爪は健康のバラメーター
「爪は健康のバロメーター」などと、よくいわれます。
爪の色は指先の血流を反映するので、爪がピンク色の人は末端まで血液が行き届いており、全身の健康状態もよいと考えられます。
健康な手の爪は、1日に約0・1ミリずつ伸びるので、爪全体が生まれ変わるのに約半年かかります。
足の爪が伸びるのはもっと遅く、手の爪の2倍近くかかります。
ですから、足の爪病変のケアや治療には時間がかかります。症状が改善して次の新しい爪が生えてくるまで、1年以上みたほうがいいでしょう。
年齢を重ねると、さらに爪の伸びは遅くなります。
しかも、だんだん爪が乾燥しやすくなり、厚くなる傾向があります。
そのため、爪が割れやすくなったり、ささくれなどができやすくなったりします。
爪は小さなパーツですが、爪の状態から足の変形や、歩き方の悪いくせ、全身の健康状態などを教えられることがあるのです。
爪の状態から体の病気がわかる
ばち指は血液循環障害を示す
さらに、爪の状態から体の病気がわかることがあります。
例えば、手足の指先が大きくふくれて爪のつけ根が隆起する「ばち指」は、血液循環の障害を示しており、肺の病気や心臓疾患の疑いがあります。
スプーンネイルは鉄欠乏症の疑い
また「スプーンネイル」といって、スプーンのように爪の先が反り返って中央がくぼんでしまうと、鉄欠乏性貧血の疑いが濃くなります。
爪甲剥離症(そうこうはくりしょう)は甲状腺機能低下の可能性
「爪甲剥離症」は爪が爪床から浮き上がってしまう病気で、甲状腺(体の発育を促進し、新陳代謝を盛んにする甲状腺ホルモンをつくるところ)機能の低下によって起こることがあります。ただし、詳しい原因はよくわかっていません。
そのほかにも、爪の色が白っぽいと肝臓や腎臓の病気の疑いがありますし、寒いときに足の爪や指先が赤紫色になると、糖尿病や閉塞性動脈硬化症(足の血管が細くなったり詰まったりする病気)の疑いがあるといわれています。
このように、爪は体の病気を知らせるサインにもなるのです。
普段から自分の爪をよくチェックして、こまめにケアをしましょう。
爪の状態のチェックリストをぜひご活用ください。
爪の異変チェックリスト

解説者のプロフィール

高山かおる(たかやま・かおる)
済生会川口総合病院皮膚科主任部長、東京医科歯科大学附属病院臨床准教授。
1995年、山形大学医学部卒。
日本の大学病院では稀有な皮膚科のフットケア外来を開局する。
難治性の巻き爪、陥入爪、肥厚爪、タコ、ウオノメなどの疾患を抱える患者に対して、トラブルの根治を目指した、原因の追及、診察、専門治療のほか、セルフケアの指導を行う。
フットケア師によるフットケア、オーダーメイドのインソール作製などによる免荷療法など、それぞれの専門家と連携を取りながらの保存的治療も積極的に導入している。
専門は、接触性皮膚炎、フットケア、美容。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。

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