ハンマートゥとは
指が固まって足の機能も極度に低下する
足の第1指以外の足の指の関節が「くの字」に屈曲して拘縮した足病変が、ハンマートゥです。
つま先がハンマー(かなづち)のように曲がるので、この名がつきました。
ハンマートゥは足の指が第2関節で曲がったものですが、第1関節のところで曲がったものはクロー(鳥や動物の鉤爪)トゥといいます。
ハンマートゥが単独で起こることはめったになく、たいていは開張足や外反母趾と合併します。
足の指で屈曲しやすいのは、第2指と第3指(中指)です。
足指が屈曲すると、指が動かないので、だんだん曲がった状態で指が固まってしまいます。すると、曲がった関節や指先が靴に当たり、足裏の指のつけ根は靴底に接して、そこにタコやウオノメができます。
ハンマートゥがつらいのは、このタコやウオノメが皮膚を傷つけて強い痛みを引き起こすことです。
傷になったところは血がたまったり、細菌感染を起こして膿がたまったりします。
すると、さらに痛みはひどくなります。
ハンマートゥの原因
原因は、開張足や外反母趾と同じように、歩き方や立ち方の悪いくせが積み重なったものです。
さらに、ハイヒールやサイズの合わない靴が、症状を悪化させます。
例えば、ハイヒールを履くと、靴の中で足が前にすべるので、足指に余計な力が入り、指が曲がります。
その状態で長く歩くと、指が曲がったまま拘縮してしまいます。窮屈な靴、つま先の細い靴、サイズの大きい靴でも指は曲がりやすくなります。
ハンマートゥは足指の関節が強く変形し、拘縮した状態ですから、足の機能が極度に低下した状態だといえます。
進行すると、指の屈曲の角度が大きくなり、さらに指が立ち上がってきます。するとますます靴に当たって痛くなります。
また、指も使えないので、歩くときや立ったときのバランスが悪くなります。
ハンマートゥの予防と対策
症状が軽いうちなら、「足指ストレッチ」などで改善します。
しかし、重度に拘縮した指は、基本的には元に戻りません。
ハンマートゥで困るのは、タコやウオノメが痛いことですから、その処置をするとともに、足が靴に当たらないように、足に合う靴を履いたり、インソールで調整したりします。
ハンマートゥで大事なことは、それ以上進行させないことです。
したがって開張足や外反母趾と同じように、立ち方や歩き方に気をつけ、足指ストレッチで指を伸ばすといいでしょう。
なお、関節リウマチで足指が亜脱臼を起こすと、ハンマートゥがひどくなることがあります。その場合は、手術することもあります。
ハンマートゥの運動療法
足指ストレッチ
狭い靴のなかに長い時間押し込められていた足は、指先の筋肉や腱が硬く緊張しています。
腱が緊張すると、周りの筋肉も動かなくなって、筋力の低下につながります。
足指をもんで足の緊張を取り、リラックスさせます。

ハンマートゥのセルフケア
テーピング法(包帯法)
整形外科では「包帯法」と呼ばれるものです。
落ちた横アーチを補正する効果があります。
足に少しアーチを作り、固定するような感じで巻くといいでしょう。
MP関節のあたりを巻くと痛い場合は、巻く位置を少し下げて、土踏まずのあたりを巻いてください。
サポーターや包帯、マジックテープ付きのバンドなどでも代用できます。

解説者のプロフィール

高山かおる(たかやま・かおる)
済生会川口総合病院皮膚科主任部長、東京医科歯科大学附属病院臨床准教授。
1995年、山形大学医学部卒。
日本の大学病院では稀有な皮膚科のフットケア外来を開局する。
難治性の巻き爪、陥入爪、肥厚爪、タコ、ウオノメなどの疾患を抱える患者に対して、トラブルの根治を目指した、原因の追及、診察、専門治療のほか、セルフケアの指導を行う。
フットケア師によるフットケア、オーダーメイドのインソール作製などによる免荷療法など、それぞれの専門家と連携を取りながらの保存的治療も積極的に導入している。
専門は、接触性皮膚炎、フットケア、美容。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。

【好評】
『巻き爪、陥入爪、外反母趾の特効セルフケア (フットケア外来の医師がすすめる「足のトラブル」の治し方) 』高山かおる(著)
足の第1指以外の足の指の関節が「くの字」に曲がって固まった状態。足の機能は極度に低下している