内反小趾とは
開張足や外反母趾と合併しやすい
内反小趾は、足の第5指の関節が内側(第1指側)に向かって変形している状態です。
女性の場合は開張足で外反母趾と合併することが多いですが、ガニ股(O脚)の男性にもよく見られます。
男性に多い、ガニ股歩きは、足の外側に重心がかかります。
そのため、外側の縦アーチが落ちて、足の第5指が第1指側に変形(内反)しやすくなるのです。
足の第5指の内反する角度が10度以上になると、内反小趾と診断されます。20度以上の変形なら中等度、30度以上なら重度です。
内反小趾の重症度をチェック

20度以上で足の第5指がねじれて爪が外側を向いていたり、足の第5指が第4指に被さっていたりしたら、要注意です。
内反小趾は外反母趾ほど痛みませんが、靴に当たる部分に炎症を起こしたり、タコやウオノメができて痛んだりすることがあります。
足の第5指のつけ根(小趾球)にタコや、第5指の外側にウオノメができていたら内反小趾の疑いが強く、足の外側に負担のかかる歩き方をしている可能性があります。
第4指、第5指の先端やその指の間にもウオノメができることがあり、これは非常に痛みを伴います。
内反小趾の原因

原因は外反母趾と同じように、歩き方の悪いくせなどで重心のかけ方が悪いケースが多いようです。それに、運動不足や加齢による筋力や靭帯の衰え、靴の問題などが関わってきます。
開張足や外反母趾、内反小趾は、しばしば対になって起こります。
開張足でペタペタ歩きのような指を使わない歩き方をしていると、足の第1指がだんだん内側に倒れてバランスが取りにくくなります。
その崩れたバランスを取ろうとして、足の第5指も内側に倒れてきて、そのまま足の第1指も第5指も固まってしまうのです。
歩くときや立っているときの重心のかけ方が悪いと、こうした足病変が重なって起こります。
内反小趾の予防と対策
外反母趾と基本的には同じです。
軽度から中等度までの人なら、足の向きを矯正する「ゆるゆる屈伸」や、足の指を鍛える「足指ストレッチ」、足の横アーチを補正・保護するサポーターやテーピングをおすすめします。
重度の人なら、インソールやコンフォートシューズ(別記事参照:自分に合う靴選びのポイント)で足に負荷がかからないようにします。
内反小趾の運動療法
ゆるゆる屈伸
X脚やO脚は開張足の原因になり、足病変の発症につながります。
普通に屈伸すると、X脚の人はひざが内側に曲がり、O脚の人は外側に曲がります。
ゆるゆる屈伸は、ひざの筋肉をゆるめて、足の向きを正すエクササイズです。
これによってX脚やO脚を矯正し、正しい重心のかけ方を身につけます。

足指ストレッチ
狭い靴のなかに長い時間押し込められていた足は、指先の筋肉や腱が硬く緊張しています。
腱が緊張すると、周りの筋肉も動かなくなって、筋力の低下につながります。
足指をもんで足の緊張を取り、リラックスさせます。

ゴルフボール握り
開張足や外反母趾などのある人は足の裏が硬くなっています。
ゴルフボールで足の裏の前足部をもんだり、足指でゴルフボールをつかんだりすると、足裏や指の関節がゆるみ、指の筋力も鍛えられます。

内反小趾のセルフケア
テーピング法(包帯法)
整形外科では「包帯法」と呼ばれるものです。
落ちた横アーチを補正する効果があります。
足に少しアーチを作り、固定するような感じで巻くといいでしょう。
MP関節のあたりを巻くと痛い場合は、巻く位置を少し下げて、土踏まずのあたりを巻いてください。サポーターや包帯、マジックテープ付きのバンドなどでも代用できます。


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『巻き爪、陥入爪、外反母趾の特効セルフケア (フットケア外来の医師がすすめる「足のトラブル」の治し方) 』高山かおる(著)
解説者のプロフィール

高山かおる(たかやま・かおる)
済生会川口総合病院皮膚科主任部長、東京医科歯科大学附属病院臨床准教授。
1995年、山形大学医学部卒。
日本の大学病院では稀有な皮膚科のフットケア外来を開局する。
難治性の巻き爪、陥入爪、肥厚爪、タコ、ウオノメなどの疾患を抱える患者に対して、トラブルの根治を目指した、原因の追及、診察、専門治療のほか、セルフケアの指導を行う。
フットケア師によるフットケア、オーダーメイドのインソール作製などによる免荷療法など、それぞれの専門家と連携を取りながらの保存的治療も積極的に導入している。
専門は、接触性皮膚炎、フットケア、美容。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。
足の第5指が第1指側に変形している状態。外反母趾も併発しているのがわかる