
足のトラブルはさまざま「あなたの足は大丈夫?」
「足」と聞いて、皆さんはどこを思い浮かべるでしょうか。
太もものつけ根から下が全部足だという人もいれば、
足首からつま先にかけてを足だと思う人もいるでしょう。
日本語の「足」は、あいまいですが、英語は明快です。
「Foot」は足首からつま先までの「足部」を指し、
「Leg」は足全体、つまり「脚」を指します。
「足のトラブル」とは、
足首からつま先までのトラブルのことです。
とはいえ、「足のトラブル」とはいっても、
その影響は足(Foot)だけにとどまりません。
やがては、ひざや股関節、腰にまで広がっていきます。
まさに、足のトラブルは脚全体のトラブルなのです。
足トラブルは大きく3種類
さて、足のトラブルは、
大きく次の3つに分類することができます。
(1)骨の変形によるもの(骨の異常)
(2)爪に起こる病変(爪の異常)
(3)皮膚に起こる病変(皮膚の異常)

これらの足病変(足のトラブル)は互いに関連し合っており、
多くは複合的に症状が現れます。
骨の変形から爪や皮膚のトラブルが起こったり、
逆に爪や皮膚のトラブルから、骨の変形がわかったりします。
また、爪と皮膚にまたがって起こるトラブルもあります。
ですから、表面に現れたトラブルを取り除くだけでなく、
その病変を起こしている大元の原因にまでさかのぼらないと、
足病変は根治できません。
足のトラブルのなかには、
セルフケアだけで改善するものもあれば、
専門医の治療を受けなければ治らないものもあります。
また、症状は同じように見えても、
まったく違う病気だったり、
なかには全身性の病気による足病変が隠れていたりすることもあります。
そうした複雑な足のトラブルに適切に対処するためには、
足のトラブルがどのようなものなのか、
まずはその原因や症状を正しく把握する必要があります。
普段、自分の足をしげしげと見る人はあまりいないでしょう。
また他人の足と比較することも少ないので、
医師から指摘されるまで
自分が開張足(足の横アーチが潰れて足の骨が広がった状態)や
扁平足であることに気付かない人もいます。
ですから、まず自分の足に関心を持つことが大事です。
自分の足を毎日見て触ることが一番の治療
皆さんは、普段どれくらい自分の足を見たり、
触ったりしていますか。
「足」と聞くと、どこか汚い、不潔というイメージがあるのか、
自分の足でさえ、あまり触りたがらない人がいるようです。
足が痛くなって初めて、
自分の足に目が向いたという人も少なくありません。
しかし、足の異常は普段から足を見ていなければ気がつきません。
足の感覚は加齢と共に鈍くなっていくので、
意識して足に関心を持たなければ、足の病変を見逃してしまいます。
お風呂に入ったとき、
あるいはお風呂上がりに、足をよく見て触ってください。
その際、次のようなことをチェックしましょう。
「足の状態」チェック項目
・触って、どこか痛いところはないか
・皮膚が硬くなっているところはないか
・爪の状態はどうか。色はピンク色か。爪が厚くなっていないか
・爪を押して痛くないか
・指と指の間が開くか
・皮膚は乾燥していないか
・かかとがガサガサしていないか
・足にむくみはないか
・足の色は健康的か
毎日、自分の足を見ていると、
ちょっとした変化にも気付くようになります。
実は、それがとても大切です。
早めに自分の足の異常に気がつけば、早めに対処できます。
それが、足のトラブルを防ぐ、一番の治療になるのです。
解説者のプロフィール

高山かおる(たかやま・かおる)
済生会川口総合病院皮膚科主任部長、東京医科歯科大学附属病院臨床准教授。
1995年、山形大学医学部卒。
日本の大学病院では稀有な皮膚科のフットケア外来を開局する。
難治性の巻き爪、陥入爪、肥厚爪、タコ、ウオノメなどの疾患を抱える患者に対して、トラブルの根治を目指した、原因の追及、診察、専門治療のほか、セルフケアの指導を行う。
フットケア師によるフットケア、オーダーメイドのインソール作製などによる免荷療法など、それぞれの専門家と連携を取りながらの保存的治療も積極的に導入している。
専門は、接触性皮膚炎、フットケア、美容。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。