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【何秒立てる?】片足で立てる時間が延びるほど認知機能改善の証拠!

【何秒立てる?】片足で立てる時間が延びるほど認知機能改善の証拠!

片足立ちは、有酸素運動とバランス運動を兼ねています。片足立ちを1分続けることは、50分歩くのとほぼ同じ運動量になります。有酸素運動が認知症予防に有効であることは、多くの研究データが示すところです。また、転倒予防という点からも優れています。【解説】長谷川嘉哉(土岐内科クリニック院長・医療法人ブレイングループ理事長)

解説者のプロフィール

長谷川嘉哉(はせがわ・よしや)
●土岐内科クリニック
土岐市肥田浅野笠神町2-12
0572-53-0656
http://brain-gr.com/tokinaika_clinic/
●長谷川嘉哉公式サイト
http://yoshiya-hasegawa.com/life_doctor/

土岐内科クリニック院長・医療法人ブレイングループ理事長。
名古屋市立大学医学部卒業、医学博士。
毎月1000人の認知症患者を診療する、日本有数の認知症専門医。
2000年には、認知症専門外来および在宅医療のためのクリニックを岐阜県土岐市に開業。
開業以来、3万件以上の訪問診療、400件以上の在宅看取りを実践している。
著書に『親ゆびを刺激すると脳がたちまち若返りだす!』(サンマーク出版刊)など。

1分実践すれば50分歩く運動量と同じ!

 皆さんは「片足立ち」をどれくらいの時間できるでしょうか。ご高齢のかたは、イスの背に手をかけるなどして転倒に気をつけながら、試してみてください。

 実際にやってみると、30秒続けるのも大変だと思います。片足立ちというのは、皆さんの想像以上にけっこうな運動になるのです。しかも、認知症を予防するためにも、大いに役立ちます。

 では、認知症予防に、片足立ちをお勧めする理由をお話ししましょう。
 片足立ちは、有酸素運動とバランス運動を兼ねています。片足立ちを1分続けることは、50分歩くのとほぼ同じ運動量になります。有酸素運動が認知症予防に有効であることは、多くの研究データが示すところです。運動をして筋肉を動かすことは、脳を刺激して活性化させます。

 つまり、いわゆる「脳トレ」と同様に脳の働きを高めてくれるのです。

 また、片足立ちは、転倒予防という点からも優れています。
 加齢に伴って、神経と筋肉の連携は悪くなり、筋力も低下していきます。つまり、高齢になるほど転びやすくなります。転倒して骨折したことで長期の寝たきりになると、それがきっかけで認知症を発症するケースが多いのです。

 転ばずに歩くためには、体のバランス感覚が重要ですが、実は、ただ歩くだけでは訓練にはなりません。この点、片足立ちは、優れたバランス運動といえます。片足立ちを続けることで、体のバランスを取る小脳の機能維持に役立つのです。

 このような観点から、転倒を予防して認知症の危険性を下げるために、片足立ちは非常に有意義だといえます。

 高齢のかたの場合、まずは1分間の片足立ちを目標に始めるといいでしょう。転倒が心配なかたは、必ず壁に手をついたり、イスの背に手をかけたりして行ってください。慣れてきたら、手を離して行ったり、上げた足を前後に動かしたり、左右に開いたりする動きを加えてみましょう。

 片足立ちは、ひざに負担となることは少ないはずですが、痛みが出た場合は、無理せず中断してください。
 毎日片足立ちを実践する際、続けられた時間を記録することをお勧めします。片足立ちをできる時間が延びていくことは、認知機能が改善していることにほかならないのです。

片足立ちのやり方

片足を5~10cmほど上げて立つ状態を、1分間保てるようにする。左右の足でそれぞれ行う。転倒が心配な場合、必ずイスの背につかまって行う。

日中眠っている時間が減り言葉数が増えた

 次に、実際に片足立ちで効果があった皆さんの体験例を紹介しましょう。
 84歳の男性Aさんは、アルツハイマー型認知症です。片足立ちを初めて行ったとき、続けられた時間は、わずか3.57秒でした。

 その後、根気よく片足立ちを続けたところ、少しずつ立っていられる時間が延びていきました。そして、3ヵ月後には17.09秒、半年後には19秒、9ヵ月後には29.2秒まで記録が延びたのです。

 Aさんの場合、運動機能が向上しただけではありません。しだいに意欲も高まってきました。片足立ちが、認知機能の維持・改善に大いに役立つことを示す好例です。

 78歳の女性Bさんは、多発性脳梗塞による血管性認知症を患っていました。
 最初に片足立ちを試したときの時間は16・99秒でした。その後、3ヵ月後には18.8秒、半年後には34.2秒、9ヵ月後には39.3秒まで延びたのです。それに伴い、歩行が安定してきました。

 また、以前のBさんは、日中うつらうつらと眠っている時間が大半。口数も少なく、じっと黙り込んでいるばかりでした。
 それが、片足立ちを始めてからは、日中もはっきりとした状態で過ごせるようになったほか、言葉数も増えたのです。

 80歳の女性Cさんは、アルツハイマー型認知症です。両ひざに痛みがあったため、初めはイスにつかまって片足立ちを行うようにしました。
 すると、3ヵ月後には15.08秒、半年後には26秒、9ヵ月後には31.94秒まで改善。今では、かなり歩行が安定しています。こうして片足で立てる時間が延びていけば、Cさんの認知症の進行を遅らせる効果についても期待が持てるといえます。

 このように、片足立ちは、毎日きちんと続ければ、着実に効果が現れる、優れた認知症予防・改善トレーニングです。最近、物忘れが増えたという心当たりがある皆さんは、ぜひ実践してください。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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