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風邪・インフルエンザに効果「プロポリス」とは? 有効成分は抽出法で違う?

風邪・インフルエンザに効果「プロポリス」とは? 有効成分は抽出法で違う?

プロポリスは、ハチの巣への細菌の侵入を防ぎ、その増殖を防いでくれる物質です。いわば、家を守る防御壁なのです。私たちがこのプロポリスを摂取する際には、それがどのようにして抽出されたのかが、一つの重要なポイントとなります。プロポリスの抽出法によって含有される有効成分が異なるからです。【解説】門田重利(富山大学名誉教授)

ハチの巣での細菌の繁殖を抑制する物質

サプリメントや栄養補助食品のパッケージなどで、「プロポリス」という言葉を目にしたことがある人も多いかと思います。
しかし、プロポリスが一体どんな成分なのか、説明できる人は少ないでしょう。

簡単にいうと、「ハチが植物から採取する粘着性の物質」のことです。
同じ植物から採取するものでも、ハチミツとは異なります。

プロポリスの「プロ」とは、ギリシア語で、「前」という意味で、ポリスは「都市国家」を表します。
ハチが自分の巣(=都市国家)を作る際、近隣の植物の新芽や蕾などの樹脂を巣まで持ち寄り、巣作りに使用します。

植物は傷ついたときに、樹脂を分泌して、微生物などの外敵の侵入を防御するしくみになっています。
この抗菌作用を持った樹脂(プロポリス)を、ハチは新芽や蕾から取り出して巣に塗り、巣の環境作りに利用するのです。

ハチの巣は、温かくて湿度が高いため、条件的には細菌などが繁殖しやすい環境です。
にもかかわらず、細菌などの繁殖は抑制されています。

これは、巣に塗られたプロポリスが、細菌の侵入を防いでいるおかげなのです。
私たちが、健康維持などのために、このプロポリスを摂取する際には、それがどのようにして抽出されたのかが、一つの重要なポイントとなります。

プロポリスの抽出法によって、含有される有効成分が異なるからです。
抽出法は、主に次の三つがあります。

①水抽出
②アルコール抽出
③ミセル化抽出

プロポリスを構成する成分は、その抽出法によって、抽出されやすいものとされにくいものとに分かれます。
①の方法でも②の方法でも、それぞれに抽出しにくい有効成分があるのです。

一方、これら二つの方法と比べたとき、より優れているのが、③のミセル化抽出です。
水やアルコール抽出だと取りこぼしてしまう成分も、ミセル化抽出なら、より多く取り出すことができるのです。

つまり、ミセル化抽出によって作られたプロポリスは、本来あるべき有効成分を、ほぼ損なうことなく含んでいるといえます。

免疫力が高まり海外でも体調をキープ

先ほど、プロポリスは細菌の侵入や繁殖を防ぐといいましたが、それ以外にも多くの効果が確認されています。
人間が摂取すれば、体の酸化や炎症を防いでくれ、腫瘍までもできにくくしてくれるのです。

そして、今の季節に心配なカゼやインフルエンザに対しても、プロポリスは改善・予防効果を発揮してくれます。
これは、先ほどお話ししたプロポリスの成り立ちを考えればわかりやすいでしょう。

そもそもプロポリスは、ハチの巣への細菌の侵入を防ぎ、その増殖を防いでくれる物質です。
いわば、家を守る防御壁なのです。

人間の場合でも、その効果は同様です。
プロポリスを摂取していれば、ウイルスが外気とともに鼻腔や口腔内に入ってきても、そこから体内への侵入をブロックしてくれます。

そして体の中では、ウイルスたちの繁殖を抑制してくれるのです。
1990年代末には、鳥インフルエンザウイルスに対してもプロポリスが有効であるという論文が提出されています。

実際、私自身、カゼのひき始めにプロポリスを含んだ健康食品を飲んでおくと、カゼがひどくならないという経験を、これまでに何度もしています。
外国に行く際には、プロポリスを必ず携帯するようにしています。

外国滞在で大きく環境が変わり、そこに疲労が加わると、免疫力が低下して体調をくずしやすくなります。
しかし、プロポリスを飲んでおけば、免疫力が高まり、良好な体調のまま過ごすことができるのです。

これらの効果は、プロポリスに含まれるフラボノイドによる作用だと考えられます。
フラボノイドとは、植物に含まれているポリフェノールのことで、強力な抗酸化作用があるのです。

皆さんも、健康食品などでプロポリスの力を上手に利用して、カゼやインフルエンザに負けない体を作りましょう。

門田重利
富山大学名誉教授

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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