む人は少なくありません。耳の穴には、さまざまな症状を改善するポイントが散在しています。原因がわからなくても、耳の穴の痛い部分をもみほぐすことで、症状の改善が期待できるのです。
細胞は、日々生まれ変わります。耳の穴もみがそれを促進して、耳閉感の原因となっていた鼓膜と耳管の細胞を、若返らせる方向へ向かわせてくれたのかもしれません。
「耳が詰まらなくなった」と上田さん