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足トラブルの初期症状「開張足」を治す!正しい歩き方で痛くなる前から対策

足トラブルの初期症状「開張足」を治す!正しい歩き方で痛くなる前から対策

正しい歩き方が身についている人は高いヒールの靴を履いても足を痛めることが少ないのです。悪い歩き方、立ち方はすぐに改善しましょう。もう年だからとあきらめることはありません。まだ若いから大丈夫ということもありません。悪いくせはすぐに直さないと手遅れになってしまいます。【解説】高山かおる(済生会川口総合病院皮膚科主任部長)

悪い歩き方・立ち方で足のアーチが崩れる

足のアーチが崩れてしまう一番大きな要因は、
歩き方や立ち方の悪いくせです。

重心を足に正しくかけて立ち、足のバネを使って歩くことができれば、
足のアーチが崩れることはそんなにありません。

正しい歩き方が身についている人は、
高いヒールの靴を履いても足を痛めることが少ないのです。

歩いたり立ったりする動作は、毎日のことです。
小さなくせでも、それが毎日積み重なると、結果として大きな障害につながります。

ですから、悪い歩き方、立ち方はすぐに改善しましょう。

もう年だからと、あきらめることはありません。
まだ若いから大丈夫、ということもありません。

悪いくせはすぐに直さないと、手遅れになってしまいます。

アーチが崩れることで「開張足」が起こる

悪い歩き方の筆頭は、ペタペタ歩きです。

足をあまり上げず、
足裏全体をペタペタ地面に着けて歩く歩き方です。

足を引きずる歩き方も、ペタペタ歩きの一種です。

なぜ、この歩き方が悪いのかというと、
足に本来備わっている指やアーチの機能を使っていないからです。

使わない機能はどんどん衰えていきます。

足の指を使わなければ、
指の筋力や靭帯(骨と骨をつなぐ組織)が弱って、
地面をつかんだり踏ん張ったりできなくなります。

足のアーチを使わなければ、
アーチを支える骨や靭帯、筋肉が弱って、アーチが落ちてきます。

すると、ベタッと平べったい開張足になってしまいます。
この開張足が、
多くの足病変のベースになっていることは、くり返し述べてきたとおりです。

開張足を予防・改善する「正しい歩き方」

では、正しい歩き方とはどんな歩き方でしょうか。

ひと言でいえば、
かかとで着地し、足の第1指で後ろに蹴る歩き方です。

こうすると足の裏が返り、
前に進む推進力が生まれてスムーズに歩けます。

詳しく説明すると、次のようになります。


(1)かかとで着地する
(2)かかとに乗った重心を、足の裏の外側から足の第5指(小指)のつけ根に移動させる
(3)足の第5指のつけ根から第4指(薬指)のつけ根、第4指のつけ根から第3指(中指)のつけ根と、重心を移動させながら、足の指で地面をつかむようなイメージで、第1指のつけ根から地面を蹴り、最後は第1指で蹴り上げる


こうして歩くと、
重心はかかと、足の第1指のつけ根、第5指のつけ根の3点にまんべんなくかかることになります。

この3点は、足の3つの大事なアーチの基点です。

この3点で体を支えることで、
足に負担をかけずに長時間歩くことができるのです。

手は自然に前後に振り、歩幅はやや広めに取ってください。

左右の足に均等に体重がかかるように、
正面をまっすぐ向いて歩きます。

なるべく荷物を持たず、両手は自由にします。

荷物を持つときは、片方の手に持ったり、片方の肩にかけたりするのではなく、
リュックサックのように両肩にかけると、足への荷重が偏りにくくなります。

正しい歩き方の土台になる正しい立ち方(姿勢)

正しい歩き方の土台になるのが、正しい立ち方(姿勢)です。

かかと、足の第1指のつけ根、第5指のつけ根の3点に体重を乗せて立つには、
姿勢がよくなければなりません。

足にトラブルのある人たちを見ていると、
ほとんどの人の姿勢に問題があり、そこに共通の問題点が見い出せます。

それは、おなかや背中といった、
体幹部(胴体の中心)の筋肉が使われていないことです。

使われていないというよりも、
おそらく体幹部の筋肉が弱っていて、使えていないのでしょう。

例えば、階段を上るときには、太ももを上げなくてはなりません。

太ももがスムーズに上がらないと、階段を1段上がるのも大変です。
この太ももを持ち上げているのが、体幹部の腸腰筋という筋肉です。

腸腰筋は、腰椎(背骨の腰の部分)と大腿骨(太ももの骨)を結ぶ筋肉で、
足を上げるときに使われます。

この筋肉が鍛えられると、
歩行や階段の上り下りがスムーズになり、
足にかかる負担も減らせます。

腸腰筋の働きを、簡単に体感することもできます。

ズボンの左右の前ポケットに手を入れ、
両足のつけ根を押しながら歩いてみてください。

普段よりも足が前に出て、楽に歩けるはずです。
これが、腸腰筋の働きです。

腸腰筋は足のつけ根付近を通っているので、
つけ根を押すことで、脳に腸腰筋を動かせという指令が行くのだと思われます。

体幹を鍛えるにはダンスや体操がオススメ

さて、体幹部の筋肉は、
重力に抵抗して体を支えている筋肉でもあり、
抗重力筋ともいいます。

重力は上から下にかかりますが、
抗重力筋はそれに抵抗して、持ち上げる方向に働く筋肉です。

この筋肉が働いていると、足にかかる負担が減ります。
抗重力筋が、足の代わりに体重を支えてくれるのです。

二本足で歩く人間は、
本来なら、抗重力筋が発達しているはずです。

ところが、今の若い女性を見ていると、
その多くが体幹部の筋力が十分でないために、
立っていても体をしっかり支えられていません。

そのため、足に負担がかかり、
歩き方も悪くなってしまうのです。

足に過度の負担がかかるので、
アーチがつぶれてくることも当然の結果といえます。

私自身も、このことに気付いて以来、
歩き方に気をつけるだけでなく、体幹部の筋肉を意識して鍛えるようになりました。

体幹部の筋肉は、体操やダンスなどで鍛えることができます。
私はフラやピラティス、ヨガなどを日常的にしています。

どんなダンスやエクササイズも、
体幹部がしっかりしていなければうまくできません。

ですから皆さんも、
自分の好きな体操やダンスを生活のなかに取り込んで、
体幹筋を鍛えるといいと思います。

足への負担が減って、立ち方も歩き方もずっとよくなります。

また普段から、背すじを伸ばすように心がけることも大事です。

ただし、背中の反らしすぎには注意してください。
反らしすぎると、逆に悪い歩きぐせがついたり、腰を痛めたりします。

次の記事では、足のセルフケアのポイント(6)正しい靴の選び方についてご紹介しましょう。

解説者のプロフィール

高山かおる(たかやま・かおる)
済生会川口総合病院皮膚科主任部長、東京医科歯科大学附属病院臨床准教授。
1995年、山形大学医学部卒。
日本の大学病院では稀有な皮膚科のフットケア外来を開局する。
難治性の巻き爪、陥入爪、肥厚爪、タコ、ウオノメなどの疾患を抱える患者に対して、トラブルの根治を目指した、原因の追及、診察、専門治療のほか、セルフケアの指導を行う。
フットケア師によるフットケア、オーダーメイドのインソール作製などによる免荷療法など、それぞれの専門家と連携を取りながらの保存的治療も積極的に導入している。
専門は、接触性皮膚炎、フットケア、美容。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。

【好評】
『巻き爪、陥入爪、外反母趾の特効セルフケア (フットケア外来の医師がすすめる「足のトラブル」の治し方) 』高山かおる(著)

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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