MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
足の痛みやトラブルを防ぐ【靴選びのポイント】本当に自分に合う靴とは

足の痛みやトラブルを防ぐ【靴選びのポイント】本当に自分に合う靴とは

足のトラブルには、靴が深く関わっています。足に合わない靴を履いて、タコやウオノメが痛くなったり、巻き爪になったり、外反母趾がひどくなったりといった経験をお持ちの人は多いでしょう。靴は足を守るために考案されたものですが、いつの間にか足を痛める原因になってしまいました。【解説】高山かおる(東京医科歯科大学皮膚科講師)

靴の本来の機能は足を保護し、足の機能をサポートすること

足のトラブルには、靴が深く関わっています。

足に合わない靴を履いて、タコやウオノメが痛くなったり、巻き爪になったり、外反母趾がひどくなったりといった経験をお持ちの人は多いでしょう。

靴は足を守るために考案されたものですが、いつの間にか足を痛める原因になってしまいました。
その理由として考えられるのは、靴に求めるものが時代とともに変わってきたことです。

靴の起源は、紀元前3000年ごろのサンダルにまでさかのぼります。
その後、靴は狩猟が盛んなヨーロッパで発展しますが、その目的は足を保護して、足の機能をサポートすることでした。つまり、生活を快適にする道具として、靴は進化してきたのです。

ところが、次第にファッション性が重視されるようになり、それに伴って、足にかかる負荷も大きくなってきました。

靴を履いてきた歴史の長いヨーロッパでは、合わない靴が足や体に悪影響を及ぼすことを、一般の人もよく知っています。
ところが、靴の歴史が浅い日本では、そういう認識を持つ人はまだ少数です。
消費者だけでなく、靴を作る側の人もそうでしょう。

ですから、おしゃれ重視で靴を選ぶ人がいる一方、合わない靴に悩んでいても、なかなか自分の足にフィットする靴に巡り合えないのです。

おしゃれな靴を履きたい気持ちは、女性としてよくわかります。
しかし、靴に求められる本来の機能はファッション性ではありません。足を保護し、足の機能を助けることです。

よい靴の条件とは

足の機能とは、体重を支えたり、歩行時に体のバランスを保ったり、地面からの衝撃を和らげたりすることです。
そういった足の機能を十分に発揮できるように作られた靴が、よい靴だといえるでしょう。

よい靴の条件の1つとして、私は皆さんに、かかとのしっかりした靴を選ぶようにアドバイスしています。

かかとにカウンターと呼ばれる芯材が入っていると、足のかかと部分がしっかりと固定され、歩行が安定します。

一方、カウンターが入っていない、かかとのフニャフニャした靴は、着地のときに体が左右にぶれやすく、歩くたびに足首やひざに大きな負担がかかります。

足にトラブルのある人は、そもそも体がゆがんでいて不安定です。
そういう人がかかとのフニャフニャした靴を履くと、余計にゆがみがひどくなります。

そういう人にこそ、かかとのしっかりした靴を履いて、体のゆがみを改善してほしいのです。

自分の足に合った靴を履くと、姿勢がよくなり、バランスよく歩けます。
足と靴と歩行。この3つを切り離すことはできせん。
それらが三位一体になって初めて、足のトータルケアが可能になると思います。

自分に合う靴の選び方

靴を選ぶ際に大事なことは、自分の足の特徴をよく知ることです。

足は、大きさ、横幅、甲の高さ、土踏まずの形、指の長さや形など、一人ひとり異なります。
足の形は、まさに百人百様。
2つとして同じ足はありません。

それに対して、靴は、JIS規格(日本工業規格)で足長(サイズ/かかとから一番長い指先までの長さ)と、足囲(ワイズ/足の第1指から第5指までの指のつけ根の一番長いところをぐるりと1周した長さ)が決められています。
靴の寸法は、「㎝(センチメートル)」で表示される足長と、「A〜E」で表示される足囲で決まります。

靴を選ぶときは、こうしたサイズだけでなく、靴を履いたときのフィット感や足の当たり具合などをよく確認しましょう。
足の形は左右で若干異なるため、必ず両足とも履いて、実際に歩いてチェックします。

自分に合う靴選びのポイント

そのときのポイントは、次の4つです。


(1)足先にゆとりがある 
つま先がゆったりして高さがあると、指先が靴の中で自由に動かせるので、足指できちんと地面をつかむことができます。また、外反母趾や内反小趾の予防にもなります。

(2)甲周りが合っている
甲が圧迫されず、かつ、きちんと押さえられていると、足のアーチが保持できます。ひもやベルト、ストラップなどで甲周りを調節できるものがいいでしょう。

(3)かかと周りが合っている 
かかとがきちんと覆われていて、かかとの後ろに足の第5指が入るくらいのゆとりがあると、安定した着地ができて足が疲れません。かかとは硬めで、くるぶしが履き口に当たらないことも大事です。

(4)指のつけ根が曲がりやすい 
足の第1指と第5指が押さえつけられず、ゆるすぎないこと。
足指が屈曲するMP関節(足の指のつけ根の関節)と靴底の曲がる位置が一致していること。これによって、指のつけ根が曲がりやすくなり、スムーズに歩けるようになります。



靴を試着するとき、1つのサイズだけしか履かない人がいますが、自分の足のサイズの前後1サイズずつ、計3サイズ履くことをおすすめします。
靴のサイズはメーカーやデザインによって微妙に違いますし、サイズの刻みもメーカーによって異なります。
自分のサイズを決めつけないで試着することが大事です。

また、普段ゆったりしたサイズがよいと思って靴を履く人が多いので、その人に本当に合ったサイズの靴を試着しても、「きつい」と感じてしまいがちだということも覚えておくといいでしょう。

インソールはタコ、ウオノメ、巻き爪、陥入爪などで痛みのあるケースに有効

私は、足にトラブルのある人にはインソールをすすめています。

インソールとは、靴の中敷きのことです。製造過程で靴の中にあらかじめ組み込まれているものもありますが、ここでいうインソールは取り外しのできる後入れタイプのものです。

インソールの役目は、歩いたり走ったりしたときに、足裏やかかとに伝わる衝撃やねじれを分散・吸収して、足腰への負担を軽減することです。
また、くるぶしが靴に当たったり、甲の部分がゆるかったりする場合に、フィット感やバランス感を改善します。

インソールには、既製品とオーダーメイドのものがあります。
既製品には、用途に応じて、「外反母趾用」「開張足用」「衝撃吸収タイプ」など、さまざまな種類のものが市販されています。

足裏全体を覆うタイプだけでなく、足囲を微調整する「ワイズパッド」や、アーチを保護する「アーチパッド」のように、部分的に用いるものもあります。
自分の足の状態に合わせて、いろいろ試すといいでしょう。

そのときに大事なことは、何のためにインソールを使うのか、目的をはっきりさせることです。
既製品のインソールでも、目的に応じて適切に使えば、足のトラブルの改善につながります。

治療用には、主にオーダーメイドのインソールを使います。
足の変形があり、通常の治療やフットケアだけでは足病変が改善しない場合に、患者さんにおすすめしています。
タコ、ウオノメ、巻き爪、陥入爪などで痛みのあるケースに有効です。

インソールによる治療は「免荷療法」の1つ

インソールによる治療は、病変部にかかる圧力を分散する「免荷療法」の1つです。
自分の足に合ったインソールを装着することで、靴にクッション性を持たせて、足の痛みを緩和します。
また、インソールが足のアーチを支えて、圧力がかかる部分の負担を軽減します。

インソールを装着すると、ほとんどの人が、「歩くのが楽になった」とおっしゃいます。
痛みが緩和するだけでなく、足裏のバランスが整って、足が疲れにくくもなります。

オーダーメイドのインソールには、フルオーダーメイドとセミオーダーメイドがあります。
どちらも専門の技術者がフットプリント(足裏を撮影したもの)や足型などを採って製作しますが、その過程で、隠れていた患者さんの足の状態がわかり、足のトラブルを解決する糸口が見つかることもよくあります。

靴の履き心地は足裏で感じるものですが、インソールを装着すると格段に履き心地がよくなります。足の保護とフィット感の向上という点で、インソールは非常に有用だと思います。

おしゃれになったコンフォートシューズ

靴を替えて、足のトラブルを軽くする方法もあります。

足トラブルのある患者さんのなかには、自分に合う靴が見つからなくて困っている人がいます。
なかには、どんな既成靴も合わないという患者さんもいます。
そのような患者さんには、コンフォートシューズをおすすめしています。

コンフォートシューズは、「コンフォート」(英語で「快適な」の意)というように、心地よさと足の機能を研究して作られた靴です。
甲の部分が保持され、靴底の部分はアーチ構造になっているため、足の疲れを軽減し、歩く機能をサポートしてくれます。

靴の先進国であるドイツでは、オートペディシュー(整形靴)テクニックという、整形外科の知識に基づいた靴の製作・調整・技術を習得したマイスターによって、コンフォートシューズが作られています。

日本でも、足のトラブルが増加するにしたがって、コンフォートシューズへの関心が高まってきました。
コンフォートシューズを導入している医療機関も増えています。

このように、コンフォートシューズへのニーズが高まるにつれて、コンフォートシューズもおしゃれになってきました。
以前は「健康靴」といえば、どちらかといえば野暮ったいものが多かったものですが、今は機能性とともにデザイン性も重視されています。

コンフォートシューズは、足のトラブルはあるけれど、治療を受けるほどではないという人や、長時間立ち仕事をする人、歩く機会の多い人にもおすすめです。
足に不安のある人は、一度コンフォートシューズを扱っている店を覗いてみてはいかがでしょうか。

解説者のプロフィール

高山かおる(たかやま・かおる)
済生会川口総合病院皮膚科主任部長、東京医科歯科大学附属病院臨床准教授。1995年、山形大学医学部卒。日本の大学病院では稀有な皮膚科のフットケア外来を開局する。難治性の巻き爪、陥入爪、肥厚爪、タコ、ウオノメなどの疾患を抱える患者に対して、トラブルの根治を目指した、原因の追及、診察、専門治療のほか、セルフケアの指導を行う。フットケア師によるフットケア、オーダーメイドのインソール作製などによる免荷療法など、それぞれの専門家と連携を取りながらの保存的治療も積極的に導入している。専門は、接触性皮膚炎、フットケア、美容。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。

【好評】
『巻き爪、陥入爪、外反母趾の特効セルフケア (フットケア外来の医師がすすめる「足のトラブル」の治し方) 』高山かおる(著)

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

関連記事
これまで、疲労が起きるのは、「エネルギーがなくなるから」「疲労物質が筋肉にたまるから」と考えられてきました。しかし、最新の研究によって、疲労が起きるほんとうの理由は、「自律神経の中枢である、脳がサビつくから」ということが、わかっています。【解説】梶本修身(東京疲労・睡眠クリニック院長)
更新: 2019-05-23 18:00:00
症状の原因ははっきりとはわかりませんが人工透析を行う人には老若男女問わずよく現れるものです。これに薬で対応しようとすると体にもっと大きな負担がかかってしまいますし、副作用も心配です。少しでも患者さんの体に負担をかけずに症状をやわらげるのに「手のひら押し」が有効だと思っています。【解説】佐藤孝彦(浦安駅前クリニック院長)
更新: 2019-04-05 10:20:35
東洋医学には五行思想というものがあり、人の体に起きるあらゆることは五臓につながっていると考えられています。涙がすぐに出るのは、「憂い、悲しむ」感情からです。 これは、五臓の中の「肺」の弱りから発する感情です。肺が弱い体質、もしくは肺が弱っているのかもしれません。【解説】田中勝(田中鍼灸指圧治療院院長)
更新: 2019-04-05 10:21:05
手のひら押しのよいところは、いつでもどこでも自分でできて、効果がその場でわかることです。悪いところは手のひらに表れており、そこを押せば、その刺激が手から末梢神経を通り、脊椎を介して、対応する器官や臓器に届きます。それが、全身の回復につながります。【解説】足利仁(手のひらデトックス協会代表理事)
更新: 2019-01-29 18:00:00
2018年3月、腰椎椎間板ヘルニアの症状を注射により軽減する、日本発で世界初の薬剤がついに承認されました。5月には保険適用となり、8月から学会指導医のいる病院で治療を受けられるようになったのです。その薬が「コンドリアーゼ」です。【解説】松山幸弘(浜松医科大学整形外科学教授)【取材】山本太郎(医療ジャーナリスト)
更新: 2019-05-08 13:48:43
最新記事
私は、60歳の今も左右の視力は1・0を保っています。これまでメガネの世話になったこともありません。老眼知らずの状態をキープしている秘密は、私が毎日行っているトレーニング「目のスクワット」にあるのです。毛様体筋をほぐす効果があります。【解説】本部千博(ほんべ眼科院長)
更新: 2019-07-03 14:37:40
体重100kgの人なら3kg、80kgの人なら2.5kg程度の減量で、条件付きですが糖尿病の改善は可能です。体重が3%減少すると、ヘモグロビンA1cが3%程度下がることがわかったからです。例えば、ヘモグロビンA1cが9%の人なら、だいたい6%程度まで下がります。【解説】吉田俊秀(島原病院 肥満・糖尿病センター長)
更新: 2019-06-06 18:00:00
これまで、入院患者さん向けの、いわゆる「リハビリ体操」はありましたが、外来の患者さんが希望するような体操はありませんでした。そこで私たちは、血圧を上げる要因である、末梢の「血管抵抗」を減らす筋トレを考案することにしました。【解説】金子操(自治医科大学附属病院リハビリテーションセンター室長・理学療法士)
更新: 2019-06-05 18:00:00
1日の疲れを取るには、就寝時間や睡眠時間ではなく、「眠りに就いて4時間以内に、深睡眠を取ること」がたいせつなのです。しかし現代人の多くは、深夜にテレビやスマホを見たり、ストレスで体の緊張が取れなかったりして、本来の睡眠リズムが狂い、深睡眠を取りづらくなっています。【解説】白濱龍太郎(睡眠専門医)
更新: 2019-06-04 18:00:00
納豆を毎日食べるようになったとき、最初に実感できるのは、便通の改善でしょう。それもそのはず。納豆には、腸内環境を整えるための働きや成分がそろっているからです。腸内において納豆菌は、活性酸素を分解する酵素と、善玉菌のえさとなる栄養分を作りだし、善玉菌の増加を強力にサポートします。【解説】河埜玲子(済生会松阪総合病院医師・料理家) 
更新: 2019-06-03 18:00:00